お題:純白の冬休み 制限時間:30分 読者:18 人 文字数:745字

純白になった君の顔
彼女が僕に初めて話しかけてきたのは、夏が終わろうとしていた頃だった。
クラスでも目立たない僕に話しかける人は少なく、半年近くの時間が経ったこの時も、クラスの半数以上は話したことのない他人だった。
そんな僕に彼女は言った。
「ねぇ。ノート見せてくれない?」
これが第一声だった。
人間なんて分からないもので、こんな些細なきっかけで、僕と彼女は関係は始まった。

夏が終わり、秋には二人で近所の山までピクニック。
彼女の亡くなったお母さんは、花が好きで、沢山の花の名を教えてくれたらしい。
嬉しそうに微笑む彼女からは、いつもの傲慢さの欠片も見えなかった。
例え僕が荷物を全て持っていたとしても、僕はそれで良かったんだ。

そして運命の冬。
期末テストが終わり、浮足立った雰囲気の教室で彼女は言った。
「ねぇ。冬休みに、また山に行かない?秋に行った山なんだけど、湖が凍るみたいよ。」
彼女はそれから一時間に渡って、凍った湖の美しさや楽しさを力説してくれた。
結局、湖もお母さんとの思い出があったらしい。

そして今。僕と彼女は、凍った湖の上に立っていた。
その日、僕は朝から父に期末テストの点数で責められ、機嫌が悪かった。
対してなぜか彼女はずっと上機嫌で、段々僕は怒りがヒートアップするのを止められなかったんだ。

言ってはいけない真実を告げた。
「ねぇ。君のお母さんが僕のお母さんだって、君は知ってるの?」

最初、ポカンと口を開けていただけの彼女の顔が、みるみる真っ赤になった。
僕から逃れるように後ずさった彼女。
瞬間。
碓氷を踏み外した。
彼女は悲鳴を短く上げた。
僕は手を伸ばしたけれど、届かず、追って彼女が書いたと思われる手紙が湖に浮いた。
「好きです。付き合って下さい。




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