お題:わたしの嫌いな人々 必須要素:ハッピーエンド 制限時間:15分 読者:106 人 文字数:899字

我慢の麻酔が途切れた日
「ああ……いやだな」

気持ちが沈む感覚を抱えながら、私は通学路を歩く。
学校が近づくにつれ、胃の中の冷たい感覚が次第におもりのように感じてくる。
つめたくて、重い。これを抱えたまま一日を過ごしているせいか、成績も落ちてきている。
ついでに腸のあたりも熱くて痛い。
ふだんの「いやだ」が別のところにも転移したんだろう。多分。

学校に行くのが、嫌だ。
正確に言うと、学校に行くことで嫌いな人達に会うのが嫌だ。
勉強は嫌いじゃない。
今どこまで理解できているかを試すテストなんて、アトラクションみたいで楽しい。
けど、人間関係だけは無理。

教室の隅で、エッチな本を広げて女子の反応をうかがう男子が嫌い。
化粧道具を持ち込んで、没収されたらキーキーと人権だのなんだのを振りかざす女子が嫌い。
嫌な顔をすると「まぁまぁ」と私の不快も知らず彼らを許せと諭す聖人気取りが嫌い。

学校に行くのが、嫌だ。

本格的におなかが痛くなってきたけど、どうせ休んだら一瞬で治るんでしょ?
キリキリ、ギリギリ、本当につらいけれど……負けてしまったら、
きっとそんな負け犬の私自身が私の嫌いな人々の中に入ってしまうから。

ああ、体育の先生が校門に立ってる。あいさつ運動の時期だったっけ?


あれ?なんだろう


めのまえが


くらく


なって



やだ



自分の事まで、嫌いになりたくないのに













目が覚めたら、私は病室に居た
両親が心配そうにしている。

話を聞くと、どうやら私は本当に体調が悪かったらしい。
無理して歩いてたせいで、そのまま限界を迎え気を失い、挙句そのまま緊急手術を受ける羽目になったそうだ。

それを聞きながら、ぼんやりと病室を見渡すと、クラスのみんなからのお見舞いの品が目に入った。

色紙の中には、私の嫌いな人々の名前も入っている。


……けど、なぜかそれを「いやだ」とは思わなかった。

退院したら、お礼を言おう。
そして……次からは、嫌だと思ったらちゃんと言おう。

自分の事まで嫌いになったり、またこんな風にマヒしたせいでバカなことにならないように。
作者にコメント

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