お題:誰かと朝日 制限時間:15分 読者:100 人 文字数:1036字

リホのかける疑惑
 小森くんは吸血鬼なのかもしれない。
 リホが真顔でそんなことを言うので、わたしは吹き出してしまった。
「だって、初日の出見に行こうってあたしが誘ったのに、来ないって言うんだよ?」
 単純に起きられないと判断したか、リホに興味がないかのどっちかだろうが、そこを吸血鬼と思ってしまうのが、リホの恐ろしいところである。
「それにさあ、十字架のアクセサリーを嫌ってるし。あたしがあげようとしたら、受け取れないって言うんだよ?」
 それもまた好みの問題か、リホに興味がないかのどっちかだろう。というか、そもそも付き合ってもないし親しいわけでもない人間のプレゼントや誘いを易々受け取る人間の方が、吸血鬼より嫌だ。
「あと、ニンニクも嫌いらしいし。せっかくガーリック味のお菓子を口移ししてあげようと思ったのに。このわたしが、よ?」
 それこそ好みの問題だし、リホにも興味がないのだろう。そんなことまでしようとしていたリホの方が吸血鬼より恐ろしいと思う。
 でも聞かないだろう。リホはそういう生き物だ。自分は世界一可愛くて、自分がやることならすべての男が受け入れてくれると信じている。実際、そこそこ可愛いから性質が悪い。
「他は? 霧になって逃げたりとかしたの?」
 わたしの問いに、リホは怪訝な顔をした。
「川が越えられなかったり、招かれないと家に入れなかったり、コウモリやオオカミを操ったりでもしたの?」
「何それ? 意味分かんない」
 あらあら。吸血鬼の生態には、そこまで詳しくなかったようだ。
「ともかく、吸血鬼でも小森くんを振り向かせたいの。このわたしがこんな扱いを受けていいはずがないんだから!」
 ハートを射止めたいの、ともリホは言った。
「吸血鬼なら、心臓に木の杭を刺したらいちころよ」
「そんなの誰でも死ぬでしょ?」
 まあ、そうだ。わたしは肩をすくめた。

「で、何?」
 小森くんはわたしの尾行に気付いたようだ。しょうがないので、わたしは電信柱の陰から姿を現した。彼は、青白いが端正な顔を少し歪ませる。
「柳さん、だっけ?」
「そう。隣のクラスの柳よ」
「その物騒なの、何?」
 小森くんはわたしが右手で握った木の杭を指差す。
「君の心臓をこれで貫きたい、と思ってね」
「そんなことをしたら死んでしまうよ」
「何百年生きたの?」
「四百年」
 そろそろ年貢の納め時よ、とわたしは左手の銃を向けた。
「本物とは思わなかったわ」
「女の子の扱いには、慣れてないんだよ」
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