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お題:人妻の脱毛 制限時間:15分 読者:55 人 文字数:654字

解けない呪いとの暮らし方
 
 もともと、自分の容姿に対して卑屈気味なところがある人だ、とは解っていた。
 私から見れば輝かしいほどの服装センスも、ドレッサーを埋め尽くす化粧道具も、まめまめしいヨガやエステ通いも、何軒もの行きつけがある脱毛サロンも、歯列矯正もホワイトニングも、どうにも強迫観念じみたところがあったし、私が何度も、それこそ結婚する前から(結婚した後も)貴女は綺麗だ、貴女は可愛い、と口にしてきたのに、彼女はその言葉を全く信じてくれなかった。
 結婚三年目のことだった。過剰なサロン通いが祟って、彼女の肌が傍目に見ても明らかに痛めつけられボロボロになり、私は彼女を止めた。彼女は全力で抵抗した。お互いに同性なので取っ組み合いにこそならなかったものの、結婚以来一番の大げんかになった。
 支離滅裂な叫びを繋ぎ合わせて推測した限りでは、彼女はどうも、毛深いという理由でからかわれた過去があるらしく、それもうら若き中学生の頃であったらしく、繊細な少女の心にざっくり突き刺さった棘は抜けないまま20年に渡って化膿を続け、もうどうにもならなくなってしまったのだ、ということを私は理解した。
 分かった、と私は答えた。
 なら、この家に居る間だけでも、あなたに魔法を掛けてあげよう。

 人間以外の何になりたい、と私は問うた。
 彼女はしばらく惚けてから、ふかふかの動物が良い、と言った。
 スフィンクスとかでなくて良いのかい、と確かめたあと、私は彼女をふかふかのペルシャ猫に変えてあげた。
 いつでも膝に乗って良いよと付け加えて。
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