お題:誰かの人 制限時間:15分 読者:38 人 文字数:719字

中二
 空中に絵を描く技術は、念動力で行っているのだという。空気を構成するものは並べ替えると色がつくようで、友人の指先がなぞった軌跡に、赤だったり青だったりが浮かび上がって、誰かの横顔を描く。
「共感覚者なんだ」
 中学生ともなると自分を特別に見せたがるもので、幽霊が見えるとか前世の記憶があるとか、みんな嘘つきになる年頃だから、そいつも同じなんだと普通に思った。ああはいはい、すごいね、とほかの奴らにやるように対応していたらムキになって、こんなふうに見えてるんだ、と宙に絵を描きはじめた。
 空中の横顔は指を離しても消えずに、いびつな線を維持してぷかぷか浮いていた。糸通しに描いてある外人の顔にちょっと似ていた。これは『化学』だという。授業中、教師の話す声がするあいだ、目の前にこんな顔が見えているのだとか。
「これは、すごい……絵の具も使わずに絵が描けるなんて」
「そこに驚くんじゃないよ。念動力なんかべつにすごくない。それよりもっと僕の見る世界に驚けよ」
 友人にしか見えない世界なんてどうとでもいえるし、とくべつ興味もわかない。共感覚のすばらしさ、いかに自分がすごいかを、下校の道のりのあいだ、延々と語り続ける。
 友人がくっついてきたまま、家についた。
「あ、鍵なくした」
 横から伸びた手が触れると、ガチャリと音がして鍵が開いた。友人の顔を見ると、「念動力だよ」という。本当に開いていた。
「すごい」
「べつにすごくないよ。それでな、共感覚の……」
「あ、部屋が荒らされてる。空き巣かな」
「隣の家に住んでる若い男だよ。金に困ってた」
 いきなり犯人を言い当てたので感心すると、「過去視だよ。べつに普通だ」と言って、また共感覚のはn
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