お題:おいでよ演技 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:583字
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埋み火
彼女と会うのはこれが最後だと思う。また会おうねって彼女は言って、私はそれにいいねと答えた。でもそれは約束なんかじゃない。どうせ私のことだから適当な理由をつけて、残念だけどって言ってしまうんだ。そうやっていつのまにか終わってしまう。
私たちは良いお友だちだった。知り合ってから一年間。何とくらべるわけでもないけれど、ただの一年間と言うには色濃いものだったと思う。
中途半端な自己嫌悪でぐずぐずだけれど、今日は自分を褒めてあげよう。私たちは良いお友だちのままでいれた。私は演じきれたんだ。
良いじゃない?この調子。こうやってみんな大人になっていくんだぜ。
小さな私が、私に言った。


長いエスカレーターに運ばれた先は7番ホームの端っこ。今日は人が少ないから、構内のアナウンスがすこしだけ響く。電光掲示板に映った電車が来る時刻とスマートフォンを見比べて、小さくため息をついた。

「ぎりぎりじゃん。ごめんね、遅くなって」
「ううん。嬉しかった」
「…………」

喋るのが億劫になってしまったから、彼女の手に触れる。冷えた指を握って、ぎゅうと力をこめる。彼女はいつもみたいに、照れくさそうに笑っている。
こんな時、友達ならなんていうのだろう。私は今まで、何を話してきたんだっけ。
ほら、なんか喋りなよ。今までのお芝居が、台無しになっちゃうよ。
小さな私が、私に言った。

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