お題:安全な踊り 必須要素:アクション 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:996字

別れのダンス
足払い。を、間一髪で避けてストレート。向こうもかわして背後を取られる。右か左か。いや、と迷う暇もなく放たれる蹴りを振り向きざまに跳び避ける。一瞬ふらついた隙をついて足を取り、ひねり上げた。
「っ」
「なまったんじゃねえの」
息を整えてそう笑えばあいつはつかまれた足で蹴りを入れてきた。頬を掠める。手を離し距離をとる。
「お前も、前よりは鈍いんじゃないか」
睨み付けてくる眼差しはあの頃と変わらない。相棒だった頃と、何にも変わっていない。
「まさかお前と戦う時が来るなんてな」
そう言えばあいつはふっと笑って。
「そうかな。ぼくはずっと、いつかは倒さなきゃいけないと思っていたよ」
ああ、それは昔からの口癖だったよな。

小さい頃から一緒にそこかしこを回っていた。喧嘩には自信があったし、頭脳戦だって負けなかった。二人でいれば、向かうところ敵なしだった。最強だったんだ。
お互いに相手しかいなかった。孤独な二人は身を寄せても孤独のまま。けれど、どこか、俺は、あいつを。
「なあ、俺たちだけはいつまでも、」
翌朝、あいつは姿を消した。やっぱりな、とだけ思って、探さなかった。

再会したのはとある社交場のダンスホールだった。小綺麗なスーツに身を包んで潜入していた俺に、あいつが声をかけてきた。
「一曲、お相手いただけませんか?」
すぐに誰だかわかった。心臓がうるさく早まる。まさか、こんなところで再会できるとは思っていなかったのだ。目を見ればなにも変わっていないことがーーいや、それどころか、その能力はより鋭利に研ぎ澄まされていることが、はっきりとわかった。
手を差し出してきたあいつは、見る影もなく立派な貴婦人になっていたけれど。

「はい、喜んで。」
俺はにっこりと笑ってその手を取った。ひんやりとした手は少し震えていた。
この一曲だけ。これが終わればきっとあいつは、俺を仕留めなければならないだろう。それはこちらも同じ。仕事なのだ。仕方のない、こと。
けれど。
この一曲の間だけは。

「ぼくはずっと、君を倒す日がくるとおもってた」
あいつは一瞬、完全に表情を消し去った。
「それはとてもこわかったんだ」
「……そうか」
俺はにっこりと笑いかける。
「怖がらなくて、いいのに。」
銃声。あいつが力なくうなだれる。
「お前に俺は、倒せないんだからさ。」

曲が終われば、俺は仕事に手をつける。
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