お題:君のむきだし 制限時間:15分 読者:114 人 文字数:1350字

たわわな果実
 君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい。
 いくらイケメンであっても、こんな変態染みたことを言われたら、誰だって逃げる。
 少なくとも、わたしは逃げた。
「待ってくれ、他意はないんだ!」
 このイケメン、上田というわたしの同級生なのだが、こいつはしつこい性格のようだ。全速力で逃げるわたしを追ってくる。
「ただ、君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたいだけで!」
 こんなに嫌な「他意はない」が世界にあるだろうか、いやない。
 などと反語表現を使ってしまいたくなるほどに、わたしの中を嫌悪感が駆け巡る。ちょうど今、足を動かしているくらいの速度、つまりは持てる限りのスピードで、だ。
 クソ、変態イケメンめ。どうにかしてまかないと……。
「どうした、平田?」
「下村先輩!」
 そこに通りがかったのは、メガネ系イケメンの下村先輩である。上田はがっついて来るだけあって体育会系だが、この下村先輩は線の細い文化系の美男子だ。
「追われてるんです、助けてください!」
「誰に追われてるんだ?」
 わたしは手短に説明する。手短だが、インパクトが強すぎて「むきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい」と言われたことを語ってしまった。
「面白い子だね、上田という子は」
 先輩は笑う。確かに面白い。面白いが、先輩だって「君のむきだしのたわわなバナナを鷲掴みしたい」とかわたしが言ったらドン引きだろう。それと同じことだ。
「部室に来なさい。上田くんも書道部の部室に君がいるとは知るまい」
 そう言ってわたしの手を引いて連れて行ってくれた。

「これでよし、と」
 書道部の部室の扉に固く鍵を掛けて、先輩は一つうなずいた。
「はあ、よかった……。まったく、どうしようかと思いましたよ」
「そうだね」
 下村先輩は穏やかにうなずいて、わたしの隣に座布団を持ってきて座った。
「そもそも、わたしにたわわな果実ってありますか?」
 聞いてみて、しまったこれは逆セクハラだ、と後悔した。先輩は鷹揚に笑って流してくれたが、恥ずかしい……。
「うーん、そうだな……」
 先輩はわたしの胸を一瞥した。
 たわわというには平たいし、かといってないわけではない、普通の胸だ。
「だがな、平田よ。たわわな果実とは、胸部ばかりにつくものではないんだ」
 立って、と言われて立ち上がると、先輩はわたしの背後に回った。
「ヒップ、即ち尻もまた、たわわな果実と言えるだろう」
 ぎくりとして、わたしは振り向こうとしたが、先輩が腰を掴んでそれを阻んだ。
「平田……」
 そっと後ろから抱きかかえられて、わたしはゾッとした。先輩はそんなわたしをよそに、耳元でささやく。
「君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい」

 書道部の部室で、わたしは服を剥かれて転がされた。
 先輩は最初から上田とグルで、彼は何と書道部のロッカーから姿を現した。
 わたしは身体の左側面を下に寝かされた。腕は万歳の格好で、足首と手首を縛られている。
「いいぞ、平田のむきだしのたわわな上の果実は……」
「ああ、そうだ。平田のむきだしのたわわな下の果実もだ……」
 上田はわたしの胸を、先輩はわたしのお尻を鷲掴みして恍惚と呟く。
 わたしは脇を剃り忘れてるのばかり考えていた。
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