お題:禁断の希望 制限時間:15分 読者:75 人 文字数:713字

即興_1 
 カーテンがはためいて、窓際に置いてあるキャラメルがひっくり返った。
 私自身、甘いものは得意でないのだが、ときどき無性にしゃぶりたくなる。一箱置いておけば一ヶ月は持つのだ、懐にもそう痛くない。ちょうど今意識がそっちに行った、銀紙を剥がして一つ頬張れば甘ったるくぬったりした甘味。うまくはない。
 何をしているか、特に何もしていない。私はこの部屋を出るのは買い物をするか不浄を済ませる時だけだし、窓を開けるのはカーテンの上からだ、朝日なんて数年浴びてもなかった。病的に白い肌、鏡を見れば無精髭を生やした男が胡乱な目をしてこちらをねぶっている。寝起きは特にひどい、死人の方がまだ死人らしくて、見るものにわかりやすい。今映っているのは死にきれない哀れな男だ。
 朝である。朝なのだ。
 街が目を覚ました。
 騒然とした外音が私を責めたてる。首根っこをひっつかんで耳元で囁く。それらに辛かったのはとうに昔、今では、攻め立てるこの街の音こそが、私を生かしている。
 私は王である。王であると信仰しているからこそ王なのだ。だれも介在しない世界、民衆の一人もいない地の王である。異を唱えるものはいない。全くくだらない妄想であるが、否定されないのだからそうなのだ。
 キャラメルを一つ噛むと歯にへばりついて、へばりついたキャラメルを見るとクソのように見える。歯も磨いていない、橙色の歯垢がついた顔がにやけている。
 私は王である。
 街は目を覚ました。学校へ向かう子供らの声がうるさい。しかし嫌いではない。子供は町の宝であり、未来を作るものだからだ。
 私には未来がない。 
 しかし、私は私が信仰している限り、王であるのだ。 
 ははは!
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:フニャフニャの口 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:263字
「ほへほへほへほ、ふみゃふみゃふみゃみゃー」「だめだ、全っ然わからない」 突然口周りの筋肉が弛緩してしまいろれつが回らなくなってしまう奇病、通称『フニャフニャ口 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
悲しき種族 ※未完
作者:いつもみんなにミニラ お題:思い出の同情 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:768字
帰りの道中、私は思い出す。あれから数時間はたったが、未だに彼らの言葉に私は打ちのめされていた。 「そんで最後は暴走するマシーンの下敷きになっちゃったよ。おかげで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:夏の理由 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:411字
ここにいる意味は何か。夏は残酷だ。俺の大切な仲間をどんどん奪っていく。親に、友に、彼女だ。3年前の今日。親が通り魔に遭遇して×された。あのときに見た親の顔はどん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
来年のこの日 ※未完
作者:akari お題:夏の理由 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:318字
深い青に立ち上る大きな入道雲。ひっきりなしに聞こえる蝉の声に包まれながら、私はぼんやりと空を眺めていた。 ――終わっちゃうなあ……。 今年も何事もなく過ごして 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:朝の理由 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:330字
紙と鉛筆が擦れ合う音に私は目を覚ます。目を開ければ、昨日と全く同じ光景が目の前に広がっていた。 煌々と光る勉強机。かりかりと削れる鉛筆と黒く染められていくノー 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
節目 ※未完
作者:匿名さん お題:うるさい黒板 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:204字
色とりどりのチョークで描かれたイラスト。とりとめのない絵ばかりだが、見つめていると自然に視界がぼやけてくる。 この職に就いてしばらく経つが、この日ばかりはいつ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
つれづれと ※未完
作者:匿名さん お題:幸福な多数派 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:315字
朱に交われば赤くなる。ことわざにもある通り、集団の力は非常に強い。 どんなに自分を貫こうと足掻いても、嵐になぎ倒される樹のごとく、いつの間にか周りに馴染む自分 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:捨てられた春雨 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:389字
「……だめかぁ」 今回も失敗。私はため息をつきつつ、ごみ箱に作ったばかりのそれを投げ入れる。中を覗けば手つかずの料理が堆く積み上がっている。できる限り自分のお腹 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
饗宴 ※未完
作者:匿名さん お題:楽しい葬式 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:355字
目の前でどんちゃん騒ぎが繰り広げられている。棺桶の周りで、踊り、歌い、ただ騒ぐ。皆、喪服を着ているというのに、厳粛な空気など微塵も感じられない。 ――どういう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:とんでもない耳 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:821字
わたくしがこれからするお話は、とある若者の物語です。 彼は、三人兄弟の末っ子で、そして、母は早くに死に、父と四人で暮らしておりました。 ある日のこと、その国の 〈続きを読む〉

んなちぃの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:んなちぃ お題:反逆の想い 制限時間:15分 読者:39 人 文字数:889字
平日の市場には人がいない。 街場の飲食店が集い、卸人と雑談を交わしながら商品のやり取りをしている。魚市場と言っても、魚の匂いは意外としない。魚の卸人というよか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:んなちぃ お題:僕の好きな小説家 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:814字
世の中死人ばかりだ。生きている人間よりも死んだ人間の方が多い。 死んだ人間に価値はなく、かといって生きている人間の中にも価値のないものがある。生きているか死ん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
即興_3 ※未完
作者:んなちぃ お題:求めていたのは銀行 必須要素:絵画 制限時間:15分 読者:48 人 文字数:901字
路銀も底をつき、いっそ土から栄養がとれぬものかと足元を眺めても、ねずみ色のアスファルトから芽吹いた草があるだけだった。仕方ないと、生命力の溢れる雑草を手折り、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
即興_2 ※未完
作者:んなちぃ お題:美しいスキル 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:881字
季節外れの寒風にやられながら歩く男がいた。 いや、男と書くと女性差別だ、軽視だ何だとうるさい奴らがいる。女にしておこう。 寒さに身を縮めながら女が歩いていると 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:んなちぃ お題:禁断の希望 制限時間:15分 読者:75 人 文字数:713字
カーテンがはためいて、窓際に置いてあるキャラメルがひっくり返った。 私自身、甘いものは得意でないのだが、ときどき無性にしゃぶりたくなる。一箱置いておけば一ヶ月 〈続きを読む〉