お題:純粋な遭難 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1270字

登山 ※未完
「山とか登るといいっすよ」
どうでも良さそうにそう言ったクソ生意気な後輩の言葉を、あの時どうして流せなかったんだろうか。
後悔してももう遅い。とにかく俺は今、山道の中に迷い込んでいる。
あ、遭難ってやつだこれ、と気づいた時にはもう、手遅れだったのだ。

色々と悩んでいた。人生について。将来について。ありきたりな悩みかもしれないけれど、就活がなかなかうまくいかず、俺はその日、高校時代の後輩を呼び出して飲んでいた。
「なんかさー、みんなどんどん内定取るわけ。お前も来年になったらこの辛さがわかるよ」
「んなこと言ったってやるっきゃないじゃないですか。目の前のことを淡々とこなすしかあんたには能がないんだから」
なんて、見下した発言をしつつハイボールを煽る後輩に、それでも何故か本気で怒る気にはならず、俺もビールに口をつけた。
「でもなあ、考えちゃうんだよ、暇ではあるからさあ、ふと余計なことをな」
「あーじゃあ暇じゃなければいいんだ。山とか登るといいっすよ」
気のない答えに、それでも何故か俺はやたらと心を掴まれた。
「山?」
「山。あ、あと俺院進するんで来年就活しないっす」
ごちそうさまでした、と言って後輩はさっさと帰って行った。
その背中を見送っていると、スマホが鳴った。慌てて手に取る。ドキドキとメールを開く。
それは、やはりというかなんというか、お祈りメールだった。
落胆し、スマホをしまいながら一人、ぽつりと呟く。
「山かあ」

そんなこんなで久々の丸一日空いた休日に、俺は単身山に乗り込んだ。結果は見ての通りだ。ここはどこだ。
右見ても木、左見ても木。前も後ろもわからない。
薄暗くなって、冷えてきた。ぞっとする。もしこのまま、夜まで帰れなかったら。
ーーあなたの強みを教えてください。
面接官の声がよみがえる。
「そんなもの、」
あったらこんなところで、こんなことにはなっていないだろうに。
風がザアと木々を揺らした。もうどのくらい歩いただろうか。足に疲れを感じ立ち止まる。深くため息をついて、空を見上げた。
深い、青。
思わず息を飲む。空はこんなに青かっただろうか。闇に包まれる寸前の、濃く深い青がすごく、綺麗だ。
ーー目の前のことを淡々とこなすしかあんたには、
後輩の声がよみがえる。
そうだな。気がつくと何故か笑っていた。
目の前の道を、淡々と進むしかないのかもしれない。

「先輩、遭難したって聞いたんすけど」
翌朝、血相を変えて現れた後輩はにやにやと笑う俺に絶句した。あのあと淡々と目の前の道を進んだらたまたま方向があっていたらしく、俺は何とか帰ることができた。奇跡に近い。心底ほっとした。ので、twitterに書き込んだ。どうやらそれを見てとんできたらしい。こいつもかわいいところがあるじゃないか。
呆れた顔をした後輩の頭をわしゃわしゃとかき混ぜると、彼は本当に気味悪そうな顔をした。
「なんすか。俺ちょっとだけ責任感じてたんすけど」
「いいや。ありがとな」
この経験を話せば内定取れるかな、とふざければ、彼はお
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