お題:意外な宿命 制限時間:15分 読者:73 人 文字数:1177字

宿命診断の姉
 姉は、その人が背負っている宿命がわかるという。
「そのためには『儀式』が必要なの。いちいちやるの面倒くさいから、全員のは見てらんないの。それに宿命を背負ってない人がほとんどだから、大抵は徒労に終わるしね」
 中二病の言い訳みたいなことを言う姉だな、と思っていたが、意外やこれが本当に当たる。
「お前は妹だから、一応見てあげたけど、とんでもない宿命背負ってたわ」
 15歳になった年、わたしは姉から自分の宿命を告げられた。
「お前は、必ず裏表を一度は間違えるわ」
 冷静に考えれば、ここでわたしは姉の「呪い」にかかっただけなのかもしれない。そう言い切られることで、間違えてしまうという思い込みを持ってしまっただけなのかもしれない。
 しかし、わたしは本当に裏表をよく間違えるのだ。それは14歳までの間もそうだった。
 セーターや靴下、USBメモリはもちろんのこと、お札やコインの裏表も間違えて覚えていたし、両面印刷のプリントを必ず裏から読んでしまう。果ては、「こちらの方向からならどこでも切れます」というマジックカットも、つい逆側から破ろうとしてしまったりもする。
 姉に言わせれば、マジックカットは「お前がそそっかしいだけ」らしいが、とにかくわたしの裏表を間違える宿命は「当たっている」ということになる。少なくともわたしはそう思っている。

「宿命を知りたい人がいるから、協力して」
 ある時、わたしは姉の能力を頼ることにした。
 相手は、わたしが同棲して3年になる彼氏だ。結婚したいのだが、その前にこの人がどういう宿命を背負っているのか、知りたくなった。
「いいよ。じゃあ、陰毛をとってきて」
 とんでもないことになったな、と思いながら、わたしは彼との行為の最中に何本か引きちぎった。
「本当に陰毛持ってくるなよ」
 翌日見せると、姉は顔をしかめた。冗談だったらしい。体に生えている毛なら何でもよかったそうで、毛髪を使うのが一般的だそうだ。ここでもわたしは、ある意味裏表を間違えたようだ。
「じゃあ、『儀式』するから。ちょっと待ってなさい」
 姉の「儀式」を見るのはこれで三度目だ。一度目は自分の時、二度目は姉の元カレの時。姉の元カレは特に宿命を背負っていなかったが、性格が合わずに別れたのだった。
 姉は紙の上に書いた魔法陣的な何かの上に陰毛を置いて、周りにロウソクを置いて祈り始めた。これは大体15分くらいかかるので、わたしはマンガを読んで暇をつぶす。
「……見えたわ」
 およそ20分後、姉は微妙な表情でわたしを振り返った。
「何ていうか、すごく徒労だった」
「どういう意味?」
 姉は魔法陣の上の彼の陰毛をつまみ上げて、ロウソクの炎で燃やした。嫌なにおいが立ち込める。
「ねえ、どんな宿命なの?」
「結婚相手にいんもうをむしられるしゅくめ」
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