お題:イギリス式の風 制限時間:15分 読者:36 人 文字数:603字

アラーム ※未完
 部屋中に設置された時計が、一斉に午前五時を示した。部屋のあるじは偏執的なまでに正確さにこだわり、一秒のズレもないように、常に手入れを欠かさない。家にいるあいだはほとんど一日、時計の針を合わせる作業をしているといっていいくらいで、それで几帳面な彼が、一秒のズレのない針の音、決められた時間にぴたりと鳴り出すアラームに満足しているかといえば、そうでもないのだった。
 ひとつだけ、どうしてもこの時間になると、ズレを示す時計があるからだ。もともと、部屋にあるものはすべて目覚まし時計で、彼の起きるこの早朝にアラームが鳴るようセットされている。ビッグベンを小さくしたようなデザインのそれは年代物で、母親が大事にしていたものを、彼が譲り受けた、思い出の品だった。
 子供のころから朝が苦手で、寝坊が怖くて眠れなかった彼に、目覚まし時計を複数設置するという方法を教えてくれたのも母だった。同じような悩みを抱えていて、だから時計を贈ったついでの当然の助言だったが、習慣とはむしろ影響された側のほうが、極端にハマってしまうもの。ふたつでは心もとなく、片方が壊れて場合に備えてもう一個、と彼の部屋の目覚ましはどんどん増えていった。彼が恐れていたのは故障で、だからこそ手入れは熱心にしたし、壊れたものはすぐに捨てた。ただひとつ、最初にもらった時計だけを除いて。
 彼には捨てられなかった。五時より十分早くなりだした時計のおk
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