お題:鈍い償い 制限時間:15分 読者:72 人 文字数:785字

そういえば、前世では彼女に殺されました
住屋詩織は、前世で俺を殺した女である。

あの時俺達は同じ国に属する戦士だった。
ある時俺は敵国への逃亡を謀った。それを察知した前世の詩織が、裏切者を断罪したというわけである。

高校に入り同じクラスになっても、それが前世の己の仇だとは気づかなかった。
その時は前世の記憶を取り戻していなかったからだ。
入学から半年ほどして突如、記憶は蘇った。そして自分を殺した女が詩織であることに、すぐに気づいた。容貌は前世とそっくりだったからだ。

本人から直接告げられたわけではなかったが、ほぼ同時に詩織も記憶を取り戻したのが様子をみていてわかった。
突然俺を見ると、気まずそうに目を伏せることが多くなったからだ。

お互いに決着をつけねばない、と思った俺は、ある日詩織を人気のない校舎裏に呼び出した。

「お前も、思いだしているんだろ?」
「ええ…」
詩織は小さな声で応えた。
「お前は前世で俺を殺した。どうして2人同時期に記憶が戻ったのかはわからないがな。とにかくお前には、俺に償ってもらう」
「償うってあれは貴方が…いえ、やめましょう」
詩織は何かを決意したように、俺の眼を真っ直ぐ見た。
「どんな事情があれ私が貴女を殺してしまったことは事実。どんな償いでもします。私はどうすればいいのでしょう?」
「良い心がけだ。それならな」

俺はニヒルな笑いを浮かべたつもりだったが、多分成功していなかったろう。

「償いとして…お、俺と、付き合ってくれ…」
「…は?」

詩織がぽかんとした表情を浮かべる。俺は一層恥ずかしくなって叫んだ。

「鈍い女だな。だから、お前のことが好きだって言ってるんだよ!」

俺が詩織に惚れたのは入学してすぐ、記憶を取り戻すずっと前である。

前世の因縁?それはそれ。思春期男子にとって現世の恋愛感情最優先なのは、自明の理というものではないだろうか?
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