お題:純白の冬休み 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:745字

純白になった君の顔
彼女が僕に初めて話しかけてきたのは、夏が終わろうとしていた頃だった。
クラスでも目立たない僕に話しかける人は少なく、半年近くの時間が経ったこの時も、クラスの半数以上は話したことのない他人だった。
そんな僕に彼女は言った。
「ねぇ。ノート見せてくれない?」
これが第一声だった。
人間なんて分からないもので、こんな些細なきっかけで、僕と彼女は関係は始まった。

夏が終わり、秋には二人で近所の山までピクニック。
彼女の亡くなったお母さんは、花が好きで、沢山の花の名を教えてくれたらしい。
嬉しそうに微笑む彼女からは、いつもの傲慢さの欠片も見えなかった。
例え僕が荷物を全て持っていたとしても、僕はそれで良かったんだ。

そして運命の冬。
期末テストが終わり、浮足立った雰囲気の教室で彼女は言った。
「ねぇ。冬休みに、また山に行かない?秋に行った山なんだけど、湖が凍るみたいよ。」
彼女はそれから一時間に渡って、凍った湖の美しさや楽しさを力説してくれた。
結局、湖もお母さんとの思い出があったらしい。

そして今。僕と彼女は、凍った湖の上に立っていた。
その日、僕は朝から父に期末テストの点数で責められ、機嫌が悪かった。
対してなぜか彼女はずっと上機嫌で、段々僕は怒りがヒートアップするのを止められなかったんだ。

言ってはいけない真実を告げた。
「ねぇ。君のお母さんが僕のお母さんだって、君は知ってるの?」

最初、ポカンと口を開けていただけの彼女の顔が、みるみる真っ赤になった。
僕から逃れるように後ずさった彼女。
瞬間。
碓氷を踏み外した。
彼女は悲鳴を短く上げた。
僕は手を伸ばしたけれど、届かず、追って彼女が書いたと思われる手紙が湖に浮いた。
「好きです。付き合って下さい。




作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:幾山アカリ お題:純白の冬休み 制限時間:15分 読者:252 人 文字数:1725字
[ジャンル:ファンタジー] 一面の雪景色。 その中で、見目麗しき青年クリスは横たわっていた。 路銀が尽きたからでも、食料が尽きたからでも、寝具がないからでもない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:気向行夫 お題:日本電話 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:608字
高校で友達の佳代子と昼食をとっていると、こんな話があった。「高校の近くにある〇〇公園の電話ボックス、出るんだって」「でるって……何が」「決まってるじゃん、幽霊 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:メジャーな墓 制限時間:30分 読者:20 人 文字数:1222字
空は青い。空気はじわじわと迫ってくる。蜃気楼のような空気が震えている様子も見える。ただ僕は汗をかきながら、空を見ている。夏だ。大嫌いなこの季節がやってきた。蝉が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:みぺこ お題:ぐちゃぐちゃの処刑人 制限時間:30分 読者:19 人 文字数:325字
白銀の光を残して刃が駆ける。 街を埋め尽くす異形の群れ。高層ビルを臨む空からは奇怪な体躯の鳥が。路地裏からは目を血走らせ、六の手足を生やした狼が。灯りを失った 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:東京の探偵 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:1254字
「ここで僕の推理、聞いてくれませんか?」部屋の真ん中辺りを歩きながら探偵はにっこりと笑う。その推理は確実で、忠実で、繊細。だからこそその答えが導かれる。皆は彼を 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:戦争と貯金 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:1172字
戦争と貯金にはお金の使い方で対照的でありながら連関している気配がする。我々の貯金は銀行によって運用されるが、最終的にどこで使われているのだろう。日本の国債はア 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:戦争と貯金 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:1353字
さきほどグーグルクロームが停止し、書き終わりかけた文章は終了間際に消失した。PC上で作文するものにとっては必ず経験する絶望感に襲われるが、即興小説は停止を許さ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:マンネリな川 制限時間:30分 読者:5 人 文字数:1373字
あるところに川がありました見た目はごく普通だけど、実はこの川の中には肉食な魚がたくさんいるらしい少し濁っていてどのくらいの深さなのかは見当もつかないそんな川に散 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:mas お題:意外!それはハゲ 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:508字
小野頭通りの天気は、このところ雨が続き、ダンスパーティに遅れそうな小鳥の急ぎ足のような音を盛んに響かせていた。車の上げる水しぶきの音は世界の終わりを告げるために 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:かゆくなる火 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:1201字
焚火を見ているとFは痒くなってきた。一年間のうちに自分が作ったものや書いたものを集めて燃やす儀式が執り行われれている。それは毛糸で編まれた人形だったりセーター 〈続きを読む〉

橡樹 向日葵の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:橡樹 向日葵 お題:愛すべき正義 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:434字
皆さんは譲れないものはありますか?まぁ誰だって一つくらいはあるよね。他人から見れば下らないと思えるようなコダワリなんだけど、ここだけはどうしても!みたいな何か。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:橡樹 向日葵 お題:純白の冬休み 制限時間:30分 読者:46 人 文字数:745字
彼女が僕に初めて話しかけてきたのは、夏が終わろうとしていた頃だった。クラスでも目立たない僕に話しかける人は少なく、半年近くの時間が経ったこの時も、クラスの半数以 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
私の走る理由 ※未完
作者:橡樹 向日葵 お題:嘘の血 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:377字
走れ、走れ、走れ、走れたった数時間前まで、私は彼と笑い合っていたはずなのに。今はそれだけが、その思いだけが私の思考を支配していた。額から汗が流れ、目に入る。焼け 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
輪廻 ※未完
作者:橡樹 向日葵 お題:優秀な部屋 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:360字
広い空間。果てしなく広がる空間。白く、広大な空間。何もない、ただ空間のみのこの場所。いきなり僕はここにいた。あれ?ここに来る前は何してたっけ。とボケたことを考え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:橡樹 向日葵 お題:希望の彼女 制限時間:15分 読者:45 人 文字数:450字
ピンポーン!!!!軽快に玄関のインターホンが鳴った。某巨大通販サイトから、商品を発送したというメールが届いたのは昨日。相変わらず仕事が早い。「それではこちらにご 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:橡樹 向日葵 お題:煙草と熱帯魚 制限時間:15分 読者:48 人 文字数:449字
水槽の奥に一人の男が座っていた。数時間前からだろうか。何度も何度も、煙草に火をつけては消してを繰り返す。今では銀色の灰皿は山のようになっていた。「ママ。これ、も 〈続きを読む〉