お題:穏やかな食卓 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:717字

夕美の夕日
次会う日はいつだろうと思った。
夕美は静かに目を瞑る。
父親の運転する車の、後部座席に揺られている。
両親が離婚して、約半年が経った。別段、それが悪いことだとは思っていない。ただ、自分の知る両親は決して離婚するほど不仲でも険悪でも無いと思っていただけだ。
中学生にはめずらしく、「両親」というものに依存しているのかもしれないな、と思った。親はあくまで親で、自分の人生において二つで一つのパーツだったのだ。
それがある日いきなり、「私たちは一つで二つだったのだよ」と道を分かたれては困ってしまう。純粋な動揺だった。
夕美は知る由も無いが、原因は母親にあったらしい。詳細は分からなくても、娘には語りたく無い事情があるだろうことには気がついていた。
カーステレオから音楽が流れる。静かなギターの音色だ。どこにも行けなさそうなその音色は、今の夕美に寄り添っている。
半年ぶりに会う母親は、悲しいほど変わっていなくて、ただただ悲しかった。何も変わる必要がないのなら自分の元から去らなくても良かったのではないかと問い詰めたかった。
男女の別れを経験したことのない夕美にとって、一度は誰よりも親密になった誰かが決定的に自分から離れていってしまう喪失感は例えようもないものだ。
「夕美」
運転席から声がする。父の頬は夕日に照らされていた。
「晩御飯。何が食べたい」
それがありきたりな慰めであったとしても、今の夕美を解放するには十分な問いかけだった。
「ハンバーグ」
誰の、と頭をかすめる。母親の作るハンバーグは香辛料が聞いていて、他のどこでも食べられない味だった。頭痛がする。それが何を意味するのか、きちんと消化しきる前に日は沈んでしまうのだった。
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