お題:僕の殺人犯 制限時間:15分 読者:114 人 文字数:970字

僕の手
不思議な夢を見る。
頻度は少ないけど、何となく印象に残ってしまって、忘れられない。
そんな夢の話をしたいと思う。

いわく、夢とは記憶を整理するために見るものだという。
本棚の整理に例えるならば、本棚を整理するために一度出した本を、少しずつ読んでいるようなものだ。
それが正しければ、記憶にない物は夢としても見れないはずなのに。

夢の中の僕は、いつも誰かに追われている。
僕、と呼んでいるけどそれは厳密に言えば僕じゃないのかもしれないが。
なんとなく、夢を見ているときに、あれは僕だ、そんな確信があるものだ。
そして、追われている「僕」を僕は第三者の目線で見ている。
ある時は後ろから。
ある時は空から。
そんな風に。
いつも僕はおびえて、すくんで、でも必死で逃げる。
もしかすると、そんな様子が現実の僕に似ているのかもしれない。

そうやって、夢の中の「僕」を眺めていると、気が付くと何から追いかけられているか分かるようになっていく。
それは、現実の僕なんだ。
「僕」はいつも夢を見ている僕に背を向けて走っている。
そして、追いつきそうになると目が覚めてしまう。
それがいつも僕が見る夢。

ある時僕は視線を自分に向けた。
夢のなかではいつも視線は思い通りにならずに、画面を見ているようだったけどその時は違った。
なんだろう、明晰夢というんだったかな。
僕は「僕」を追いかけながら、視線を下げていった。
僕の見る視線の持ち主は、血だらけだった。
いや、でも傷だらけっている訳じゃないんだ。
たぶん、他人の血で、返り血で体を赤く染めて、視線の主は「僕」を追いかけた。
追いかける。
逃げる。
「僕」は必死なのに、視線の主は急いでいる様子はないようだった。
まるで、いつか必ず捕まえられると知っているような。
視線は僕が操作できても、体まで操作できるわけじゃない。
でも、気が付くと「僕」と僕の距離は、すぐそこまで迫っていた。

僕が手を伸ばす。
その手は血で汚れていて、「僕」は必死に何かを叫んでいるようだ。
でも、僕はその声が聞こえない。
手はそのまま伸びていき、届きそうになった、その時。

夢は終わってしまった。
目が覚める。
もし夢が記憶の中から作られるとしたら、あの血だらけの手はどの記憶なのだろうか。
僕にはそれが分からない。
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