ユーザーアイコン
お題:壊れかけのもこもこ 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:525字

それでも最後の瞬間までは

 毛布は良い。何故って、毛布は壊れようがないから。
 その絶対的な真理を、ひとは、おそらく生後数ヶ月ごろには、無意識のうちに悟っているのだろう。子供がお気に入りの毛布を何処へ行くにも引きずってゆくのは全く理に適った行為だ。シュルツもそれをようく分かっていたから、ライナスに毛布を持たせるのを忘れなかった。
 この先、人類社会がどこまで発展しても、コールドスリープカプセルを満載した宇宙船たちが地球から平然と出航するようになっても、そこに毛布は積み込まれる。たとえ食事がチューブペーストやサプリメントに置き換えられても、ふわふわの毛布だけは、別の存在に置き換えることはできない。千年後の人類から眠りや不安や恐怖がすっかり取り除かれていたら話は別だが、それは多分、もう人類とは違う別の何かだろう。
 おそらくは狩猟採集時代の頃から、連綿と、毛皮を捨てた人間たちを代わりに包んできた毛布を、遠い未来の彼方で、誰かが握りしめている。震える背中を丸め、溢れる不安を押しとどめようとするように、胸の前でぎゅっと暖かな毛布を合わせて、宇宙船が崩壊する音を、生命維持装置が切れるまでのカウントダウンの声を聞いている。仮想現実が消え始める。五感を伴う幻の毛布も、
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
もこもこ ※未完
作者:匿名ちゃん お題:壊れかけのもこもこ 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:282字
「面白い遊びをしようか」「え!なに、どんな遊び?」「雲がなんの形に見えるか考えるゲームだ」父さんはそう言って、片側が夕焼け色に染まった、雲の一片を指差した。「あ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
閲覧注意 ※未完
作者:カミジョー@女子中学生かも? お題:壊れかけのもこもこ 制限時間:15分 読者:105 人 文字数:511字
お気に入りだったぬいぐるみはボロボロになっていた。デフォルメされたクマのぬいぐるみは、あちらこちらから綿がはみ出し、ボタンの目の片方はどこかに消え、片腕と片耳は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
最強で最弱 ※未完
作者:匿名さん お題:最弱の人体 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:469字
Aの腕は無残にも、ほろほろと崩れ去った。上質なクッキーが割れるように、繊細な粉があたりに舞った。……なんともろいことだろう。Aは冷え切った思考を自らの体に向けた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:yaichiyo お題:君とマンション 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:755字
(#58) 夢を見た。 清廉な池の中から白一色の衣服に身を包んだ女性が現れる。けれど、不思議なことに彼女は全く濡れていない。それどころか水面から数センチ上空に浮 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:明日香 お題:寒いピアニスト 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:773字
もう限界、これは本当にやばい、いやいやもう無理でしょ、というところまで来て、私は指を止めた。鍵盤の音が止み、外で暴れる吹雪の音が、柔らかい地鳴りのように聞こえ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:こぶた お題:冷静と情熱の間にあるのは能力者 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:437字
「この婚活アプリで知り合いました!」「本当に相性のいい相手と出会えます!」そんな謳い文句を掲げる最近人気の婚活アプリがある。このアプリの使用者には、恋情に身を焦 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ワイルドな終身刑 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:587字
「船長、北に怪しい船があります。」若い船員が私を呼ぶ。私は船員から双眼鏡を受け取り、示された方角を確認した。「旋回する。あの船に近づいてはいけない。」私は直ちに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
※未完
作者:SADAO お題:魅惑の悲劇 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:160字
喜劇があるということは、悲劇もあるということ。 両腕を高々に上げ喜ぶ人がいる対に膝から崩れ落ち泣いて悲しむ人がいる。 あの頃の僕は『自分』のことだけしか考えて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:夜の夜 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:480字
空が茜色に染まっていた。もうすぐ、日が落ちる。 僕は、冷え込みが激しくなってきた季節の空を恨めしく見上げて、マフラーに顔をうずめる。それでも露出した顔が、針に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:びお~ら お題:かたい四肢切断 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:431字
「龍撃砲撃ちます!」狩人渾身の一撃を喰らった。体が動かない。支えを失い大地に倒れ伏した。「おつかれ〜」「乙乙」「O2、もう一丁」狩人達は口々に挨拶を交わしながら 〈続きを読む〉

の即興 小説


ユーザーアイコン
作者: お題:壊れかけのもこもこ 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:525字
毛布は良い。何故って、毛布は壊れようがないから。 その絶対的な真理を、ひとは、おそらく生後数ヶ月ごろには、無意識のうちに悟っているのだろう。子供がお気に入りの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:1000のぬくもり 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:712字
「終末医療の一貫として」というお題目が無ければ使うことを許されないその医療魔法は、遠い昔の民話を依り代にしていた。一羽一羽が強力な麻酔と鎮静作用を持つ、甘い砂 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:近いお尻 制限時間:15分 読者:48 人 文字数:900字
死者の戻ってくる日、という風習は世界のあちらこちらにある。 東の島国では彼らの送迎まで用意するというし、西の大陸には気が触れるほどの鮮やかな色彩で彼らの帰還を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:刹那のコウモリ 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:606字
一秒間の変身能力を手に入れた。 たった一秒。一日の内、たった一秒だけ、私はコウモリに変身できる。 数十冊の魔道書を読破し、怪しげな薬にいくつも手を出し、それこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:女の海辺 制限時間:15分 読者:52 人 文字数:798字
人魚の子を身篭った。 孤独な身の上、それも自営業だったので、誰にも説明を求められはしなかったが、切実な問題として、産むのに良い場所がなかった。人間の病院には掛 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:暗い心 制限時間:15分 読者:69 人 文字数:758字
火傷だらけの鬼がひとり、森を歩いてゆく。 その晩は新月で、鬼にとって幸いなことに、今にも雨を降らしそうな厚い雲が夜空をみっしりと埋めていた。風も重く、優しく、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:孤独な黒板 制限時間:15分 読者:86 人 文字数:690字
その日、登校すると、黒板には暴言が描き殴ってあった。私の名前と一緒に。およそ板書にはそぐわない、たった数文字で黒板の端から端までを埋めてしまうほどの、大きくて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:3月の動揺 制限時間:15分 読者:80 人 文字数:743字
最近ちょっと困っていることがあって、と、二百年ぶりに再会した旧友は挨拶もそこそこに口火を切った。 最近と言ったって、私たちの尺度のことだ、どうせ三百年以内の出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:セクシーな善人 制限時間:15分 読者:77 人 文字数:377字
新宿何とか丁目の細い裏路地、丑三つ時の間だけ、とある地縛霊が人生相談所をやっているらしい。しかも、実に盛況であるらしい。先週の土曜は十人以上の大人たちが寒空の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:当たり前の木 制限時間:15分 読者:80 人 文字数:456字
裏山に佇む一本の白樺が、私の神様だった。 いつから信仰心を抱くようになったのかは覚えていない。物心ついた頃にはもう、裏山で遊びまわった帰り道に、白樺に手を合わ 〈続きを読む〉