お題:燃える愉快犯 制限時間:15分 読者:111 人 文字数:723字

化け猫の飛翔/Eve of War
 化け猫は笑っていた。いつも通りにやにやと、しかしよく見るとその笑みは普段よりも深い。目が爛々と輝き、口の端はきゅうっと吊り上がっている。
「さて、ついにこのときが来た」
 化け猫は語り始めた。埃っぽい狭い部屋、集まった人影は十と少し。どこから仕入れた話やら、明日「魔王」と「帝王」の会談が行われるという。
「お二人さんには存分に寝首を掻かれてもらおうと思う。剣呑なくせに、敵はお互いしかいないと思っている呑気な人たちだから、さぞ驚いてくれるよ」
 では最終確認といこう。宙を舞うチョーク、それを掴み取る右手。黒板に書き出される事項を、ひとつずつ点検していく。計画に瑕疵はない。完璧すぎるほど完璧な、無力な学生による小さな反逆。しかしこれがあの二人にとって強力な一撃になるのだと言う。
「学生ごときにこてんぱんにされるという事実こそが大事なんだよ。あの高いプライドをへし折ってやるにはね」
 これが最後ではない、と言外に語る化け猫はまだ笑っている。なんと楽しそうな、愉快そうな表情だろう。あんなにやる気のある顔は久しぶりに見た。無気力がマウンテンパーカを着て歩いていた姿が嘘のようだ。
 こつん、とチョークが置かれる。書き出されたリストはすべて二重線で消された。もう憂いは残っていない。あとは、俺たちが実行するだけだ。
「粛々と、淡々とやり遂げよう。一心に、ひたむきに、テスト前のように必死でやろう」
 化け猫はなおも朗々と語る。その笑みが隠す、燃えるような怒りを誰が知るだろう。
「私たちの学園が本当は誰のものなのか、思い知らせてあげようじゃないか」
 抑圧された学生たちの総代、嘲笑う非力、燃える愉快犯、化け猫。
 まさしく今日は、開戦前夜。
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