お題:たった一つの使命 制限時間:15分 読者:61 人 文字数:1128字

ミッション
「みなさんには、使命があるのです。人間は、必ず一つの使命を帯びて生まれてくる。今日旅立つみなさんは、その使命を探しに長い長い旅に出るのです……」

 中学の卒業式の校長の話なんてものを、どうしてだか俺はしつこく覚えていた。
 何が俺の心をつかんだのか、自分でも見当がつかない。
 だが、俺はあの時卒業式にいた誰よりも、この話を覚えておくにふさわしい人間だった。
 誰よりも、この使命というものを胸に刻んでおかなくてはならない人間なのだ。

 高校を出て、俺は地元の工場に就職した。
 そこで知り合った先輩に誘われて、ちょっとしたゲームをすることになる。
 その結果、先輩は死んだ。そして俺は1000万の借金負ったのだ。
 言葉にすればそれだけだが、そうすることでとても理不尽な状況に置かれたことが再確認できる。
 俺は借金返済のため、更なるゲームに挑むことになった。
 それが、「使命」のゲームだった。
 ゲームマスターと呼ばれる男から、俺は一丁の拳銃を渡される。拳銃には一発だけ弾が入っていて、それを使って指定された人物を殺すのだ。
 一人殺せば借金は100万減る。10人殺せばチャラだ。もう10人殺せば、1000万円の資産ができる。
 しかし、仕損じればおしまいだ。俺は全臓器を借金のカタにとられる。
 金持ちの暇つぶしだ、とゲームマスターは言った。お前は、駒なのだと。
 だから命を使って楽しませろ、と。
 ここまで俺は二人殺した。借金は後800万。
 次のターゲットを狙った時、ちょっとした事件が起きた。

「お前さ、一人につき一つの『使命』だと思ってるだろ?」
 俺がターゲットの部屋に着いた時、相手は既に死んでいた。
 その死体を見下しながら、知らない男は俺の方を見る。
「違うんだな、これが。ターゲットを狙っているのは、他の参加者も同じなんだよ」
 男はサカモトと名乗った。彼もまた、「使命」ゲームの参加者だった。
「お前、借金があるのか。俺は金を稼ぐためにやってるのに」
 最初はそうだった。先輩がこのゲームで負けて死んだから、一緒に組んでいた俺は先輩の分の借金を背負わされたのだった。
「下手打ったわけか、救えねえぜ」
 サカモトはせせら笑った。

 横取りされた時は、2回までは失敗にならないらしい。
 また別のターゲットを紹介され、次は首尾よく撃ち殺した。
 しかし、四人目のターゲットを見て、俺は驚いた。
 サカモトだった。顔見知りを殺すのは初めてだ。
 あと1回失敗できるなら辞退しようかと思ったが、サカモトは俺の家に乗り込んできた。
「死にな」
 サカモトは俺に銃を向けてそう言ってから、自分で死んで見せた。
 弾は二つになった
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