お題:誰かの人 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:719字

中二
 空中に絵を描く技術は、念動力で行っているのだという。空気を構成するものは並べ替えると色がつくようで、友人の指先がなぞった軌跡に、赤だったり青だったりが浮かび上がって、誰かの横顔を描く。
「共感覚者なんだ」
 中学生ともなると自分を特別に見せたがるもので、幽霊が見えるとか前世の記憶があるとか、みんな嘘つきになる年頃だから、そいつも同じなんだと普通に思った。ああはいはい、すごいね、とほかの奴らにやるように対応していたらムキになって、こんなふうに見えてるんだ、と宙に絵を描きはじめた。
 空中の横顔は指を離しても消えずに、いびつな線を維持してぷかぷか浮いていた。糸通しに描いてある外人の顔にちょっと似ていた。これは『化学』だという。授業中、教師の話す声がするあいだ、目の前にこんな顔が見えているのだとか。
「これは、すごい……絵の具も使わずに絵が描けるなんて」
「そこに驚くんじゃないよ。念動力なんかべつにすごくない。それよりもっと僕の見る世界に驚けよ」
 友人にしか見えない世界なんてどうとでもいえるし、とくべつ興味もわかない。共感覚のすばらしさ、いかに自分がすごいかを、下校の道のりのあいだ、延々と語り続ける。
 友人がくっついてきたまま、家についた。
「あ、鍵なくした」
 横から伸びた手が触れると、ガチャリと音がして鍵が開いた。友人の顔を見ると、「念動力だよ」という。本当に開いていた。
「すごい」
「べつにすごくないよ。それでな、共感覚の……」
「あ、部屋が荒らされてる。空き巣かな」
「隣の家に住んでる若い男だよ。金に困ってた」
 いきなり犯人を言い当てたので感心すると、「過去視だよ。べつに普通だ」と言って、また共感覚のはn
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:Uyu@白羅命 お題:誰かの人 必須要素:二人称 制限時間:15分 読者:260 人 文字数:534字
もう長い間ずっとこうしているような、かと思えば一瞬のような気がする。この小さな私の世界は、時に優しく、時に激しく、私を包み込んでいた。何故私がここにいるのか、い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
厚い雪 ※未完
作者:緑黄色野菜@小説家になろう お題:素朴な大雪 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:611字
朝、目覚めると目の前には銀世界が広がっていた。木の枝から伸びるつららや大地を覆い隠す素朴な大雪が私の見る世界を世界を一変させた。このような素晴らしい光景を見る 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夢路 お題:可愛い小説合宿 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:425字
今日は高校の文芸部のみんなと一緒に、合宿に来ている。 テーマは「可愛い」 それぞれがこのテーマに沿って小説を書いて、それぞれ読み合わせるのだ。 ただ一つ懸念が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:同性愛の木 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:802字
愛が永遠であるならば、それはきっと素晴らしいものだろう。色あせないものとして色んな場所に咲き続けこの世を支配もできた。 そんな素晴らしく美しいものは、今の私に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:12月のお天気雨 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:962字
珍しいこともあるものだ。空を見上げれば、まぶしいまでの晴天。それなのに雨が降っていた。所謂天気雨というやつだ。雨をよけるために傘を鞄から取り出そうとしたとき、手 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
ナゼとタチキ ※未完
作者:はるちか お題:かっこ悪い僕 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:383字
「その髪の色は本当どうにかした方がいいと思う」「え、そんなに変?俺は割と気に入ってるんだけど」「ナゼさんには似合ってると思うけど、初対面の人は警戒しそうっていう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:記憶の愉快犯 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:1083字
「爆弾?」 教頭の大山は、上がってきた報告に顔をしかめた。「うちの学校に仕掛けたって?」 馬鹿馬鹿しい、と大山は吐き捨てる。「どうせこんなのは愉快犯だろう?」「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:川ノ上 お題:記憶の愉快犯 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:824字
今思い出すだけでも、笑いが込み上げてくる。午前正午。昼休みのチャイムが景気良くなる屋上で、弁当の風呂敷を解いたボクは彩り豊かなきんぴらごぼうを口に運び、小さく笑 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ミズノガク@即興小説77日 お題:小説のもこもこ 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:465字
装飾というのは、なんにしても大事なものです。見た目というのは、思っている以上に観る人に影響を与えるのです。例えばどんなに高価な宝石だとしても、光り輝いていなけれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
闇のヒロイン ※未完
作者:ぽぽ お題:闇のヒロイン 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:295字
何人もの清き心の勇者たちが魔王に挑んでは闇に心を飲まれ倒れてきた。我々はただ闇の力に屈するしかないのか。一人の勇者が戦いの末敗れ城へ戻ってきた。彼はしかし闇に飲 〈続きを読む〉

にいの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:にい お題:許せないサッカー 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:785字
今日も外から窓を鳴らす音がある。階下から石が投げられてぶつかったのだ。部屋のあるじの少年は、また来たのか、と一日中いたベッドの上から、その日はじめて降りて窓辺 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:黄色い四肢切断 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:719字
春になると部屋にテントウムシが大量発生する。なんでも、日当たりのいい窓の上部なんかに密集して冬を越し、初春になると、外よりもまだ温かいからと室内の側にわらわら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:犬の狙撃手 必須要素:パチ○コ玉 制限時間:1時間 読者:14 人 文字数:2566字 評価:0人
司会者の指先の動きを、観客は息を呑んで見守った。一夜で作られた屋外ステージの、アルミの床板。そこに音を立てて転がった一個のパチ○コ玉を拾い上げる指は、司会者自 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
筋書きなし ※未完
作者:にい お題:愛と憎しみの狸 必須要素:二号機 制限時間:30分 読者:16 人 文字数:1482字
「今夜はタヌキ鍋だ」 婆さんを煮込んだあとの残り汁が、沸騰しながらタヌキの肉を浮き沈みさせる。調味料も入れていないのに絶妙の味加減だったのは、たぶんすでにタヌキ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:誰かの人 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:719字
空中に絵を描く技術は、念動力で行っているのだという。空気を構成するものは並べ替えると色がつくようで、友人の指先がなぞった軌跡に、赤だったり青だったりが浮かび上 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
アラーム ※未完
作者:にい お題:イギリス式の風 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:603字
部屋中に設置された時計が、一斉に午前五時を示した。部屋のあるじは偏執的なまでに正確さにこだわり、一秒のズレもないように、常に手入れを欠かさない。家にいるあいだ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:怪しいぐりぐり 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:643字
あまりにも仕事が暇なので、一日中爪やすりに凝っていたのだが、最近では飽きてきてべつの時間潰しを見つけることにした。デスクから山程の爪の残骸と各種やすりを片しな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:トカゲのスキル 必須要素:美しい情景描写 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:2897字
波にもぐる。感覚としてはそれに近い。広大な海原のどこまでも続く波間に、ゆっくりと頭を沈めていく。時刻は自由に設定できるから、わたしはいつも夜明け前のイメージに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:漆黒の闇に包まれし狂気 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:765字
心の闇ですね、とプロファイラーは言った。会議室で傍聴していた彼らも、だろうな、と思った。最近の狂気じみた犯罪といえば、とにかく心の闇に尽きる。報われない自己へ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:同性愛の耳 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:848字
仲睦まじいウサギのカップルが長い耳を寄せ合って、ひとつのニンジンを分け合っていた。人間でいうなら、はい、あーん、みたいなことで、見かけても目障りとしか思わなか 〈続きを読む〉