お題:禁断の希望 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:713字

即興_1 
 カーテンがはためいて、窓際に置いてあるキャラメルがひっくり返った。
 私自身、甘いものは得意でないのだが、ときどき無性にしゃぶりたくなる。一箱置いておけば一ヶ月は持つのだ、懐にもそう痛くない。ちょうど今意識がそっちに行った、銀紙を剥がして一つ頬張れば甘ったるくぬったりした甘味。うまくはない。
 何をしているか、特に何もしていない。私はこの部屋を出るのは買い物をするか不浄を済ませる時だけだし、窓を開けるのはカーテンの上からだ、朝日なんて数年浴びてもなかった。病的に白い肌、鏡を見れば無精髭を生やした男が胡乱な目をしてこちらをねぶっている。寝起きは特にひどい、死人の方がまだ死人らしくて、見るものにわかりやすい。今映っているのは死にきれない哀れな男だ。
 朝である。朝なのだ。
 街が目を覚ました。
 騒然とした外音が私を責めたてる。首根っこをひっつかんで耳元で囁く。それらに辛かったのはとうに昔、今では、攻め立てるこの街の音こそが、私を生かしている。
 私は王である。王であると信仰しているからこそ王なのだ。だれも介在しない世界、民衆の一人もいない地の王である。異を唱えるものはいない。全くくだらない妄想であるが、否定されないのだからそうなのだ。
 キャラメルを一つ噛むと歯にへばりついて、へばりついたキャラメルを見るとクソのように見える。歯も磨いていない、橙色の歯垢がついた顔がにやけている。
 私は王である。
 街は目を覚ました。学校へ向かう子供らの声がうるさい。しかし嫌いではない。子供は町の宝であり、未来を作るものだからだ。
 私には未来がない。 
 しかし、私は私が信仰している限り、王であるのだ。 
 ははは!
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