お題:犬の狙撃手 必須要素:パチンコ玉 制限時間:1時間 読者:91 人 文字数:836字 評価:0人

銀玉羨望
 男はその鉄の玉にひどく心を奪われた。クロムメッキを施され自らの姿を鮮明に映し出す玉に、鏡とは違う一種の好奇心を覚えたのだろう。
 男はこの玉が最近異世界からもたらされたもので、何らかの娯楽に用いられるものであることを知っていたが、その娯楽に全く興味を持っていなかった。ただ、都の街角でパチンコ玉の存在を知ってから、それを手に入れたいと思うようになったのだ。
 しかし、国内人口の1割にも満たない獣人の、一兵卒である男には、その手に入れるという行為すら難しいと考えていた。パチンコ玉のあるその施設は看板に人間専用と銘打っており、男は入場することすら叶わなかったのだ。親しい同僚や友人はほとんど獣人ばかりであり、人間の友人も、最低でも都から一月かかるような遠く離れたところにしかいなかった。
 足繁く通いながらも、店をただ憧憬の眼差しでしか見ることが出来ないことに、男は羨望の念を嫉妬へ変えようとしていた。その時である。
「よう犬野郎。最近ここによく来ているそうじゃないか。」
「……なんだ、お前か。」
 声をかけてきたのは狙撃手の同僚であり、自称情報通の老け顔の男だった。
「パチンコがやりたいのか?」
「いや、俺はただあの玉が欲しいだけさ。」
「パチンコ玉が? 随分と奇特な奴だな。」
「娯楽の方に興味がなくて悪いかよ。」
「お前の意思は尊重するさ。だが、それなら金が要るな。」
 男が記憶をたどると、店には貴族のような人間ばかり出入りしていたことに気づいた。
「確かに。だがお前も俺と同じ薄給だろう。それとも金貸しを始めるとでも?」
「そうじゃない。近頃隣国と戦争の機運が高まっているだろう。開戦に先駆けて、国は敵将に対して多額の報奨金を設定するそうなんだ。」
「と、言うことは。」
「お察しのとおりさ。」


 数カ月後。
 英雄と称されるほどの戦果を上げ、都に帰った男は、同じく生き延びた老け顔の男とともにいそいそとパチンコ屋へ向かい、あまりの安さに腰を抜かした。
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