お題:ワイルドな豪雪 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:682字

雪降る時は
「すげー雪だな。こりゃ」
翔太が帽子のつばに手を掛け、空を見上げた。
大きな平屋建ての瓦には、たっぷりと朝日を含んだ雪が乗っている。
晴れた陽の光を反射して眩しいくらいだった。
美里が玄関からママさんダンプを押し歩き、隣に並んでくる。
「久しぶりだねえ。こんなに振るのは」
「だな。いつぶりだろう」
美里が斜め上を見ながら指折り年数を数えて行く。
「まだ中学生だったから、三年前かねえ。早いね。こう考えると」
「そうだなあ」
差し出されたスコップを受け取る。目線まで積み上がった雪を見て、気が遠くなった。
「降ろすの、屋根登るの?」
すっかり自分は地面担当のつもりらしい美里は、軍手をはめてやる気になっている。
しょうがない。このあたりでは唯一の若い男手だ。時点は40になる翔太の叔父だった。
大きく伸びをすると、長靴を持って家の中に入る。二階まで上ると、窓の半ばまで雪が積もっていた。
足で蹴っ飛ばして隙間を作り、なんとか乗る。
雪崩を起こさないよう、足場をしっかりと踏み固めた。
屋根の上からは、町中がよく見える。一面真っ白に雪で覆われて、家々はどこと無く丸みを帯びていた。
「翔太、頑張れ。ありがとね」
階下から声が聞こえる。見下ろすと、中学の時から一切変わっていない幼馴染の笑顔が見えた。
片手をあげて応える。
スコップを雪に差し込むと、その先が思ったよりも軽くなっていることに気が付いた。
腰を据えて下に降ろす。
これなら、祖母の家の雪下ろしだけでなく、隣の爺さんの家まで手伝えるかもしれない。
かすかな成長に顔を緩ませながら、スコップを雪に差し込んだ。
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