ユーザーアイコン
お題:ロシア式の帰り道 制限時間:15分 読者:43 人 文字数:612字

ロシア式倒置法の階段と怪談

 階段があなたを憎んでいる。気をつけて。
 
 もともと迷信深い方では無い。
 占いなど、ほんの気まぐれ、暇つぶし、好奇心で頼んだだけ。だから、怪しげな占い師が告げたその予言にも、どう反応を返すのが良いのか分からず、私はまごついた。占いと日頃から親しんでいる人間なら、きっとこんな妙な言葉にも、ありがたがってそれらしい意味を見つけられそうなのに。結局、困ったときのいつものくせで、へらりと笑っておく。お礼の口上も述べる。えぇ、そうなんですか、そんなこと分かるんだ、すごいですね。どうもありがとう。さっさと占料を払って立ち去ろうとする私を、占い師は何故だか離さなかった。私の服の裾を掴んでまで。

「ほんとうですよ。信じてないですね、あなた。階段があなたを憎んでいる。それも、その辺の取り留めもない階段じゃない、世界中の階段があなたを憎んでる。あなたが階段を憎んだあの日、小学校の昼休み、掃除道具を、雑巾を絞ったバケツを転がされて、階段に足を踏み外すように仕組まれて、それでもあなたが誰も憎めず、代わりに、こんなところにある階段がいけないんだと、憎しみを引き受けさせられた階段の憎しみが、二十年に渡って静かに積もり続けてきた階段の恨みが、世界中の階段に共有されてあなたを見ている。大変ですよあなた、これは。きっともう、どこにも、帰ることも許されませんよ、あなたの家はいったい何階ですか?」

 私は答えられない。
 



作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ねこねこ帝国(脚本家志望) お題:ロシア式の帰り道 制限時間:15分 読者:309 人 文字数:790字
ロシア語をしゃべる声優にあこがれて、すみれはテクテクボルシチを飲みつつ、ピロシキを買うか悩んでいた。テトリアシトリ、恋愛の意味を教えてほしいのに、いとこのヘアス 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ロシア式の帰り道 必須要素:結婚相談所 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:324字
「結婚式のヴァージンロードって、各国で違ってたりしないかしら。私、ロシア式のヴァージンロードを通って家路に着いたりしてみたいわ」「お客様、ヴァージンロードは帰り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:YanagisaNagi お題:ロシア式の帰り道 必須要素:美容整形 制限時間:15分 読者:189 人 文字数:805字
「言って良い事と悪い事がある!」「これは言って良い事だろ?」「そうかしら!?」 サンクトペテルブルグから成田までは、直行便とは言え14時間ほどを要する。その、密 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
I'm fund manager ※未完
作者:匿名さん お題:打算的なカラス 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:428字
私はファンドマネージャーだ。金融街にあるヘッジファンドで働いている。世間ではハゲタカと言われているが、私は自分のことをカラスだと思っている。カラスは賢い動物で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ハナねね町長 お題:限りなく透明に近い嘘 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1203字
落ちていく意識のなか、薄っすらと見えたのは笑った顔。 彼女の見たこともない表情だった。「……おはよう」 再び意識が戻った時、僕はベッドの上で彼女に見下されてた 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:運命のオチ 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1206字
野村は大阪人が面白くてかっこいいと考えているらしく、大阪出身を自称していた。 実際は関東の名もなき県出身で、なるほどそんなところの出では大阪なんて土地に憧れて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夢路 お題:戦争と同情 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:356字
“あそこ”は地獄だった。 そう、地獄だ。 人がぼろ布のように散乱している、悪臭と汚泥に満ちた場所。 恐怖と狂乱と憤怒が爆発していて、そして全てが何の感情にもな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夢路 お題:汚い殺し屋 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:321字
ここは廃ビルの一室。 積み重なった埃とゴミが散乱している。 全てが灰色のこの施設において、唯一色のついた、鮮やかなものがあった。 鮮血が地面を濡らしていた。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:佐藤りーまん お題:かっこ悪いお尻 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:623字
現在:節度 品行方正、何でもない社会人過去:厳格の逆 父親が浮気性近未来:寛容の逆 彼女を束縛するようになる援助者:結合の逆 「解体」する人敵対者:公式の逆 彼 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:淡い洞窟 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:395字
最近になって聞くようになった噂があった。「お前さ、海の洞窟知ってる?」 これを聞くのは何度目だろうか、と思いつつ、僕は直樹に返す。「知ってる。だけど、海に洞窟 〈続きを読む〉

の即興 小説


ユーザーアイコン
作者: お題:暗い心 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:758字
火傷だらけの鬼がひとり、森を歩いてゆく。 その晩は新月で、鬼にとって幸いなことに、今にも雨を降らしそうな厚い雲が夜空をみっしりと埋めていた。風も重く、優しく、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:孤独な黒板 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:690字
その日、登校すると、黒板には暴言が描き殴ってあった。私の名前と一緒に。およそ板書にはそぐわない、たった数文字で黒板の端から端までを埋めてしまうほどの、大きくて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:3月の動揺 制限時間:15分 読者:41 人 文字数:743字
最近ちょっと困っていることがあって、と、二百年ぶりに再会した旧友は挨拶もそこそこに口火を切った。 最近と言ったって、私たちの尺度のことだ、どうせ三百年以内の出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:セクシーな善人 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:377字
新宿何とか丁目の細い裏路地、丑三つ時の間だけ、とある地縛霊が人生相談所をやっているらしい。しかも、実に盛況であるらしい。先週の土曜は十人以上の大人たちが寒空の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:当たり前の木 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:456字
裏山に佇む一本の白樺が、私の神様だった。 いつから信仰心を抱くようになったのかは覚えていない。物心ついた頃にはもう、裏山で遊びまわった帰り道に、白樺に手を合わ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:戦争と絶望 制限時間:15分 読者:53 人 文字数:861字
どうも私は気が狂っているらしく、ふたつの時間を交互に生きている。 現在と100年後の世界、と言うべきか、100年前と現在の世界、と呼ぶべきか、いまいち判断が付 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:静かな傘 制限時間:15分 読者:47 人 文字数:782字
不思議ではあるけれど、何の役にも立たない代物、というのが世の中にはそこそこ存在する。 祖父から譲り受けたこの傘も、そんな代物のひとつだった。祖父もまた知り合い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:傷だらけの笑い声 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:855字
祖父はレコードが好きだった。 若い頃は歌うことも好きで、ほんのひととき、歌手として活躍したこともあったらしい。祖父の家には、その頃の古いレコードが何十枚も眠っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:有名な消費者金融 制限時間:15分 読者:47 人 文字数:800字
名前を粗末に扱ってはいけない、というのは、魔法使いでなくても知っているこの世界の常識である。 名は当人を表す最も短い呪いであり、その名を貶めたり変質させてしま 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:人妻の脱毛 制限時間:15分 読者:48 人 文字数:654字
もともと、自分の容姿に対して卑屈気味なところがある人だ、とは解っていた。 私から見れば輝かしいほどの服装センスも、ドレッサーを埋め尽くす化粧道具も、まめまめし 〈続きを読む〉