お題:メジャーなあいつ 制限時間:15分 読者:44 人 文字数:1207字

ゴミパンダバール
 兵器と動物と人間を合成し、怪人を造るサービスを行っている「ボトルス」の研究所に、一人の男が訪ねてきた。
 男は「自分はここで改造を受けた、タイガーミサイルの弟だ」と名乗った。
 タイガーミサイルと言えば、「ボトルス」で改造手術を受けた後、いくつもの「悪の組織」を渡り歩いた傭兵で、ついこの間「守護戦士・ガーディス」に倒されたものの、それまで40の破壊工作にかかわり、ヒーローを3人も殺害した。
 言わば、「ボトルス」の最高傑作と言ってもいい怪人である。
「俺も兄のような、すごい怪人になりたいんだ」
 男の目は真剣だった。「ボトルス」の研究者たちは、あのタイガーミサイルの弟ならばさぞいい怪人になるに違いない、と考え改造手術を快諾した。

「まず、その人の性質に合わせた兵器と動物を選びます」
 研究者の一人はそう言うと、タイガーミサイルの弟をある一室に案内した。そこは、パソコンのようなものが置かれたデスクが一つあるだけの小さな部屋だ。
「ここの端末で、テストを受けてもらいます。心理テストのようなもので、これによってあなたにぴったりの兵器と動物が選ばれます」
 わかった、と彼はさっそくテストに取り掛かる。
 彼には自信があった。
 彼の兄、即ちタイガーミサイルは、人間の頃はどちらかと言えば大人しい人間だった。
 有名私大の文学部文学科を卒業後、何とか就職した先はブラック企業で、うつ病にかかって退職した。その後、様々な活動をする中で、色々と嫌になってしまったのだろう、この「ボトルス」で手術を受けることを決意した。
 一方の彼は、昔から札付きの悪で、高校もろくに出ていない。飲み屋やクラブで用心棒のようなことをしながら、夜の町を転々としてきた。
 ケンカだってロクにしたこともないような兄が、虎とミサイルになったのだ。自分なら、もっとすごい兵器や動物が出るに違いない。
 メジャーな兄に負けないくらいの、怪人になってみせるのだ。

 テストの結果は伝えられないまま、彼は手術台に載せられた。
 「やめろー、ぶっ殺すぞ!」などと暴れる間もなく麻酔を使われ、彼は昏倒する。
 そして、再び目が覚め鏡を見せられた時。彼は、改造中に言い逃したそのセリフを言いたい気分になった。
「何なんだ、これは!」
 「ボトルス」の研究者は「テストの結果によって出た兵器と動物を合成させてもらいました」と涼しい顔だ。
「何で、バールが兵器なんだ!」
 彼は右腕についた先の曲がった鉄の棒を振り回す。
「バールではなく、バールのようなものです。あらゆる人間を撲殺できます」
 なるほど、確かに「無差別に暴れたくなる時がある」にイエスをつけた。
「じゃあ、何でアライグマなんだ!?」
 そう、彼の身体は小さなアライグマになっていた。右前足にバールのようなものがついた。
「アライグマは嫌われています。ゴミパンダ、なんて呼ばれてね」
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