お題:狡猾な暴走 制限時間:15分 読者:96 人 文字数:576字

化け猫の飛翔/Meanwhile
 階段を一段抜かしで上がる。渡り廊下を駆け抜ける。ぶつかりそうになった学生をきわどく躱して、さらに走る。スピードは緩めない、むしろ加速を意識。大学の敷地は広い。目指すのはその端、ほとんど忘れられた倉庫。既に仲間が何人か待機しているはずだ。手筈通りなら、すぐ移動できる。
 錆び付いたドアが視界に入る。息切れを堪えて叫んだ。
「開けろ!」
 ぎいいい、と耳障りな音。運び出されたのは折り畳まれてなお巨大な、頑丈なビニール製の物体。黄色っぽく、古びた匂いがする。四人がかりで抱え上げ、今度は校庭へ向かう。汗が首を伝う。でも立ち止まる暇はない、急がなくては。見えてきたのは小型の発電機とポンプ。荷物を広げ、ゴムホースでポンプとつなぐ。発電機をオン。低い駆動音が腹に響く。ビニールはみるみるふくらんでいく。身長に届きそうなほど分厚く、ちょっとした教室の床面積ほど大きく。これならきっと大丈夫だ。見上げれば今にも壊れそうな柵。あそこを目指し走っているはずの背中を思う。仮面のしたで不敵に笑う顔を思う。
 ポンプが止まる。すみやかにチューブを切り離す。急にしんとした校庭に風が吹き過ぎ、それに煽られて何かが落ちてくる。狐の面。カウントダウンは始まっている。空気が張り詰めた。
 屋上のへりに人影。なびく黒い髪、体を覆うパーカ。誰かに向かって優雅に一礼し、そして――
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:溟野 周 お題:狡猾な暴走 制限時間:15分 読者:69 人 文字数:763字
彼女が、またブチ切れて走り出した。馴染みの飲食店に酔っ払いが入ってきて、店の雰囲気や彼女の食べている料理を罵倒したからだ。そのあと、部下らしき人がぺこぺこあやま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:未来の負傷 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:504字
おれはいつも未来のことを考えている。備えあれば憂いなしだ。今、こうして会社に向かう電車の中でも客先のプレゼンで話す内容を反芻して備えている。プレゼンが終わった後 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ=D・U=WWE夫=脱衣拳 お題:フニャフニャの風 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1081字
春の風。鋭いものの、そこに確かに暖かみと、どこか優しさを感じることが出来る。と、言えるのは私が花粉症ではないからであり、風が吹くたびにマスクをした人たちがとて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:人妻のヒーロー 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:390字
彼女いない歴=年齢の俺。彼女欲しい。 最近気になっている人がいる。隣に住む斉木さんである。 会う度に笑顔で挨拶をしてくれる。きっと俺の事が好きなんだと思う。で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:捨てられた駄洒落 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:378字
アルミ缶の上にミカンが置かれている。飛んでいる布団がある。チーターが落ちている。何だここは?「ここは捨てられた駄洒落の行くところ。」「うわっ」びっくりした。いき 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:ふわ ゆー お題:東京の俺 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:472字
東京の俺から電話がかかってきた。「久しぶりだね。元気でやってるかい?」「まんずまずだっちゃよ。そっちこそ体は悪くしてねえべか?」「うわあ、すげえ訛ってんな。大丈 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:小伏史央 お題:高貴な勝利 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:400字
神の意思のもとに我が背に続け。我らの道の先に勝利がある。 馬に跨り、鎧に身を包んだ騎士は、眼前に集ったガラトキの民にそう呼びかけた。彼らは騎士の声に導かれ大き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ふわ ゆー お題:日本式の失敗 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:323字
日本式の失敗か資本主義のオッパイかと問われれば、世の男性の3分の2は後者を取るだろう。残り6分の1はケツ派で、残り6分の1が足裏フェチである。さて、今私が犯して 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:うへへ、ダイエット 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:1324字
荒れ果てる大地。その中でただ一人佇む。(いや、二人、か)私の足から出ている影。"何も無いところ"から伸びる影。その2つを見つめながら思い直す。私には姿が見えない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:どこかの発言 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:492字
わたしのゆめ。本を持った少女が話しかける。わたしのゆめは。囁いているようで、泡となって消えてしまうような声だった。なんだったかおぼえてる?そんなものわからないよ 〈続きを読む〉

此瀬 朔真の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:ロシア式の作家デビュー 制限時間:30分 読者:21 人 文字数:1638字
馴染みの店のカウンターで息を飲んで待つ。隣にはどっかの建設会社の営業マン、反対側には web デザイナー、いつも通りの無表情でグラスを磨くのはここの店主。そし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:限りなく透明に近い犬 制限時間:30分 読者:67 人 文字数:1417字
くん、と鼻を鳴らす音。かちゃかちゃと固いものがアスファルトを叩く音。へっへと息を弾ませる音。ぱったぱったとやわらかいものが揺れる音。 奇妙な音が先ほどからつい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:君と許し 制限時間:15分 読者:82 人 文字数:528字
跪き、頭を垂れる。床に敷き詰められた緋毛氈、高い窓から射し込むわずかな光を反射して、漂う埃が煌めく。 呼吸の音さえ伽藍に反響しそうな、張り詰めた沈黙が辺りを支 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:簡単な別れ 制限時間:15分 読者:82 人 文字数:926字
めんどくさくなってきた。 緑と白の吹き出しが順番に、だらだらと画面に表示され続ける。綴られていることといえば中身があるようなないような、いつまでも同じところを 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:黒い闇 制限時間:30分 読者:98 人 文字数:1456字
深夜、路地裏。街灯もろくにない、立ち並ぶのは寝静まった民家ばかり。わざと危険な場所を選んで歩くのはこれが仕事だからだ。辺りに紛れる黒いパーカーの、前開きのファ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:12月のぷにぷに 制限時間:15分 読者:86 人 文字数:582字
暗い空からほわほわと、舞い落ちる白。ピンクとブラウン、カスタードのトリコロールの手袋がそれをそうっと受け止める。やわらかな毛糸にとまった雪のひとひらを、こちら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:過去のガールズ 制限時間:15分 読者:99 人 文字数:1124字
あらまあ、いやだわあははは。大口を開けて笑うご婦人方はどうやら買い物帰り。近所のスーパーのビニール袋、はみ出している長ネギは炎天下にしおれ気味。そりゃそうだ、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:団地妻の人々 制限時間:15分 読者:97 人 文字数:967字
陰口告げ口噂話、根も葉もきりもない井戸端会議。分厚い板チョコみたいな、おんなじ形の建物の群れ。暮らしているのは似たり寄ったりの家族。繰り返されるのは変わり映え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:苦しみの小説練習 制限時間:30分 読者:106 人 文字数:1107字
バックスペースキーを連打する望月の顔は険しい。書いては消し、書いては消し、書かずに消す。実際に残った文字は、費やした時間に比べると驚くほど少ない。「……あのさ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:此瀬 朔真 お題:愛、それは模倣犯 制限時間:15分 読者:107 人 文字数:671字
「ささやかなテロ」から一か月。学園は相変わらず賑やかで、学生たちが胸を張って闊歩する。変わったことと言えば、「魔王」と「帝王」により強行されそうになった学則の 〈続きを読む〉