お題:君のむきだし 制限時間:15分 読者:162 人 文字数:1350字

たわわな果実
 君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい。
 いくらイケメンであっても、こんな変態染みたことを言われたら、誰だって逃げる。
 少なくとも、わたしは逃げた。
「待ってくれ、他意はないんだ!」
 このイケメン、上田というわたしの同級生なのだが、こいつはしつこい性格のようだ。全速力で逃げるわたしを追ってくる。
「ただ、君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたいだけで!」
 こんなに嫌な「他意はない」が世界にあるだろうか、いやない。
 などと反語表現を使ってしまいたくなるほどに、わたしの中を嫌悪感が駆け巡る。ちょうど今、足を動かしているくらいの速度、つまりは持てる限りのスピードで、だ。
 クソ、変態イケメンめ。どうにかしてまかないと……。
「どうした、平田?」
「下村先輩!」
 そこに通りがかったのは、メガネ系イケメンの下村先輩である。上田はがっついて来るだけあって体育会系だが、この下村先輩は線の細い文化系の美男子だ。
「追われてるんです、助けてください!」
「誰に追われてるんだ?」
 わたしは手短に説明する。手短だが、インパクトが強すぎて「むきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい」と言われたことを語ってしまった。
「面白い子だね、上田という子は」
 先輩は笑う。確かに面白い。面白いが、先輩だって「君のむきだしのたわわなバナナを鷲掴みしたい」とかわたしが言ったらドン引きだろう。それと同じことだ。
「部室に来なさい。上田くんも書道部の部室に君がいるとは知るまい」
 そう言ってわたしの手を引いて連れて行ってくれた。

「これでよし、と」
 書道部の部室の扉に固く鍵を掛けて、先輩は一つうなずいた。
「はあ、よかった……。まったく、どうしようかと思いましたよ」
「そうだね」
 下村先輩は穏やかにうなずいて、わたしの隣に座布団を持ってきて座った。
「そもそも、わたしにたわわな果実ってありますか?」
 聞いてみて、しまったこれは逆セクハラだ、と後悔した。先輩は鷹揚に笑って流してくれたが、恥ずかしい……。
「うーん、そうだな……」
 先輩はわたしの胸を一瞥した。
 たわわというには平たいし、かといってないわけではない、普通の胸だ。
「だがな、平田よ。たわわな果実とは、胸部ばかりにつくものではないんだ」
 立って、と言われて立ち上がると、先輩はわたしの背後に回った。
「ヒップ、即ち尻もまた、たわわな果実と言えるだろう」
 ぎくりとして、わたしは振り向こうとしたが、先輩が腰を掴んでそれを阻んだ。
「平田……」
 そっと後ろから抱きかかえられて、わたしはゾッとした。先輩はそんなわたしをよそに、耳元でささやく。
「君のむきだしのたわわな果実を鷲掴みしたい」

 書道部の部室で、わたしは服を剥かれて転がされた。
 先輩は最初から上田とグルで、彼は何と書道部のロッカーから姿を現した。
 わたしは身体の左側面を下に寝かされた。腕は万歳の格好で、足首と手首を縛られている。
「いいぞ、平田のむきだしのたわわな上の果実は……」
「ああ、そうだ。平田のむきだしのたわわな下の果実もだ……」
 上田はわたしの胸を、先輩はわたしのお尻を鷲掴みして恍惚と呟く。
 わたしは脇を剃り忘れてるのばかり考えていた。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ミズノガク@即興小説82日 お題:君の豪雪 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:433字
雪。いつも見ているはずの雪。なのに。雪を、こんなにも強く感じるなんて。北国生まれ、北国育ちの俺にとって、雪は当たり前のようなものだ。言わば、なくてはならない水や 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:君と絵画 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:757字
もうどれくらい経っただろうか。君とこの地へ逃げてから。いや、逃げてきたのではない。希望して、期待してこの地に辿り着いたのだ。この青い空に、この白く大きな雲に、そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:永遠の血液 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:300字
白浜に引き出された男は来たる時を待っていた。白装束に身を包み、読み上げられる書状。「罪状。人魚の血を飲んだと触れ回り、数多の人々から金品を詐取したこと。これによ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李はそこそこ歩いてる。 お題:純白の螺旋 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:784字
螺旋階段の魅力にはまった親が作ったのは、螺旋階段を主軸にしたデザインハウス。階段のまわりにぐるぐると部屋が分かれてるから非常に効率が悪い。 真ん中にエレベータ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:腐った殺し屋 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:507字
僕は人を殺したことがない。 僕は善良な一般市民だ。法律で裁かれたことがないという点では。普通の家庭で、普通の大学に入って、普通に就活をした。 僕は、殺し屋だ。 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:ダツ=D・U=脱衣拳 お題:猫の孤独 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:1222字
いつの時代も、猫を主役にした物語は多い。なぜであろうか。おそらく、人間は自由気ままにあちこち動く猫が羨ましいのだろう。自由ではない人間が、自由である猫に敬意を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:寒い人間 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1047字
私は、”冷血動物”とあだ名されているが、ことさら人に冷たくしているつもりはない。 ただ、他人に熱が、興味が無いだけである。 「先輩、昼飯、一緒に食いに行きまし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:うへへ、成功 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:976字
「ただいま!」 勢いよく扉が開く音に思わず私は目を覚ます。炬燵の天板から顔を上げると、うきうき顔の早紀がコートをハンガーに掛けていた。どうやら私の知らぬ間に外に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
未完 ※未完
作者:水多 お題:俺と絵画 制限時間:15分 読者:38 人 文字数:849字
その絵画と初めて出会ったのは、去年の夏休みののとだ。 気恥しいからやめろという俺の手を、無理やりひっぱる親父につれられて行った、フリーマーケット。 その片隅に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:岡田朔 お題:俺と絵画 制限時間:15分 読者:29 人 文字数:709字
目の前のキャンパスに向かうこと十五分。全く何も浮かばない。時計の針は回転し続け、俺から命を奪っていこうとしている。比喩ではない。文字通り命を奪われようとしている 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:小説家たちの行動 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1214字
「ズル休み! 大人の深夜相談室!」 ラジオDJ・セオドア鳴子が高らかにコーナータイトルをコールする。「このコーナーでは、リスナーのみなさんから寄せられたお悩みを 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:かたい民話 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:1160字
「第二次××市・町おこし計画?」 手渡された資料の表紙を見て、塚田は顔をしかめた。 またやるのかよ、と呟き、自分の机の上にその紙束を放り投げた。 塚田は××市の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:トカゲの小説合宿 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1177字
「リザードマンが持ち込みを?」 王国で第三位の規模を誇る出版社、ゲッテルベルク出版の下にやってきたコートの男、その素顔はまごうことなきリザードマンであった。「は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:安全な計算 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1061字
「リンゴが3個載ったカゴが5つ並んでいます。リンゴは全部で何個ありますか?」「……どうしたの、急に」 いきなり小学二年生レベルの計算問題を繰り出す真倉エミリに、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:淡い衝撃 必須要素:直木賞 制限時間:1時間 読者:34 人 文字数:3212字 評価:4人
先輩はひどく非合理な人間だ、と僕は思う。「ねえ?」 テーブルを差し挟んで向かいに座る先輩は、だらっと身体を突っ伏したまま僕に話しかけてきた。 僕は返事せずに、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:アブノーマルな螺旋 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1092字
誰にも言っていない秘密がある。 わたしのおへその上には、ねじがついているのだ。 ねじは突き出ていて、完全に中には収まっていない。ぴょこんとねじの頭、半ドーム状 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:ワイルドな足 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:1052字
改造人間専門の研究所「キマイラファクトリー」を訪れたのは、陸上選手を名乗る青年だった。「足の筋を事故で切ってしまった。日常生活に支障はないものの、もう陸上はで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:団地妻の豪雪 制限時間:15分 読者:29 人 文字数:1152字
訪問販売なんて業態が、何故今も残っているのだろうか。 俺はそんな疑問を自分の職業に対して抱えていた。 今は大抵の家のインターホンにもカメラがついていて、相手は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:緑の囚人 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1378字
森の中に、その人はいた。 茂みの中に隠れるように伏せていたので、最初はわからなかった。 「おい」と声をかけてきて立ち上がった時は、何か大きな野生動物のように思 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:素朴な女祭り! 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1238字
田中は童貞なのだが、周りの人間をバカにしている。 「女と寝てみたい」と言いながら、他のそれができた人間を下に見ようとしているのだ。「そういうのよくないぜ」 田 〈続きを読む〉