お題:綺麗な奈落 必須要素:ホモ 制限時間:1時間 読者:46 人 文字数:1871字 評価:0人

奈落について
じぶんの名はツネカズという。とある寺の子として生まれ、日々精進に励んでいる者である。

じぶんは、何かについて考えることが好きである。修行の一環の中では、例えば人生についてとか愛についてとかを考える。
日常の中でも修行とは別に、何かとものごとについて、ああでもこうでもないと当てのない思考をし続けること時間が何より好きなのだ。

今考えているのは、奈落という言葉についてである。

奈落という言葉は、元来仏教の言葉であり、地獄を意味する。大きな罪を起こした者の行く先として、この言葉が当てられている。
歌舞伎の世界では舞台装置に同様の名がつけられており、奈落といわれるとそちらを思い浮かべる人の方が多いのではないだろうか。

じぶんは歌舞伎については詳しくないので、仏教的な意味での考察となる。

人は命を絶えた後、三途の川を渡り、最も罪の重い者は裁きを受け地獄に落とされると信じられている。

この現世において、どれほどの罪を起こした者が果たして奈落に落ちるのか、そして落ちた後の奈落は果たしてどうなっているのだろうか。


じぶんが死後奈落に落ちることなど考えたくはないが、もしそうなるのであったら、できるだけ綺麗に奈落に落ちたいものである。

じぶんだったら、と考える。人殺しや悪事を働く予定は毛頭ない。むろん人に対して詐欺を行うなどするはずがない。奈落に落ちるほどの罪など、じぶんが犯すことがあるのだろうか。

今己が考えうる中では、カジノや競馬等の賭けにはまってしまい、人生を棒に振るとか、たくさんの女を手玉に取り、次々と相手を変えて口説くだとか、ホモになってしまい多くの男とまぐわる、というのが、最もありえうる罪なのではないかと思う。

いや、ほんとうに現実的なのか?

今は修行の身であるからして、もし自由が許された際に己の欲求が爆発し、あらぬことをしないとも限らない。今の自分からすれば、奈落に落ちるほどの罪など、そういった理由でしか考えられない。

暴力欲とか窃盗欲というものは、我が人道に反する。どうせ落ちるならと考えたところ、あまりにも極端な例かもしれないが、先に挙げたような欲をだした罪で死にたいとなんとなく思ったのであった。


さて、奈落に落ちた先はどうなっているのだろうか。

地獄では、険しい山があるとか、極熱で焼かれるとか、火を吐く猛獣がいるとか、様々なことが言われている。

奈落は最も罪が重い者が行く先というのだから、それはそれは大きく罰せられることであろう。

では、そのときの自分にとって最もつらく苦しいことは何であろう。じぶんは、灼熱に熱されることでも、猛獣に責めさいなまれることでもないと思う。

じぶんであったら、例えば賭けに生きる人生を選んでいたら、現世の親しい人たちがカジノ等で興じている姿を見せられるということが何よりつらく苦しいと感じる。

まず、それは自分が地獄に来た最たる要因であるということだ。現世でも、おそらくいけないいけないと思いながら続けてしまったことなのだろう。それを改めて客観的に見せられるということは、見せしめにもほどがある。

また、今の自分ではそれができないということだ。おそらく現世の自分は、依存症のような症状になってしまっていたのだろう。死んでしまっては元も子もない、自分が最も楽しんでいたものができなくなってしまう。しかも、目の前に魅せられるのにできない。餌を前にして「待て」を支持され永久に食することができない犬のようだ。

そして、じぶんに落胆した肉親や知人たちに、全く目も向けてもらえないじぶんがとてもみじめになることが、最も重い苦しみだ。その知人たちはじぶんについて何も言わない。死んでいったじぶんのことなど気にせず世界は回り続ける。最も愛されるべき家族にも見向きもされない。もしそんな姿を見せられたら、生前の自分の行いに深く反省するのではないだろうか。


ここまで考えて、最も重い罪を犯したからには、綺麗な奈落などあるはずないと思い始めた。
当然である。地獄に落ちてまで己の綺麗でありたいという願いがまかり通るなんて、本気で考えられるだろうか。じぶんには考えられない。

しかしこうも思える。さきほどの例は極端な罪を犯した例だったが、自分の気づかぬうちに大きな罪を犯し奈落に落ちる可能性もあるかもしれない。

だから、だからこそじぶんは思うのだった。

奈落に落ちるないためとかではない。
じぶんに正直に生きていきたい。心からそう願うのだった。
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