お題:不思議な動揺 必須要素:400字以内 制限時間:30分 読者:77 人 文字数:815字

不思議な動揺
 同棲している彼が何かを隠している。
 その確信はあるのだけれど、実際隠しているのが何なのか心当たりがまったくなかった。
 自慢じゃないが、人の心の機微には鋭い方だ。こと彼のことに限っては今まで隠し事を見破れないことなんてなかった。
 
 あの不思議な動揺はなんだったのだろうか。

 それを解明するために私は、タンスの中からベレー帽を引っ張り出し、季節外れのストールを肩に掛け、パイプ……はないので棒付きの飴を口にくわえ、探偵スタイルをとっているのだ。
 事の発端は今朝のことだった。
 目覚ましが鳴るよりすこし早い時間。目を覚ますか覚まさないかのまどろみの中に私がいるとき、
 彼が布団を跳ね上げるように勢い良く起き上がったのだ。
 何があったのか訊ねたが彼ははぐらかすばかり。
 家の中にヒントを求めていろいろ探してみたが、特に変わったところもない。
 探しついでに掃除をしながら、4時間。私は結局なにも見つけられなかった。
 変わったことといえば、夕方いつもより早い時間に彼から連絡があったことだ。夕飯一緒に食べたいから待っていてくれと。
 
「ごめん!!」

 家に帰ってくるなり彼は両手の平を合わせて謝罪の意を示した。
 さあ聞かせてもらおうか、あの不思議な動揺の理由を。
「昨日、飲み会があっただろ。だいぶ飲まされて、君が冷蔵庫にとっておいたケーキを勝手に食べてしまったんだ。これ、お詫びのケーキ」
 言われて、動揺したのはむしろ私の方だった。
 冷蔵庫にケーキなんて無かったのだ。
 彼にそれを話すと、キョトンとした顔の彼。
「え、どういうこと」
 私が聞きたい。
 二人でキッチンのゴミ箱を確認してみたが、ケーキの食べ後は発見できなかった。
 つまり、
「夢……だったのか」
 二人して、変な笑いをした。
 でもまあ、それのおかげで私はケーキにありつけあたのだ。
 こんなことなら週に1回ぐらいあってもいい。

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