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お題:壊れかけのもこもこ 制限時間:15分 読者:100 人 文字数:525字

それでも最後の瞬間までは

 毛布は良い。何故って、毛布は壊れようがないから。
 その絶対的な真理を、ひとは、おそらく生後数ヶ月ごろには、無意識のうちに悟っているのだろう。子供がお気に入りの毛布を何処へ行くにも引きずってゆくのは全く理に適った行為だ。シュルツもそれをようく分かっていたから、ライナスに毛布を持たせるのを忘れなかった。
 この先、人類社会がどこまで発展しても、コールドスリープカプセルを満載した宇宙船たちが地球から平然と出航するようになっても、そこに毛布は積み込まれる。たとえ食事がチューブペーストやサプリメントに置き換えられても、ふわふわの毛布だけは、別の存在に置き換えることはできない。千年後の人類から眠りや不安や恐怖がすっかり取り除かれていたら話は別だが、それは多分、もう人類とは違う別の何かだろう。
 おそらくは狩猟採集時代の頃から、連綿と、毛皮を捨てた人間たちを代わりに包んできた毛布を、遠い未来の彼方で、誰かが握りしめている。震える背中を丸め、溢れる不安を押しとどめようとするように、胸の前でぎゅっと暖かな毛布を合わせて、宇宙船が崩壊する音を、生命維持装置が切れるまでのカウントダウンの声を聞いている。仮想現実が消え始める。五感を伴う幻の毛布も、
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