お題:魅惑の孤島 制限時間:1時間 読者:30 人 文字数:2302字
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創作料理・宝島 ※未完
宝島に関してはいろいろな噂があった。
宝島は海の上を動いている。宝島には金銀財宝はない。宝島に行けば真の男になれる……。中には、宝島はチート能力をゲットするための施設だという眉唾のものまであったが、まあこれは嘘だろう。
噂はたいていが宝島に行ったヤツから聞いたのだが……を枕詞に語られたが、中には自分が宝島に行ったと言って語る人もいた。おもしろいのは、また聞きの噂のほうが信憑性があるように思えるところで、宝島に行ったと豪語するヤツが語ったのはとんだホラ話だった。
チートうんぬんという意味不明なことを言ってたのが、その「本人」様の話だ。チートとかいう耳慣れない言葉を使ったりで、まったく信じる気になれなかった。
まあ、どの噂が本当でどの噂が嘘かはともかく、噂が流れ始めてから相当長い年月がたつのにいまだに噂されているから、宝島があるというところを疑う必要はなさそうだ。

少年・エンジーは情報収集を十分にすると、満を持して冒険仲間とともに宝島へ出発した。
運も良かったのだろう、エンジーの船は大きく迷うことなく宝島へ到着した。
驚いたのは、宝島が実は島ではなかったことだ。それは大きな船だった。こんな船を作れる人がいるはずはないから、神代に作られたものが今まで残っていたということだろう。神代のアイテムはてのひら大のサイズでも売ればすごい金額になると聞くから、この船はとんでもない価値なのだろう。島でこそなかったが、船自体が宝だったというわけだ。
そして、エンジーは宝島が海の上を動いているという噂は本当だったことに気づいた。

その巨大な船に到着したのは夕方で、船に乗りこむころには日が暮れかけていた。
太陽はちょうど巨大な船の向こう側へ沈んでいく。オレンジ色の夕日が縁取っていて、船の輪郭がよく見えた。全体を見ようとしても、それがあまりにも巨大なので船の影を見上げることになり、エンジーはくらりと一歩よろけた。
「大丈夫ですかい」
と船員(と呼ぶべきだろう。島ではなかったのだから島民とは呼べまい)の男が言った。男が肩を支えようと身構えたが、エンジーは自力でバランスを取った。
「大丈夫っす」
「ガハハ! 坊主、根性あるなあ! これなら、いい冒険者になれそうだ」
「それ本当っすか?」
「まあ、半分は適当だ! ガハハハハ!」
「なんなんすか……」
たしかに、根性うんぬんで冒険者としてうまくやっていけるかが決まるとも思えない。そもそも、先ほどのやりとりのどこに根性があると感じたのかも不明だった。
エンジーはがっくりとして下を見た。すこし目が慣れてきたとはいえ、暗い。床は平になっているようだから不安はないが、足元すらはっきりとは見えなかった。
「おっ」
 と男が言った。なにごとかと思い顔を上げると、前方に光が見えた。今、明かりがついたようだ。
「やっと火をつけたかよ、あのおっさんはよ!」
(あんたもおっさんでは?)
 エンジーはという言葉を飲み込んだ。
 それは赤い光だった。火の光よりもさらに赤く、不気味な感じもした。なんらかの文字が光の中に浮かんでいるようだが、エンジーの視力では判別できない。
「さ、行きましょうや」
「う、ウス……」
正直ためらいはあったが、「根性」と言われたのが影響したのかビビってるように思われまいという意識が働いた。
「お仲間はもう先に行ってますぜ」
言われて、仲間のことを考える余裕すら失っていたことに気づいた。あいつらは無事だろうか。
「……あれ? 行くって、あそこに行くと何があるんすか?」
「おお! そういえば言ってなかったな! すまんな!」
 男がガハハと笑った。笑い方など、下手をすれば陸の冒険者のおっさんよりも野性味がある。やたらムキムキしているし、このおっさんなら冒険者としても活躍できるだろうな、とエンジーは思った。
「あそこにあるのはな、飯屋だ。俺もこう見えて店員なんでさ」
「マジっすか」
「マジですぜ」
 と男は言った。

絶品だった。らあめんという見たこともない料理を、すすめられるままに食べたが、陸で大枚はたいて注文した肉なんかよりよほどうまかった。
エンジーが店まで案内される頃には、赤い光の正体もわかった。それは不思議な形のランプで、聞けば色紙で光の色を変えているようだった。ランプに書かれた文字も、そこからなら読むことができた。
『創作料理・宝島』と書いてあった。
不思議なカーテンのようなものをくぐって店に入ると、案内の男が「いらっしゃいあせ!」と言った。
仲間たちも、見たことなない料理をふるまわれていたようだった。酒も入っていないのに、エンジー以外は寝てしまっていた。
「そうだ。お題はいくらっすか」
思い出すとサッと血の気が引くようだった。すすめられるままに食べてしまったが、値段を聞いていない。
店のマスター(こちらもいかついおっさんだ)が言う。
「なあに、出世払いでいいさ」
「助かるっすけど、それでいいんすか?」
「いいってことよ。また来店するくらいできるだろ?」
(いや、できるっすかね……)と思ったが、言わない。
「そうさなあ。冒険でお宝をゲットしたら、そいつを持ってきてくれよ。その時はまた一杯食わせてやらあ」
その言葉に反応して、反射的によだれが出る。じゅるり……。この店の味に魅了されてしまったようだ。それをぬぐってから、エンジーは反論する。
「でも! お宝なんてゲットできるとも限らないっすよ」
「じゃあ、根性見せねえとな」
と言って、マスターは不敵に笑った。
エンジーは諦めて冒険がんばろうと思った。
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