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お題:静かな傘 制限時間:15分 読者:62 人 文字数:782字

この傘はふたりで使うもの ※未完

 不思議ではあるけれど、何の役にも立たない代物、というのが世の中にはそこそこ存在する。
 祖父から譲り受けたこの傘も、そんな代物のひとつだった。祖父もまた知り合いから譲ってもらったらしいのだが、あまりに目立たない不思議なので、その謂れは記録されることもなく、誰からも忘れられてしまったらしい。「元々は何か目的があって作られたんだろうが」、と祖父は苦笑していた。「今となっては、ただ寿命の長い便利な傘というだけだ」

 この傘の内側では、音が聞こえなくなる。
 そしてやはり魔法で作られているのか何なのか、ちっとも経年劣化しない。

 流石に、乱暴に扱ったり、台風の中で振り回したりすればどうなってしまうか分からないが、そんなことで一つの不思議を失わせるのも惜しいので、僕も、祖父も、おそらくはその前の持ち主も、きちんと傘に敬意を払い、丁寧に扱った。

 風のない土砂降りの中が、この傘を挿すのに持ってこいの天気だ。
 別に外に出る必要すらない。窓をぴったり閉めていても部屋中に轟く、屋根を叩く滝のような雨音は、僕が傘を頭上に差しかけたとたんにふっと消え失せる。自分の呼吸や心拍すら聞こえなくなる。静かすぎてちょっと落ち着かないくらいだが、雷が鳴り止まない夜に安眠したいときなどはなかなか便利だ。枕の上に傘を差し、あとは寝返りを打たないように眠れば良い。目覚ましが聞こえないので寝坊には注意しなければいけないが。

 この、不思議だが特に役に立つ訳でもない傘は、その地味さ故に、誰かに話してもちょっと面白がられるだけでたちまち忘れ去られた。僕も、普段使いするにはちょっぴり危険なので(雨の屋外で車の走行音が聞こえないのはなかなかに怖い)、よく眠りたい嵐の夜に使うくらいで、普段は玄関の傘立ての中に眠らせていた。
 だから、その傘を欲しい、という友人が現れたときmぼ
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