お題:蓋然性のある感覚 制限時間:15分 読者:71 人 文字数:1144字

筑波くんは感覚でわかる人
「大体のことは感覚でわかるんだ」
 筑波くんはよくそう言うが、学校の成績は良くない。感覚でわかるんじゃないのかよ、と言うと「こういうのは勝手が違うから」と言い訳する。
 じゃあスポーツがすごいのか、と言えばそういうわけじゃない。すごくできない、ということではないが、万能からは程遠い。テニスのラケットを手に首を傾げる筑波くんに「感覚でわかるでしょ」と言うと、やっぱり「これも勝手が違う」という。
 何がじゃあわかるんだよ。芸術方面に才能があるわけでもない。「ピアノも感覚で弾けるだろ」とか、「絵や彫刻も感覚でできるだろ」と振っても、「こういうのは練習や積み重ねが大事だから」と逃げてしまう。
 本当にお前、何なんだよ。じゃあ何で毎日毎日、挨拶のように「大体のことは感覚でわかるんだ」とか言ってくるんだよ。僕は若干、この高校に入ってからできた友人に苛立っていた。

 ある時、僕はソーシャルゲームにはまった。ものすごく流行ったタイトルで、なんだけど所謂「ガチャ」の確率が渋い。渋い上に、何枚も同じキャラを手に入れないと強化できない仕組みで、みんな躍起になって回していた。
 僕は高校生だから、ガチャ課金も我慢するの。そう思っていたけれど、どうしても欲しいキャラがいて、そのキャラのピックアップ(ガチャでの排出確率が上がるイベント)の時に遂に課金を決意した。
 お年玉を使い、グーグルプレイカードを買って、「いざ」という時に、筑波くんからLINEが入る。
「今は止めといた方がいい」
 その一言が画面に通知される。
「感覚でわかるんだけど、今ガチャ回そうとしてるだろ?」
 僕はゾッとした。一瞬監視カメラの存在を疑ったが、ありえないと打ち消す。
「さっきコンビニでグーグルのカード買ってたの見た」
 追いかけでメッセージが来て、「ああ」と僕は納得する。近所のコンビニで買うのは何となく気恥ずかしく感じて、ちょっと遠いところまで行ったのだが、そういえばあの辺りに筑波くんは住んでたのだった。
 ……って、全然感覚じゃないじゃないか。
 そう送り返すと、「感覚がするのはそこじゃない」と返信がくる。
「俺の感覚だと、午後10時ごろがいいだろう」
 突然そんなことを言い出す。今は午後7時だから結構間がある。
「今まで黙っていたが、俺が『確からしい』とわかるのは、ガチャとか宝くじとか、そういうのが当たる感覚なんだ」
 本当かよ、と僕は疑った。しかし、筑波くんは譲らない。
「午後10時、多分3分から5分ごろ。その辺で回せ」
 それ以上は返事がなかった。
 まあ、新しい「ガチャ宗教」だ、と思って僕はその通りにした。
 すると、最レアが出た。出たのはいいのだが、ピックアップじゃないすり抜けだった。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
意外な彼方 ※未完
作者:匿名さん お題:意外な彼方 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:581字
時間も時空もいまいち不明だ。嫌な茶色の空を青白い太陽が遠い山の端に取り付くようにして這っている。淡い緑を帯びた灰色の石ころが転がる茫洋とした荒れ地にKは盆槍と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:清い暴力 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:338字
「清い暴力」思いやりってなんだろうかふと、回答用紙から顔をあげて窓から空を見てみる。10月の上旬の空は気温も風もちょうど良くて気持ちい。さっぱりとした青が広がっ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ITS お題:清い暴力 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:628字
あなたはどうしてそうなんですか、とそいつはいった。平和的解決を望めないのですか。何にたいしての言葉なのかって?多分、俺が二年の不良グループを殴ったことを言ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻@エブリスタ・ストリエ お題:緑の家 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:720字
「こんなところにも人が住んでるのか。」高層ビルが立ち並ぶオフィス街を歩く中、私はぽつんと建つ一軒家を見つけ、その足を止めた。その家は四方とも道路に面しており、道 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:永遠の姉妹 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:215字
補遺1 SCP-4155ーJP-01の残した記述の例です。昨日のご飯は私の足。今日のごはんはお姉さんの腕。明日のごはんは私の腕。あさってのごはんは妹の腕。その次 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:びお~ら お題:男同士の大学 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:435字
終電の時間を過ぎた。都下だが田舎とは言い難い場所、かなり遅い時間。「なあ、そろそろ寝るか」普段は徹夜ばかりの友人が言う。「バ〜カ、俺はお前とは寝ないよ」ディスプ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
コスモス ※未完
作者:匿名さん お題:わたしの嫌いな花 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:449字
「ねぇ、美香ちゃん。今度の休みに砺波の夢の平に行かない?」と、浩介はつきあい始めたばかりの美香をドライブに誘った。「夢の平って何があるの?」と、美香は浩介に聞き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
最強で最弱 ※未完
作者:匿名さん お題:最弱の人体 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:469字
Aの腕は無残にも、ほろほろと崩れ去った。上質なクッキーが割れるように、繊細な粉があたりに舞った。……なんともろいことだろう。Aは冷え切った思考を自らの体に向けた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:yaichiyo お題:君とマンション 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:755字
(#58) 夢を見た。 清廉な池の中から白一色の衣服に身を包んだ女性が現れる。けれど、不思議なことに彼女は全く濡れていない。それどころか水面から数センチ上空に浮 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:明日香 お題:寒いピアニスト 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:773字
もう限界、これは本当にやばい、いやいやもう無理でしょ、というところまで来て、私は指を止めた。鍵盤の音が止み、外で暴れる吹雪の音が、柔らかい地鳴りのように聞こえ 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:刹那のカラス 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1161字
わたしの通っている予備校には、「刹那のカラス」という都市伝説というかジンクスがあった。 予備校の校舎の隣に、建物の3階にまで達するような木が植わっているのだが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:愛と欲望の列車 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1128字
アイリちゃんのことが僕は大好きで、だから肉体関係を持ちたいと常々思っていた。 そう言うと「邪な欲望だ」と友達に責められた。女の子のことを性欲処理の道具としか思 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:犯人は豪雪 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1137字
「こんなのよくあるシチュエーションだよ」 どうしてミユキがこんなに落ち着いているのかわからない。わたしは顔をしかめた。 わたしとミユキは大学の同級生で、冬休みを 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:恋の善意 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:1202字
先輩のことが好きだ。 ボランティア部で一人でも活動する先輩が好きだ。 僕が入部したいと話したら、笑顔で歓迎してくれた先輩が好きだ。 一緒に校内のゴミを拾ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:どす黒い経歴 必須要素:繊細な心理描写 制限時間:1時間 読者:21 人 文字数:3322字 評価:1人
地獄トンネルは、僕らの街にある唯一にして最恐の心霊スポットだ。 山奥にあるレンガを積んだような外観の、いかにもそれっぽいトンネルで、正式名称は別にあるらしいが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:簡単な水 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1140字
「会いに行けるアイドル」の登場により、アイドルというものは近しい存在になった。 握手会や手渡し会といった「直接会えること」がウリになるとわかると、多くの芸能事 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:トカゲのブランド品 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1070字
「人間至上主義の街」と言われるだけあって、アイソスには亜人の冒険者は少ない。 人型のエルフやドワーフはともかく、獣人種は本当に数えるほどしかいない。 そんな数 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:暗黒の魔法使い 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:1419字
「『闇の魔法使い』という童話を書いたのだけれど、聞いてくれるかしら?」「もうタイトルからして嫌な予感しかしないけれど、一応聞くわ」 大鷺高校文芸部の真倉エミリは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:きちんとしたぬるぬる 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1033字
「え、雑草を料理したい?」 うん、梅平ゆみみはうなずいた。「ゆみみの好きなね、岩下くんが、雑草が好きなんだって!」 わたしは一瞬悩んだ。 岩下という男については 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:彼女と雑草 制限時間:15分 読者:39 人 文字数:1332字
「ねぇ、岩下くんって何が好きなのかな?」 ゆみみの問いにわたしは「え? わたしに聞いてんの?」とつい聞き返してしまった。「そうだよ。ねぇ、岩下くんって何が好きな 〈続きを読む〉