お題:穏やかなプレゼント 制限時間:15分 読者:53 人 文字数:1275字

プレゼントを君に
「激しいプレゼントとそうでもないプレゼント、どっちがいい?」
 あまり聞かれたことのない質問をされて、僕は戸惑った。
「激しいプレゼントと、そうでもないプレゼント。ねえ、どっちがいい?」
 重ねて彼女はそう聞いてくる。
 彼女は、木崎さんはクラスメイトだが、そこまで親しい仲というわけでもない。たまにしゃべるが、連絡先も知らないような子だ。
 その彼女が、何故こんなことを聞いてくるのか。僕にプレゼントをくれるということなのか。それにしたって、変な二択だと思うのだがどういうことなのか。謎は尽きない。
「激しいプレゼントとそうでもないプレゼントだよ? どっちがいいの?」
 三度目の質問で、僕はようやく返事をする。
「木崎さん」
「何?」
「激しいプレゼントって何?」
「激しいプレゼントだよ」
 答えになっていない。
「じゃあ、そうでもない方は?」
「激しいわけじゃないけど、激しいと言う人もいるかなってぐらいのプレゼントだよ」
「どういう人が、激しいと言うと思う?」
「君は多分、どっちも激しいって言うと思うよ」
 結局どっちも激しいんじゃないか。そう言うと、木崎さんはきょとんとした顔で僕を見た。
「別に君にプレゼントをあげるなんて、一言も言ってないよ」
「……じゃあ、何で僕に聞いたの?」
「聞きたかったから」
 動物か。衝動的に行動するのは止めてほしい。
「だから教えて。激しいプレゼントとそうでもないプレゼント、どっちがいい?」
「……穏やかなプレゼントかな」
 えー、と木崎さんは不満そうに眉をしかめる。
「二択だよ。二択で答えてよ」
「じゃあ激しいのでいいんじゃないの?」
 僕に被害がないのであれば、激しくたって構わない。
「ふうん、意外だね。君って穏やかなプレゼントを望むのかと思ってた」
「望むよ! さっきそう言ったよ!」
 ちょっと意味がわからない、みたいな顔を木崎さんはする。それはこっちの気持ちだ。
「じゃあ、激しいのにするね」
「誰にあげるの?」
「君」
 はい、待っておかしい。
「僕にあげるわけではないんだったよね?」
「そのつもりだったけど、激しいのを選ぶんだったら、君にあげてもいいかなって気持ちになった」
 誘導じゃないか。
「ねぇ、嬉しい? 女の子からプレゼントもらえたら、嬉しい?」
「激しいのじゃなかったらね」
 えー、と更に木崎さんは不満げである。
「わたしのこと嫌い?」
 それもこっちのセリフだ。
「それで、激しいのって何なの?」
「女の子の口からは言えないもの」
 え、と僕はドキリとした。
「言いたくないもの」
 木崎さんはさらに言葉を重ねた。
「あげるね、明日」
 そう囁いて、木崎さんは教室を出て行った。残された僕の顔は赤い。
 その夜は眠れなかった。かなり悶々としていた。
 翌朝、教室で先に来ていた木崎さんは、恥ずかしそうにそれを鞄から取り出した。
「はい、これ」
「え、何これ……?」
 差し出されたのは何かの飴のようだった。パッケージに「激しい男の檄辛キャンデー」と書いてあった。
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