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お題:1000のぬくもり 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:712字

天国に住まう千羽の鳥 ※未完

 「終末医療の一貫として」というお題目が無ければ使うことを許されないその医療魔法は、遠い昔の民話を依り代にしていた。一羽一羽が強力な麻酔と鎮静作用を持つ、甘い砂糖(のような味。正確な成分は分からない。どっちみち魔法で変成している)千羽の鳥。もう助かる見込みがない患者の部屋に、作りものの魔法の鳥たちはそっと放たれる。彼らは手のひらに乗るほど小さく、紙で折られたように華奢で、そのまま食べることもできる。口に含めば柔らかく溶ける。心地よい爽やかさと甘さは、人によって微妙に異なるらしい。ある人は蜂蜜入りのホットミルクだといい、ある人は暖かい梅酒のようだと言った。
 何も口に含めないほど弱ってしまった患者の場合は、彼ら自らが患者の身体に留まる。そしてゆっくりと、魔法の力を借りて、その身体に溶け込む。作用は経口摂取したときと同じ。付き添いの家族は、作り物の魔法の鳥たちに優しく寄り添われた患者を見ては、その童話めいた光景にしばしば泣いてしまう。

 この魔法は、終末医療の一貫として、という理由がなければ、使用を許可されない。
 甘く暖かな鳥たちを一羽服用するごとに、患者は現世の苦痛を忘れ、今世での温もりの記憶を再体験する。
 子供のころに走り回った近所の公園。家族とともに作ったクッキー。クラスメイトたちと作った秘密基地で見上げた青空のこと。恋人。恋人たち。膝の上で眠っていた暖かな猫の記憶。
 そして、その温もりの記憶よりも鳥たちの数が多ければ、今世で叶わなかったぬくもりを、その願いを、記憶として体験する。
 優しい母を。殴らない恋人を。失われなかった子供の成長を。
 すべての鳥を服用し終わる頃には、もう、未練は
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