お題:馬鹿な社会 制限時間:30分 読者:22 人 文字数:998字
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彼と少女と社会
 朝、私はカーテンから溢れる朝の日差しで目を覚ました。だが、隣には彼の姿は既にない。
「おはよう、随分早いな」
 探し人は、マグカップを片手にキッチンから顔を出した。両目には酷いクマができていた。
「おはよう。私の分は?」
「今淹れている。砂糖大さじニ杯とミルクたっぷりだったよね」
「うん。でもブラックでもいいよ」
「成長期のお子ちゃまが背伸びして飲むものじゃないよ」
「えー、カップがお揃いなんだから中身もお揃いがいい」
「ワガママ言わないの」
 そう言って彼は再びキッチンへ戻っていった。
 ふと時計に目をやると、まだ6時にもなっていなかった。お風呂を借りて着替えて、それから朝食を食べて登校、スケジュールには何の問題もない。早起きは三文の得と言うけれど、まさにその通りだ。
「ねぇ、今日は早いの?」
 ベッドの横の机に置いていたスマートフォンを手に取り親に嘘の連絡を入れながら、私は今晩の予定について思考を巡らせていた。
「昨日、いや今日と同じくらいかな」
 彼はいつも帰りが遅い。ショーモーヒンのロードーシャだから仕方ない、彼自身はそう言っているが、私にとってはかけがえの無い人だ。どうか体を大切にしてほしい。
 親に今日も女友達の家に泊まるとメッセージを送り、手持ち無沙汰になった私は何となくテレビの電源を入れた。
 画面に写ったのは、多分暗いニュースばかりだった。
 ケイザイセイチョーリツがマイナスだとか、シツギョーリツが過去最悪だとか、ジサツシャが何万人で過去最高だとか、詳しいことは学校でやっていないけど、私と彼の今後のために良くないことだというのはよくわかった。
 私は彼がいないと生きていけない。だが、彼の会社は彼をどこまでも締め上げる。学校が私をイジメ続けるように。
「あ、今晩の分、買っておくからお金ちょうだい?」
「子供にかわせられねーよ。俺が買って帰るよ」
 私はいつか彼と結ばれ、彼の子供を産むことを願っている。しかし、その望みはおそらく叶わないだろう。
 社会に絞られる彼、社会に疎まれる私、二人の蜜月はもしかしたら傷の舐め合いに過ぎないのかもしれない。社会からしたら許されない関係だ。
 だが、善良な二人を殺そうとする社会に媚びる必要などない。今を生きる。それが如何に爛れた関係であっても、汚れた関係であっても、馬鹿な社会になんて文句は言われたくなんかない。
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