お題:馬鹿な社会 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:998字
[削除]

彼と少女と社会
 朝、私はカーテンから溢れる朝の日差しで目を覚ました。だが、隣には彼の姿は既にない。
「おはよう、随分早いな」
 探し人は、マグカップを片手にキッチンから顔を出した。両目には酷いクマができていた。
「おはよう。私の分は?」
「今淹れている。砂糖大さじニ杯とミルクたっぷりだったよね」
「うん。でもブラックでもいいよ」
「成長期のお子ちゃまが背伸びして飲むものじゃないよ」
「えー、カップがお揃いなんだから中身もお揃いがいい」
「ワガママ言わないの」
 そう言って彼は再びキッチンへ戻っていった。
 ふと時計に目をやると、まだ6時にもなっていなかった。お風呂を借りて着替えて、それから朝食を食べて登校、スケジュールには何の問題もない。早起きは三文の得と言うけれど、まさにその通りだ。
「ねぇ、今日は早いの?」
 ベッドの横の机に置いていたスマートフォンを手に取り親に嘘の連絡を入れながら、私は今晩の予定について思考を巡らせていた。
「昨日、いや今日と同じくらいかな」
 彼はいつも帰りが遅い。ショーモーヒンのロードーシャだから仕方ない、彼自身はそう言っているが、私にとってはかけがえの無い人だ。どうか体を大切にしてほしい。
 親に今日も女友達の家に泊まるとメッセージを送り、手持ち無沙汰になった私は何となくテレビの電源を入れた。
 画面に写ったのは、多分暗いニュースばかりだった。
 ケイザイセイチョーリツがマイナスだとか、シツギョーリツが過去最悪だとか、ジサツシャが何万人で過去最高だとか、詳しいことは学校でやっていないけど、私と彼の今後のために良くないことだというのはよくわかった。
 私は彼がいないと生きていけない。だが、彼の会社は彼をどこまでも締め上げる。学校が私をイジメ続けるように。
「あ、今晩の分、買っておくからお金ちょうだい?」
「子供にかわせられねーよ。俺が買って帰るよ」
 私はいつか彼と結ばれ、彼の子供を産むことを願っている。しかし、その望みはおそらく叶わないだろう。
 社会に絞られる彼、社会に疎まれる私、二人の蜜月はもしかしたら傷の舐め合いに過ぎないのかもしれない。社会からしたら許されない関係だ。
 だが、善良な二人を殺そうとする社会に媚びる必要などない。今を生きる。それが如何に爛れた関係であっても、汚れた関係であっても、馬鹿な社会になんて文句は言われたくなんかない。
この作品をツイート

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
帰宅路にて ※未完
作者:ライチ お題:馬鹿な社会 制限時間:15分 読者:168 人 文字数:562字
中間テスト、全教科平均58点。 学校帰りの電車の中、イマイチ奮わない成績を思い出してため息をつく。 帰ったらまた母親にブツブツと小言でも言われるのだろう。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:メジャーな墓 制限時間:30分 読者:15 人 文字数:1222字
空は青い。空気はじわじわと迫ってくる。蜃気楼のような空気が震えている様子も見える。ただ僕は汗をかきながら、空を見ている。夏だ。大嫌いなこの季節がやってきた。蝉が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:みぺこ お題:ぐちゃぐちゃの処刑人 制限時間:30分 読者:19 人 文字数:325字
白銀の光を残して刃が駆ける。 街を埋め尽くす異形の群れ。高層ビルを臨む空からは奇怪な体躯の鳥が。路地裏からは目を血走らせ、六の手足を生やした狼が。灯りを失った 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:戦争と貯金 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:1172字
戦争と貯金にはお金の使い方で対照的でありながら連関している気配がする。我々の貯金は銀行によって運用されるが、最終的にどこで使われているのだろう。日本の国債はア 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:戦争と貯金 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:1353字
さきほどグーグルクロームが停止し、書き終わりかけた文章は終了間際に消失した。PC上で作文するものにとっては必ず経験する絶望感に襲われるが、即興小説は停止を許さ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:mas お題:意外!それはハゲ 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:508字
小野頭通りの天気は、このところ雨が続き、ダンスパーティに遅れそうな小鳥の急ぎ足のような音を盛んに響かせていた。車の上げる水しぶきの音は世界の終わりを告げるために 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つきもぐら お題:かゆくなる火 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:1201字
焚火を見ているとFは痒くなってきた。一年間のうちに自分が作ったものや書いたものを集めて燃やす儀式が執り行われれている。それは毛糸で編まれた人形だったりセーター 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:気向行夫 お題:鋭いボーイズ 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:345字
エイタは高校生である。 登校すると友人のシンジが声を掛けてきた。「おはー」 気の抜けた返事だ。 寝ぼけているのではなく、こいつはいつもこんな感じだ。「エイタは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おん お題:阿修羅宗教 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:608字
「……なんのために、そんなことをしないといけないんだ」 どうしてそれがお前じゃないといけないんだ、と幼なじみは苦しそうな顔で僕を見る。「……」 でも僕は彼に説明 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:気向行夫 お題:潔白な、と彼は言った 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:381字
女と男が対峙している。「本当のことを言ってよ」「……」 昼下がりの公園のど真ん中。 のんびりとした雰囲気にその二人だけ浮いていた。 女の目は狼狽える男を直視し 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 小説


ユーザーアイコン
※未完
作者:匿名さん お題:かゆくなる消しゴム 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:592字
走り出した。ビチャビチャと海水で服が濡れて重くなっていく。果てもないような地平線でかつて彼女が海岸で笑っていた。今では、ただの海でしかない。ここからずっと行けば 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:最後の博物館 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:494字
小さな頃から通っていた、大事な大事な思い出の場所。 最初は両親と一緒に行った。 初めて来た場所、初めて見る物に興奮が冷めなかったのをよく覚えている。 子供の時 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:神の喜劇 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:312字
こと、とチェス盤に駒が置かれた。それを見ていた男がふーと息を吐いた。「また、手に詰まった」「ふふふ、じゃあまた交換条件が発動かい?」 交換条件。それは互いに手 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
愛犬の最後 ※未完
作者:匿名さん お題:死にかけの尿 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:592字
大島良彦は四十年勤務した会社を三月に定年退職した。再雇用で六十五歳まで働くこともできたのだが、ひとまず区切りをつけて自由な身になりたいと考えたのだ。やりたいこと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:東京の探偵 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:1254字
「ここで僕の推理、聞いてくれませんか?」部屋の真ん中辺りを歩きながら探偵はにっこりと笑う。その推理は確実で、忠実で、繊細。だからこそその答えが導かれる。皆は彼を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:君と僕 制限時間:2時間 読者:1 人 文字数:2005字
君と僕が出会ったとき、僕の家の庭にはシオンが咲いていた。母が大事にしていた庭に亡くなった父がせっせと侵食するように植えたものだった。それは両親を亡くした僕にと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:奇妙な恋 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:893字
ああ美しい。私は今日もあの方の虜である。彼はそこら辺の男たちとは見た目が段違いで、声だっていい。性格も優しくて、頭もいい。売れっ子アイドルであるから、私だけの彼 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:永遠の経歴 必須要素:人間使用不可 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:564字
皆は知っているだろうか?人は経歴によって全てが終わってしまう事を。そして今、僕もこの経歴によって人間使用不可という罪を課せられる。ひどい話だ。僕の頭に被せられ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:マンネリな川 制限時間:30分 読者:5 人 文字数:1373字
あるところに川がありました見た目はごく普通だけど、実はこの川の中には肉食な魚がたくさんいるらしい少し濁っていてどのくらいの深さなのかは見当もつかないそんな川に散 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
東京地下洞窟 ※未完
作者:匿名さん お題:東京洞窟 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:260字
東京地下洞窟を知っているか?張り巡らされた地下鉄トンネルよりも遙か下に、ぽっかりと空いた大穴だ。まさに空虚としか言いようのない、黒インクのように暗い穴の淵に立つ 〈続きを読む〉