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お題:孤独な黒板 制限時間:15分 読者:41 人 文字数:690字

磔刑の執行猶予

 その日、登校すると、黒板には暴言が描き殴ってあった。私の名前と一緒に。およそ板書にはそぐわない、たった数文字で黒板の端から端までを埋めてしまうほどの、大きくて汚い字だった。教室は押し殺したような声で浮き足立っていた。日直の日でまだラッキーだった、とショックから立ち直った私は思う。まだクラスメイトは数人しか登校していない。大して話したこともない男子がちらりと私を見る。私は彼を、教室にいる全員を、無視するよう務めた。自分の机(こちらは無事だった、少なくとも今日は、今のところは)にランドセルを置き、何も見なかったかのような足取りで黒板消しを手に取ると、暴言を消していった。動揺のせいか、字は完全には消えなくて、うっすらと広がったチョークの霧の下に、読もうと思えば読むことができた。丹念に消す気力はなかった。朝の会で、担任の先生は何度か黒板をじっと見ていたから、間違いなく気づいていたはずだが、何も言わなかった。私も何も言わなかった。

 それが二十年前の話だ。そんな思い出が残る我が母校も、少子高齢化の煽りで数年前に廃校になった。立ち入り禁止の柵は申し訳程度に作られているものの、警備員を雇う余裕も監視カメラを付ける余裕も我が故郷にはすでに無く、ただただ放置されることが決まった。治安悪化の心配が囁かれはしたが、そもそも、住民がここまで減ってしまっては、余所者が入り込む余地はなかった。

 そんな警備の学校だから、私が侵入するのはひどく簡単だった。
 荒れ果て、埃まみれの廊下を歩き、かつてのあの教室に向かう。手向けの言葉、別れの言葉、花で飾られたあの黒板を見る。私ははんば
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