お題:うるさい始まり 必須要素:ステマ 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:893字
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「再会」
 もしもあの頃の私が三谷くんのことを好きだったって言ったら、あなたは信じる?
 そんな言葉を急に投げかけられ僕は立ちすくんだ。

「えっ……?」

 思わず口から出たのは、自分でも酷く間抜けに感じるようなセリフだった。

「あは……なにそれ? そういう冗談はやめようよ」

 心臓に悪いからさ、と付け足すようにして言う。
 ルナは僕の言葉に何も返さず静かにほほ笑んだ。

 彼女の名前はルナで、漢字で書くと月という字で、ひそかに「うわスゲエ名前」と思っていたけど、そのことを彼女に打ち明けたことは一度も無かった。

 ルナってなんだよ、月って書いてルナって読ませるなよ、もっと漢字を大事にしようぜ、なんて思っていたけど、僕の周りの人間は誰一人として彼女の名前にツッコミを入れなかった。

 ひょっとしておかしいのは僕の方なんだろうかと感じた中学の日々。あの頃のルナが僕を好きだったとして僕はどう感じたのだろうか? やはり戸惑っただろう。

 色々な意味で。色々な意味で戸惑ったはずだ。まず僕は彼女の名前に戸惑っていた。そんなことでイチイチ頭を悩ませる僕は、最初から彼女にはふさわしくない男なのかもしれない。

「冗談よ」

 ようやくルナがその言葉を口にした時、僕は少しだけホッとして、やっぱり少しだけショックを受けていた。

 自分勝手なものである。どこかで彼女に惹かれていたのかもしれない。それはもしかして、好きだった、なんて冗談にでも言われたからかもしれないけど。

 いつもそうだ。僕は周りの言葉に流されやすい。自分の気持ちが本当なのか嘘なのか分からなくなる。だからステマとかは止めて欲しい。ステマされると欲しくなるからだ。

 あの頃の僕が買ってしまった目玉が飛び出すラクダの人形、なんであんな物を買ってしまったんだろうといつも後悔している。そんな気持ちは、もちろん口に出さないで僕は言った。

「まあ何にしろ大学が一緒になるなんて奇遇だね」

「そうね。これからよろしく」

 よろしくねと僕は答える。
 奇妙な再開は、これから始まる騒がしいスタートを予感させていた。

 
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