ユーザーアイコン
お題:刹那のコウモリ 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:606字

「迎えに来て」今生だけではきっと足りない ※未完

 一秒間の変身能力を手に入れた。
 たった一秒。一日の内、たった一秒だけ、私はコウモリに変身できる。
 数十冊の魔道書を読破し、怪しげな薬にいくつも手を出し、それこそ血の滲む努力をしてようやく手にした変身の力が、たった一秒しか続かないことに、それこそ初めのうちは私も悲しんだ。信じなかった。怒りに打ちひしがれた。どんな表現でも良いが、その一秒間が自分の限界であると認めるのは苦しいことだった。だがいずれは慣れる。私は自分のたった一秒間の変身能力を受け入れ、楽しむことに腹を決めた。
 お気に入りは夕暮れの窓辺だ。本物のコウモリたちが飛び回る群青の空をしばらく眺めてから、ふいに、一秒だけ、コウモリの姿に変わる。人間としての私の体に纏われていた服たちが、支えを失っていちどきに緩く床へ落下する。私は一回、二回と確かに羽ばたき、そして無様に人間に戻る。服たちを踏みつけて、裸のままで、しばしば体勢を崩して膝を付きながら。おかげで、自室でしか変身は試せなかった。往来で試みようものなら、一発で社会的に居場所を失っただろう。
 私の願いは、窓辺で変身するその一瞬に、仲間のコウモリにこちらを見てもらうことだった。日々の毎秒を積み重ねて、私はエコーロケーションを練習した。試みることができるのは一日に一秒。発声のコツを掴むのに六年ほど掛かった。コウモリの言語を習得するのにあと何年掛かるのか、まったく考えたくない。彼らは
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:刹那のコウモリ 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:847字
誰にでも優しく接しなさい。それが母の教えであり、わたしが肝に銘じていることだった。 その言葉通り、わたしは接する人間すべてに優しくあろうとした。「陸奥さんたち 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:regalec お題:ねじれた部屋 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:800字
ここはどこだろう。気が付くと目に入る景色は森の中だった。でも、足元のふわふわした土のものとは思えない感触、そして、何かに操られるように一直線に進んでいくよくわか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かりばぁ お題:うるさい靴 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:721字
こんな靴、履けるわけないじゃん。赤色にぎらぎらしたその靴を横によけて、ミカは小さく溜息をついた。あいつ、ファッションのことなんてなんにもわかんないくせに、主張ば 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:じゃが@金鯱号part4 お題:うるさい靴 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:769字
玄関を出たところで転んだ。 根本の原因は、単純につま先をタイルにつっかけてしまったことだ。もちろん大学生にもなってそれくらいで転んだりはしない。おっとっと、な 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
突然の奈落 ※未完
作者:減塩にぼし お題:突然の奈落 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:539字
幸せな体験をした後に、その反動で深い深い闇に落ちる。昼に人と会い、さんざん楽しんで泥のように寝床に入ったはずがいつの間にか奈落に落ちている。仕事がうまく回らず 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:突然の奈落 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:790字
「愛した女を探しているって、言ってたよな」「あぁ。そのとおりだ」「……なのに、なんでそんなふうに、地面にはいつくばっているんだ」 仰向けに倒れた相棒からは、青い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:俺と食事 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:594字
今日も疲れた。 安アパートのスチール階段に足をかけ、今日一日を振り返る。 朝、寝坊した。朝食は駅中のコンビニで慌てて買ったウィダーインゼリー1パック。摂取した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
帰り道 ※未完
作者:匿名さん お題:理想的な黒板 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:132字
「暑いなぁ。」 日差しのきびしい一本道を竿を担ぎなから息子の武志に声をかけた。 疲れを隠しているのか、それとも釣り場からの駐車場への戻る道がどの位かを知っている 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:めっちゃ痛み 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:362字
「いたたたた! なにこれめっちゃ痛い! いたたたた!」「ほう? おまえ、どう痛むんだ」 友人が突然胸を押さえて痛がりだしたから冷静にそう聞いた。「どう、って…… 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:小説の中の空 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:356字
文字が読めるようになってから、色のない本を手にとるようになった。ずっと白と黒の世界が広がっているのに、私の中に広がる世界はカラフルだった。ある時は外国の少年にな 〈続きを読む〉

の即興 小説


ユーザーアイコン
作者: お題:近いお尻 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:900字
死者の戻ってくる日、という風習は世界のあちらこちらにある。 東の島国では彼らの送迎まで用意するというし、西の大陸には気が触れるほどの鮮やかな色彩で彼らの帰還を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:刹那のコウモリ 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:606字
一秒間の変身能力を手に入れた。 たった一秒。一日の内、たった一秒だけ、私はコウモリに変身できる。 数十冊の魔道書を読破し、怪しげな薬にいくつも手を出し、それこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:女の海辺 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:798字
人魚の子を身篭った。 孤独な身の上、それも自営業だったので、誰にも説明を求められはしなかったが、切実な問題として、産むのに良い場所がなかった。人間の病院には掛 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:暗い心 制限時間:15分 読者:56 人 文字数:758字
火傷だらけの鬼がひとり、森を歩いてゆく。 その晩は新月で、鬼にとって幸いなことに、今にも雨を降らしそうな厚い雲が夜空をみっしりと埋めていた。風も重く、優しく、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:孤独な黒板 制限時間:15分 読者:67 人 文字数:690字
その日、登校すると、黒板には暴言が描き殴ってあった。私の名前と一緒に。およそ板書にはそぐわない、たった数文字で黒板の端から端までを埋めてしまうほどの、大きくて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:3月の動揺 制限時間:15分 読者:68 人 文字数:743字
最近ちょっと困っていることがあって、と、二百年ぶりに再会した旧友は挨拶もそこそこに口火を切った。 最近と言ったって、私たちの尺度のことだ、どうせ三百年以内の出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:セクシーな善人 制限時間:15分 読者:64 人 文字数:377字
新宿何とか丁目の細い裏路地、丑三つ時の間だけ、とある地縛霊が人生相談所をやっているらしい。しかも、実に盛況であるらしい。先週の土曜は十人以上の大人たちが寒空の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:当たり前の木 制限時間:15分 読者:64 人 文字数:456字
裏山に佇む一本の白樺が、私の神様だった。 いつから信仰心を抱くようになったのかは覚えていない。物心ついた頃にはもう、裏山で遊びまわった帰り道に、白樺に手を合わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:戦争と絶望 制限時間:15分 読者:75 人 文字数:861字
どうも私は気が狂っているらしく、ふたつの時間を交互に生きている。 現在と100年後の世界、と言うべきか、100年前と現在の世界、と呼ぶべきか、いまいち判断が付 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:静かな傘 制限時間:15分 読者:68 人 文字数:782字
不思議ではあるけれど、何の役にも立たない代物、というのが世の中にはそこそこ存在する。 祖父から譲り受けたこの傘も、そんな代物のひとつだった。祖父もまた知り合い 〈続きを読む〉