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お題:紅茶と光景 制限時間:1時間 読者:30 人 文字数:1802字

星とお茶会、そして瑠璃
郵便ポストを見て仰天する体験なんて後にも先にも今回だけだろう。
上品な便箋。上品な封筒。こんな上流階級が仲の良い人だけの文通に使うような紙でしたためた手紙など今後はもうもらう事はない。いや、そもそも今回来た事自体が軌跡のようなものだった。
「それにしても、誰が?」
頭をひねりながら、手紙の内容を僕は詳しく読み始めた。

拝啓 田島 洋一様ことヨウ君へ
お久しぶりです。小学生の時以来だったかしら。私の事はきっと覚えてないでしょう?
もし覚えてくれていたら嬉しいですが、そうではなくてもあまり気に病まないで下さい。
なにせ、もう十年も前の事だもの。きっと顔を忘れてるかもね。
そういえば、大学に進学しているようね。東京の大学だったみたいね。友達から聞いたわ。
近々、東京に戻るから、もし予定が合えば世田谷の実家でのお茶会に招待するわ。
その時は、パパにこの手紙を見せてちょうだいね。

会えると嬉しいです。宮坂瑠璃より

当然ながら行くことにした。
何かの悪戯を思わず疑ってスマホからメッセージを送ってみた。嘘じゃない。間違いなく瑠璃だった。
八王子の駅で降りて、かなり歩いた。何年ぶりだろう。瑠璃は田園調布にずっと残っているとは聞いていたが、今どうしているだろう。
あまり、宴会とか人付き合いは得意ではないが、女の子の誘いというならやぶさかではなかった。
行く。絶対行く。ドキドキしてはいた。もともときれいな子ではあった。いまどうしているだろう?
この日のためにサークルやバイトの予定を変えてもらった。周りがにやにやしていたのは気にしない。
どうせ、女の子のことになると躍起になるのは、悪い事じゃない。むしろ自然だ。
決意を新たに足を進める。
実家はかなり『いいお家』であった。そりゃそうか。なにも変わってない。この近辺はそういう家が多い。しかしなんでまたこんなところのお嬢さんと同級生でいられたのだろう?今でも不思議だった。
チャイムを鳴らす。
「はぁい。少々お待ちを……」
玄関から女の子が出てきた。
「ヨウ君だよね?」
「そうだ。洋一だ」
「背、高くなった?」
「まあね」
「すっごい久しぶり!入っていってよ!」
予想以上だ。すごい美人。あの頃から美少女だったけど、それ以上。黒髪のお下げがサラサラロングヘアに変身。しかも似合う。パッチリ目も可愛らしく整った鼻も変わってねえ。
瑠璃一家は実家ぐるみで仲が良かったが、中学はごたごた、高校も別々。大学も別。そのせいか、しばらく会ってなかった。瑠璃のことは母経由で聞くしかない。今のところ……。

お茶会って、他に誰がいるのだろう?

そう考えると異常な『なにか』が込み上げる。『何か」が日常の風景を侵蝕する。暗く、明るく、暗く、明るく。色彩も異様に歪むような錯覚すら感じざるをえなかった。
「ヨウくーん?」
「んん?」
「ぼーっとしてる。彼女の事考えてたの?」
「はずれ」
「はぁ。だめだよ。いろんな人と付き合わなきゃ」
「ルリぃ、君はおかんかいな……」
「あははは、良く言われる!」
相変わらず、笑顔が明るかった。この天真爛漫なスマイルにはどんな美女も太刀打ちできないだろう。太陽より暖かい。はぁ、なんであんなネガティブモード入ってたんだろう。ばかみたい。
「さて、せっかくだからお茶会に行かないとね。ここで立ち話ってのもね」
「うん。まあな」
そういって二人は敷居の中に入っていった。

ダージリン。アールグレイ。アッサム。ドアーズ。シッキム。お茶菓子も勢揃い
イギリスにでも迷い込んだのかと勘違いしかねない。なんせ本格的だったのだ。
男はどうも俺だけらしい。俺と瑠璃以外は女五人。女五人。
気の強そうなお嬢さん。双子。体育会系っぽい元気ッ子。瑠璃の親友。
普通なら、がくがくに緊張する。男一人なんて慣れてない。
しかし、今回は瑠璃の家であることに助けられた。瑠璃関連でいろいろ話で来たせいか思ったよりも話が弾んだ。この子たち瑠璃の友達みたいだ。しかも仲いいな。ファンクラブか。
和気藹々とした様子で、それまでの事を話せた。これからの事も。
特に瑠璃の親友のミキちゃんと意気投合。同志よ。

夜中。瑠璃と空を見た。望遠鏡を借りて空を見る。星が見えた。瑠璃とこれからどうするか。メモに何の予定を書き込むか、ぼぅっとそのことだけを俺は思案していた。
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