お題:純粋な医者 必須要素:宗教 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:738字

先生は神様
「先生は、神様を信じる?」

そう訪ねると、先生は目を大きく丸めて私を見た。
突然そんなことを聞かれれば誰だって驚くだろう。
私はそのまま何も言わず、先生の出方を待った。

「……うーん、そうだなぁ」

先生は手に持っていたペンを机に置き、改めて私と正面から向き合った。

「僕は信じてるかな、神様のこと」
「そうなんだ」
「綾ちゃんは? 信じてないの?」
「わからない。神様なんて、サンタクロースみたいなものじゃないかって思ってる」
「サンタクロース?」
「そう。信じるか信じないかは本人次第ってこと。だって、神様を信じたって信じなくたって叶う願いは叶うし、叶わない願いは叶わない。治るものは治るし、治らないものは治らない。そんなものでしょ?」

我ながらひねくれた考えだと思う。
それを証明するかのように、先生は困ったように苦笑した。

「じゃあ、綾ちゃんはサンタクロースは信じてる?」
「サンタクロースを信じる純粋な年齢はもう過ぎてるし、さすがにそれはないかな」
「僕は信じてるよ。サンタクロース」

どきっとした。
そう言った先生の笑顔が、何かを諭しているようだった。

「…先生、いくつだっけ」
「今年で34かな」
「純粋すぎるでしょ」
「そうかなぁ」

アハハと愉快そうに笑いながら、先生は再びペンを持ってカルテを書き始めた。

「綾ちゃんが言っていた通り、神様もサンタクロースも同じものなのかもね」

シャシャシャッと小気味良く紙の上を滑るペンの音が私の耳に届いた。

「だからさ、綾ちゃん。もう一度、サンタクロースを信じてみない?」
「……だから、私はそんな純粋な子じゃないって」

先生はまた笑った。
先生の笑顔を見て、私はなんだか胸の奥が熱くなった。


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