お題:彼と門 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:907字

開いた門の先
 門を叩きなさい、そうすれば開かれる。
 かつてそう聞いたんだ。だから、俺は目の前にそびえるあらゆる門を叩いてきた。叩いて叩いて、開け開けとやってきたんだ。
 だけど、本当は叩いただけじゃ開かれないんだ。門だと見せかけた壁も多いから。
 だから、開かない壁には叩く以上のことをしなくちゃならない。
 手で足りないなら足だ。足は腕の三倍の力があるから。足でもダメなら頭だ。頭突きは男の最後の武器だから。それでもダメなら、道具を使う。人間は道具を使うサルだから。
 鞄を使う。鞄を投げて叩きつけるようにする。ダメなら木槌を使う。それでもダメなら金槌を使う。それでもダメならもっと大きな金槌を使う。
 それでもダメなら、爆破するしかない。
 爆弾でふきとばない壁はない。少なくとも、俺が出くわした壁はみんな吹き飛んで行った。そうして俺は求めるものを得てきたんだ。
 だけど、今はかなり追い込まれている。
 爆弾が作れない場所に入れられてしまったのだ。こうなっては、手足や頭を使うしかない。
 開け、開け、と念じながら、俺は門を叩くしかないのだ……。


 ○○刑務所で昨夜未明、××死刑囚が自身の収容されている房の中で、頭から血を流している状態で倒れているのを、警邏中の刑務官が発見した。××死刑囚は警察病院に運ばれたものの、頭を強く打っており死亡が確認された。
 ××死刑囚は、五件の強姦および殺人の容疑で逮捕され、一か月前に行われた公判で死刑が確定し、執行を待っている状態であった。
 ××死刑囚は、マンションで一人暮らしをする女性ばかりを狙い、扉の鍵を小型の爆弾で爆破して押し入るという手口を用いて五人を強姦、殺害したとされる。
 近くの房に収容されている別の死刑囚は、「毎晩ドアを蹴ったり、叩いたりしてやかましかったし、怖かった。俺は三人を殺しているが、五人も殺していると聞いていたし、頭もおかしいように見えたので、正直生きた心地がしなかった。死んでくれてよかった」と話している。
 警察では、房の管理体制に問題がなかったか、調べを進めている。また、××死刑囚の精神状態が正常であったかも同時に検証を進めている。
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