お題:早すぎた失望 制限時間:1時間 読者:44 人 文字数:970字
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ミサンガが千切れるか実験
「なんだこりゃ」と思った。そしてそれは自分がこの世界に転がり落ちた時に思ったことと同じならいいな、と思った。もっと別の、もっと分かりやすい、もっと面白いものであるはずだったのだ。出生時の記憶をもし作り替えても許されるなら、誰からも怒られないならば、誰かにそれを聞かれるまでは、私はそういうことにしておこうと思う。私は「なんだこりゃ」と、思って生まれてきた子供だ、と。そしてそれから約30年を経た今もまた、同じように思っているのだと。

「早すぎた失望」「遅すぎた絶望」「薄すぎた焼豚」「マゾすぎた元カノ」「謎めいた隣人」「プラス思考すぎて鬱陶しい同僚」「秘められた能力」「通り過ぎた成人式」「楽しかった修学旅行」「ラグジュアリーな居住空間」「ニコルソン・ベイカーの『中2階』」「お戯れのすぎる編集局長」「飴かと思うくらい堅いチョコレート」「バス通勤」、ハリーポッターが仲間と共に駆け抜けたこれらの物語。その全てを私は知っているわけではないけれど、それでもこれらが存在し、彼らが確かにそこで生きてきたということは忘れずにいたいと思う。

今日も世界のあらゆる場所、あらゆるカフェで物語は作られている。そんなに作らなくてもいいじゃないと思うくらい作られている。優しくも面白くもない現実に早々に失望した私やキミらが今日も目を逸らしながらどうにか夜まで生き抜くために。必要のないものを必要としてしまう、精神疾患にも似たおそれのある何かの欠落を埋めるために私やキミらは嘘を、嘘を吐き続ける。ジム行って身体鍛えた方が良さそうなのに、超短期ワーキングで小銭を得た方が良さそうなのに。私やキミらは己が内面の畑を、種を撒いたかさえ定かではない畑を指先で耕すのだ。ミロを飲め、ヤクルトを飲め、そして、肉を食え。人の一生は縦に伸ばすとだいたい富士山の六合目くらいになると言われている。途中で落とし穴に落ちたら三合目からやり直しだよ、と言われている。ちょっと意味は分からないが「大変だ」と言いたいことはなんとなく想像がつく。過ぎたるは及ばざるが如し。これもちょっとよく分からないけど「バランスが大事だよ」と言いたいのだと思う。私やキミらが祈りを捧げる神様はどうやら最近インスタに女子中学生探しに夢中。物語を紡いで建てる高い塔でいつかぶん殴ってやろうと思いました。
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