お題:冷たい慰め 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:814字

告白 ※未完
「こんなこと話せるの、お前だけだよ…」
そう言いながら彼は私の前で泣いていた。
慰めるように手を広げて正面から抱き締める。
涙を隠すように肩に顔を置かれたせいで、耳元に聞こえる鳴き声が少しくすぐったい。
私はその感覚に少しうれしさを感じながら、彼の話を聞いていた。
「ううん、気にしないで」

「俺、振られたんだ。あの人に」
彼からは以前から何度も恋愛相談を受けていた。
家が近く、子供のころから遊んでいた私たちは高校生になった今でも仲良く遊ぶ間柄だった。
そして、彼が色恋に興味が出てきたとき、私は彼の相談相手となっていった。
今までずっと一緒にいたせいで、お互いのことをおそらく一番知っている。
その安心感と、身近にいる異性という存在は彼にとってもいい物だったのだろう。
「そっか…」

「俺、あの人に告白することにしたんだ」
そして、一週間前。
彼ははにかみながら私にそう告げた。
あの人、というのは彼の思い人。
高校に入って一目ぼれしたらしい。
今までも何度のわたしたちの話題に出てきていた、クラスのマドンナ。
ライバルも多いようだった打、私は自信を持ってこう告げる。
「君なら大丈夫だよ。私が保証する」

「ごめん、今日家行っていいかな」
そして、今日。
彼はどうやら告白したらしい。
いつも道理一緒に帰ろうと下校口で待ちながら、そしてもしかすると今日は来ないかも、と考えていた私は彼の沈んだ顔を見て驚いてしまった。
何があったのか聞くこともできずに、彼との下校が始まる。
いつもは私が少し急がないと追いつけないのに、今日は彼のほうが遅い。
彼は無言で私の後ろを歩きながら、いつもの道を行く。
私は勉めていつもの調子でこう返す。
「もちろん、いいよ」

「今日、告白したんだ」
それはもう知ってるよ。
家に入って、私の自室に招き入れても、彼はまだうつむいたままだ。
彼はいつもの彼には似合わない、細い声を出している。
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