お題:12月のホテル 必須要素:二人称 制限時間:15分 読者:67 人 文字数:863字

三か月後
 十二月のホテルにはなまえがついている。それはもうずいぶん前からの常識である。
 十二月のホテルにはなまえがついている。もちろん、十一月のホテルにも、一月のホテルにも、二月や、三月、四月のホテルだって例外ではない。例外といえば、十月だけにはなまえがついていない。なぜなら神無月だからだ。これもずいぶん古くからの常識である。ぼくも、彼も、彼女も、きみも、みな知っていることだろう。ひとびとは月ごとにホテルになまえをつけることで、ホテルを支配下に置こうとした。まるで生まれたばかりのこどもにだいすきなアイドルのなまえをつけるように、まるで雨の中で出会った仔猫に初恋のひとのあだ名をつけるように。十二月のホテルは誰にとっても愛され、誰にとっても愛でられ、それでいて誰にとっても憎く、誰にとっても重いなまえをもつこととなった。それはひとびとがなまえという兵器を得てからのことでもあるし、この世界のはじまりと同時にうまれたきまりごとでもあった。
 なまえとは兵器であり、武器であった。
 十二月のホテルたちは、なまえという兵器を得て、迫りくる脅威と戦い続けている。十一月のホテルがひとびとを癒し、一月のホテルが水を生み、七月のホテルが死者を弔うように、十二月のホテルは、戦い続けていた。宇宙からの脅威、虚空から訪れる危機、量子空間よりこちらを監視するもの、過去から迫りくる未知の存在、未来から到来したxxx……現代の生物では音にすることが叶わない……ぼく、彼、彼女、きみ、あいつ、さまざまなものと、さまざまなものたちと、十二月のホテルたちは戦っていた。戦い、散り、まるで聖夜に舞う雪のように、その白い素体を空へと散らしていった。
「xxxxxx、」
 誰かが、十二月のホテルのなまえを呼んだ。
 ずっとむかしからある、戦うもののなまえ。
 ふるくからずっと戦っている、兵器のなまえ。
「xxxxxx、」
 誰の耳にもその音は届かない。誰も十二月のホテルのなまえを聞くことはない。
 静かな夜だった。
 静かな朝だった。
 十二月は遠い。
作者にコメント

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