お題:ワイルドな豪雪 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:682字

雪降る時は
「すげー雪だな。こりゃ」
翔太が帽子のつばに手を掛け、空を見上げた。
大きな平屋建ての瓦には、たっぷりと朝日を含んだ雪が乗っている。
晴れた陽の光を反射して眩しいくらいだった。
美里が玄関からママさんダンプを押し歩き、隣に並んでくる。
「久しぶりだねえ。こんなに振るのは」
「だな。いつぶりだろう」
美里が斜め上を見ながら指折り年数を数えて行く。
「まだ中学生だったから、三年前かねえ。早いね。こう考えると」
「そうだなあ」
差し出されたスコップを受け取る。目線まで積み上がった雪を見て、気が遠くなった。
「降ろすの、屋根登るの?」
すっかり自分は地面担当のつもりらしい美里は、軍手をはめてやる気になっている。
しょうがない。このあたりでは唯一の若い男手だ。時点は40になる翔太の叔父だった。
大きく伸びをすると、長靴を持って家の中に入る。二階まで上ると、窓の半ばまで雪が積もっていた。
足で蹴っ飛ばして隙間を作り、なんとか乗る。
雪崩を起こさないよう、足場をしっかりと踏み固めた。
屋根の上からは、町中がよく見える。一面真っ白に雪で覆われて、家々はどこと無く丸みを帯びていた。
「翔太、頑張れ。ありがとね」
階下から声が聞こえる。見下ろすと、中学の時から一切変わっていない幼馴染の笑顔が見えた。
片手をあげて応える。
スコップを雪に差し込むと、その先が思ったよりも軽くなっていることに気が付いた。
腰を据えて下に降ろす。
これなら、祖母の家の雪下ろしだけでなく、隣の爺さんの家まで手伝えるかもしれない。
かすかな成長に顔を緩ませながら、スコップを雪に差し込んだ。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:たら子 お題:気高い秋 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:886字
秋になると思い出すことがある。それは、夕方の色をした川縁だったり、美味しそうにふわふわと揺れるススキの束だったり。その中でも唯一無二の記憶は、実家の縁側で寝そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:愛の「えいっ!」 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:497字
世界の終わりを告げるかように太陽の照りつける夏。深水愛はただ一人海に向かった。彼女の抱える鞄は恋人だった男がプレゼントしてくれたものだ。中身も同様に元恋人のプ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
針と糸 ※未完
作者:ぱやしだキコ お題:楽しかった外資系企業 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:308字
それは記憶の紡績工場。いまなお続く老舗のお店。暗い暗い暗い暗い、しかし光る絹の糸。あすこが貴方の居場所でしょうよ。解こうとしても解けないんだもの。御誂え向き。嗚 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:僕の嫌いな絶望 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:269字
まあねこんな事やってるからこの暇つぶしする前の僕の嫌いな絶望やんと思った人は帰りの会で先生にいいまーすこのくだり知ってる人はマキシマムザホルモン知ってる人だとか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:見憶えのある耳 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1332字
大学時代の田中という友人がとんでもないことになっていた。 SNS上でコンタクトを取ってきたので、気楽に「じゃあ久しぶりに会って飲もう」と言ったのが間違いだった 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:かたぎり お題:苦し紛れの彼氏 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:137字
昴はなんとなくまつ毛カットをしていた。すると、なにやら異様に長い毛が現れた。「なんで!?」昴は周囲に気を配った。「なんだ、あの髪の毛か。」納得がいってて昴はほっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たこさん お題:見憶えのある本 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:399字
伸ばした指先をじっと見つめる。視線の先には、薄汚れた古い本があった。屋敷の中でも、誰も来ない書庫の一番奥。なぜか、私はその本を知っていた。ただ、中身が思い出せな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かたぎり お題:理想的な眠り 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:146字
倭は休みなく犬の散歩をしていた。すると、なにやら手を振って歩み寄るおじさんが現れた。「なんで!?」倭はあたりを見回した。「なんだ、あの最近知り合ったお客さんか。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:名付けるならばそれは誤解 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:219字
「明日、また会いにきますね」それが、彼女……木古内楓が僕に残した最後の言葉だった。その「明日」は、猛吹雪という天候で訪れた。まるで、襲いかかるように吹き付ける雪 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:彼女が愛した屍 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:718字
「火葬だなんてとんでもないわ」 それが敬虔なクリスチャンだった彼女の口癖で、なんでも来るべき救済のときに、人は元あった肉体で蘇るのだから、燃やしてしまうのは言語 〈続きを読む〉

佐藤りーまんの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:汚れた狐 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:481字
獣の目を見たのは、その日が初めてだった。佐藤は荒ぶれた竹藪の奥で陽の光を避け、息を潜めている。昨日上級者向けの山を登っていると、正規ルートから外れ、遭難してしま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:今年の豪雨 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:399字
窓を打つ雨音を聞いていると、高校の図書室を思い出す。古い紙が湿気を含んだ、独特の匂いが舞い上がってくる。そこにはいつも僕と彼女だけが居た。彼女はただ貸出カウンタ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:私と四肢切断 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:439字
話したこともないクラスメイトの笑い声が、耳から離れないでいる。僕は頭を抱えた。長い髪が指の隙間を滑り抜ける。切り口からは黒く粘ついた血液が垂れ下がった。抱えてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:ワイルドな豪雪 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:682字
「すげー雪だな。こりゃ」翔太が帽子のつばに手を掛け、空を見上げた。大きな平屋建ての瓦には、たっぷりと朝日を含んだ雪が乗っている。晴れた陽の光を反射して眩しいくら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:昨日食べた殺し 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:428字
手のひらから一羽の蝶が生まれるのが分かった。鱗粉を指に散らし、青く発光する羽を震わせている。背の高い白髪の青年は、手の中の命を慈しむように見つめていた。「またで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:昨日食べたコンサルタント 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:614字
口の周りを拭った。髭にはところどころ冷えて固まった血がこびりついている。指先でほぐしながら唇を舐めた。「美味しかった?」隣の男がパソコン画面から目を逸らさずに聞 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:彼女が愛した風邪 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:707字
「秋人」無機質な彼女の声がした。ゆっくりと目を開ける。家庭用アンドロイドのユキが小さな土鍋を乗せた盆を持って立っている。「いいよ、そこに置いておいて」「お医者様 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:過去のカップル 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:447字
目覚めても、涙は溢れていなかった。鳴り続けるスマートフォンを握りしめる。昨日の夜、いつものような食事の後に彼女に別れを告げられた。驚くほど呆気なく、つい一週間前 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:今日の山 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:560字
「筆記用具を置いてください」聞き慣れた教師の無機質な言葉で、現実に引き戻された。とっくの昔に切れた集中力の切れ端を集めて、マークミスが無いか確認する。後ろから回 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:空前絶後の悲しみ 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:455字
空前絶後の悲しみは、不意に襲ってくる。今日は食器を洗うため、スポンジで泡を立てていると、視界が歪み涙が溢れてきた。理由などない。ただ、感情を排泄するように生理現 〈続きを読む〉