お題:間違った悪意 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:833字

ありきたりな殺意 ※未完
朝起きると流しには昨夜の洗い物が少し残っていた。久しぶりに飲んだビール、たったの350mlひと缶だけど、に酔ってしまってそのまま寝込んだようだ。
同居人はひとりベッドルームで寝ているようだ。それなら一声かけてくれたらいいのに、と思うものの、もし声かけられても多分起きないだろうし、もしかしたら声をかけてくれたのかもしれない。
なんとなく会話がなくなってきたのはいつ頃からだったろうか。いまでは、本当に必要なことしか話さなくなってしまった。特に何が原因というものもないのだけど、これが世にいう倦怠期というものだろうか。いっそ、別れてそれぞれに生きていくのがいいのかも、と考えなくもないし、そう考えると何かわくわくするものも感じる。
嫌いなわけじゃないし、もちろん憎んでいるわけでもない。相手を大切に思う気持ちも、まあ、ひとなみにはあると思う。それは向こうもそうなんだろうと思う。
でも、大切に思うだけでは一緒に暮らしてゆくには十分ではないようだ。
では何が必要なのか、と問われると、答えに窮するわけだけど、とにかくぼくたちはそんな関係のままもう何年かをすごしている。それなりに楽しく、それなりに苦しみながら、まあまあ、世間一般的にごくありふれた、普通の関係ということなのかもしれない。

残った洗い物をしていて、何枚か重なった皿のいち枚を取り上げようとしたときに、その下に挟まっていた果物ナイフで 指を切ってしまった。たいした痛みはなかったのだけど、傷は案外深くて思いの外大量の出血にめまいがしそうになった。しばらく傷口を強く圧迫しながら、絆創膏を探しているうちに、そこら中に血が滴ってしまって、まるで何か事件現場のような感じになってしまって、少し楽しくなって、ひとりくすくす笑ったりしていた。

そこに同居人が起きてきて、その惨状をみて一瞬驚いた顔をしたのち、ぼそっと「おはよう」と言った。「おはよう」と返すと、「それ、あとで拭いといてね」と独り言のようにつぶやいて
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