お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:2337字 評価:0人

いらないことした
ジェフリー・ディーヴァーさんのリンカーンライムシリーズの二作目は、コフィンダンサーで、私はそのタイトルを見た時とても興奮した。
「コフィンダンサー?それは何ですか?対象女性を殺した後に、その人の遺体と踊る人ですか?」
って思ってとても興奮した。その意味の分からなさ?そういうものに興奮した。いけない興奮の仕方なんじゃないかとは思ったんだけども、でも抗えなかった。

興奮した。

で、これは実際読んでみると違う。冷静に考えてみたらそんなの意味ないし、遺体と踊るなんてすごく大変だろうし。とにかく違う。違った。だもんで、三作目のエンプティ―チェアのタイトルを見た時も、気を付けようと思った。

「ハンプティダンプティみたいな!?なんか椅子に縛り付けて?何かを見せる的な?エンプティ―チェア?」
っていう様な事を考えるのはやめようと気を付けた。実際三作目を読んだ時は気を付けてよかったと思った。それは一種の治療法だった。エンプティ―チェア。んで、四作目が石の猿で、これまた私個人的には興奮を禁じ得ないタイトルなんだけども、それはまあ、いい。まだ読んでないし。

ただ、エンプティ―チェアを読んでみて、この世の中には様々な治療法というか、そういうのがあるんだなあって思った。

で、私もやってみようと思った。エンプティ―チェア。

空の椅子を部屋の中央に置いて、そこに誰かを思い浮かべてお話をしてみる。

この字ずらだけだと、こっくりさんか、あるいは一人鬼ごっこみたいななんか異様な感じがあるし、人様には絶対に見せられないので、カーテンは閉め切る事にした。見られたら大変なことになる気がした。新興宗教のような感じがある。

で、
「・・・」
やってみて思ったのは誰も思い浮かばないという事であった。誰も思い浮かばない。誰も椅子に座ってくれない。なんか外国のどっかにある、座ってはいけない椅子くらい誰も座ってくれない。

「なら仕方ない」
そこで、想像力とコネクトしてみることにした。もちろん私の想像力など大したことはないんだけども、でも何もないよりはまし。で、想像力には依り代が必要なので、椅子にコミケのカタログを置いて、それを依り代にする事にした。

この時点で、治療法としてのエンプティ―チェアというものからは大きく乖離していたが、私は私で、何かが見たかったし、何もないままに終わってしまうと本当に意味が無かったので、そのことに気が付くことができなかった。

つってもひらがなを書いた紙を用意したわけじゃないし、お米を入れた人形を用意したわけでもないし、別に何も準備してないし、何があるものかとそのような思いであった。

だもんで、次にエンプティ―チェアをしてみてそこに誰かが座ったときにはとても驚いた。
「おおう!」
って言った。しかし椅子には誰かが座った。私は私自身がエンプティ―チェアをするんだから、おそらく私が誰か知り合い、何か言いたい人、思い残しがある人が座るもんだと思っていたのに、その誰かは私の知らない人であった。

私の知らない人が、カーテンを閉め切った私の部屋の私の椅子に座った。お腹が痛いのだろうか、前かがみで、長い髪の毛が垂れていて、顔が見えなくて、でもなんか、

私は部屋のカーテンを開けた。外の光が入ってきて部屋は明るくなった。

振り向いてみると椅子に座っている人もいなくなっていた。
「・・・」
しかし試しにもう一度カーテンを閉めてみると、椅子に座っている人がまた出てきて、おっとこいつはおっと、と感じた。余計なことしたんじゃないか感が強い。すごく強い。

やばいこれはやばい。
余計なことした。
寝た子を起こした感!

そもそも誰か知らないけども、黒髪の長髪のおそらく女性というだけで、もうあれじゃないか。ベタすぎるじゃないか。さだーこか、かやーこか、あるいはじょゆーうれーの感が出まくり。

駄々洩れじゃないか!

で、あれなんだろ、なんかのタイミングであの知らない人が顔上げたりして、そんで髪の毛の間から顔が見えて、それで私はあれなんだろ?もう駄目なんだろ?

もー、駄目なんだろう?死ぬんだろ?

夏ホラー的ななんかそういうのなんだろ?

自暴自棄になる心を何とかしつつ、とにかくカーテンを開けて、一回冷たいコーヒーとかを飲んで、ブレイクした。

そんでそのままカーテンはあけっぱにして、一回そのことを忘れる努力をした。色々な事を忘れる努力をした。

そしたら意外と忘れれたので、ほっとしてたら、夜の訪れと共に再びその人が椅子に現れたので、もおおお!ってなった。

「・・・」
今度もその人はお腹が痛いのか、前かがみになっていた。でもさっきと違って今度は紙切れを指の間に挟んでいた。

その紙切れはおそらくコミケのカタログをちぎったものであった。

それをなんか、雰囲気だけども、こっちにアピールしてきている気がする。

「と、とる?」
私はワニワニパニックとか、ワンワンパニックとか、そういうのを思い浮かべながら、慎重にその紙切れをとった。

いきなりガッて掴まれたらどうしようかと思いながら、慎重に。一生分の慎重を使う気持ちで。

「・・・」
とった紙切れには、住所が書いてあった。

「近所じゃん」
すごく近所じゃん。歩いて五分くらいの所じゃん。

現実逃避したかったので、そこに実際行って、一軒家だったんだけども、とりあえず、観察した。その家はカーテンを閉め切っている。

んで、試しに駅前に行って、電話ボックスから、警察に、

「あの家から異臭がする」
という通報を匿名でした。

すると、火をつけたみたいな騒ぎになった。


作者にコメント

対戦作品一覧


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:83 人 文字数:3565字 評価:1人
「えいっ、えいっ……!」 またあのおじさんいるよ、とマナは眉をひそめた。 白髪と長い髭が特徴的なそのホームレスは、マナの通学路にある広い運動公園によく出没する。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:2337字 評価:0人
ジェフリー・ディーヴァーさんのリンカーンライムシリーズの二作目は、コフィンダンサーで、私はそのタイトルを見た時とても興奮した。「コフィンダンサー?それは何ですか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:inout お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:70 人 文字数:3485字 評価:0人
神崎つらいさんが「えいっ!」とやると、幽霊が消し飛ぶのは有名な話だ。どんな怨霊も、どんな呪いもその一言で奇麗に消え去る。後に残るのは森林浴か大神殿かという清浄な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:70 人 文字数:2596字 評価:0人
兄の引っ越しの手伝いをすることになった。就職浪人でいつまでも実家の一室を占領していたおじゃま虫が、ついに出ていくのだ。家族は祝い、喝采し、我慢も続けているとい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:秘吹 雫 お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:38 人 文字数:2042字 評価:0人
「BLファンタジーってあるじゃん?」「あれか、実際はそんなつるっと入らないってやつ」「そうそう。現実的じゃないんだよね。というか真っ赤な嘘で、実際はありえない事 〈続きを読む〉

和委志千雅の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:神の幻想 必須要素:二人称 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:885字
「神だよ」日本には八百万の神がいて、とにかく神には困らない様子だ。それはもう八百万もいたら石投げたら神に当たるだろうと思えた。そして重要なのは、例えば一人の神は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:真紅の怒りをまといし階段 必須要素:丑三つ時 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:818字
丑三つ時に目が覚めた。トイレに行きたいという衝動が私の意識の外壁を突き破って夢中までに侵入したようであった。反射的に枕から顔を起こしてビデオデッキについている時 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:孤独な夕方 必須要素:直腸 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1062字
昔、うちのところのばあさんが、その当時子供である私に次のような話をした。「子供がいつまでも外で遊んでいると、直腸食べが来るぞ」と。普通、スタンダードにお化けとか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:運命の少数派 必須要素:ポエム 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:962字
「明日の天気はどうだろうなあ・・・晴れたらいいなあ。洗濯物も乾くし、あと、晴れたらいいなあ」心ばかりのベランダで空模様を眺めていると、突然後ろから衝撃が走った。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:つらい駄作 必須要素:しめじ 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:918字
「何か、これが自分だ。みたいな作品はありますか?」電話でそう聞かれて、言葉に窮した。これが自分だ?これが和委志千雅っていうの?なんだそれ?何者だ?「あ、あ、いっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:恥ずかしい夕方 必須要素:美しい情景描写 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:900字
目を覚ますと、夕方であった。くしゃみで目を覚ました。お酒を飲んで酩酊したうえでのこととはいえ、その場で布団もかけずに寝ていたのは不覚であったと思う。日中は暖かい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:アルパカの大雪 必須要素:ボーイズラブ 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:948字
アルパカに乗りたい。そんな思いが自分の中で浮上した。浮上したと書いたのは、それが本当に急に浮かんできたからだ。ぷかぁっと、浮かんできた。顔を出してきた。理由はわ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:激しい情事 必須要素:正月 制限時間:30分 読者:24 人 文字数:1715字
ジョージとの情事を行ってから、4、5日が経過した。「・・・」本音だけども、ジョージとの情事が発生するとは思っていなかったので、こうなんというか、ショッキングだっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:興奮したカラス 必須要素:男使用不可 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:941字
鳥というのは、逆にされると動かなくなるらしい。逆っていうのがちょっと分かりづらいかもしれないので、簡単なイメージとしては、鳥←を逆にするみたいな事。上下逆。そう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:素晴らしい借金 必須要素:FX 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:953字
友達の一人が、実家に帰るという話を聞いた。「え?何?帰るの?」ラインを送ってみた所、その日の返信は来なかった。まあ、夜中の10時に連絡したんだから、みていないと 〈続きを読む〉