お題:とびだせ俺 制限時間:15分 読者:79 人 文字数:1131字

フィクション
 俺はこの世界が作りものだと知っている。
 何故なら、常に俺の近くについて回る小さな窓、A4用紙程の大きさのそれに気付いてしまったから。
 これはすなわちアレだ、第四の壁というものだ。
 これを破れば、作りものではない世界に飛び出すことができるだろう。
 だが、どうやったってこれを破ることはできない。いろんな方法を試したが、ダメだった。
 破ったところで、作りものではない世界で、作りものである俺が生きていくことなんてできやしないだろうし。
 しかし、一つだけ思うところはある。
 この世界が作りものならば、当然「作ったもの」がいるはずだ。
 そいつを神と呼ぶのかは知らない。だが、文句を言ってやらねばなるまい。
 この世界を、どうしてこんな風な形に作り上げてしまったのか、と。

「あんた、暗い顔してるね」
 洞窟の中に造った俺の基地には同居人がいる。
「外にいる時はテンション高いのに、基地にいる時はいつもそう」
 そりゃあそうだ。自分のいる世界が作りものだと知れば、陽気ではいられない。
「外じゃ求められるからな」
 俺はちらりと第四の壁、あの忌々しい小さい窓を見た。窓は変わらずそこにあるが、今は黒い。これが白く光り始めたら、多分それは向こうの世界から「見られている」ということなのだろう。
「何を?」
「悪役を、だ」
 そう、俺は「悪役」だった。
 毎回毎回、何故か世界征服する方法を考えてしまう俺は、それを実行しようとしては「正義の味方」に殴られて失敗する。それは、ばっちり第四の壁の向こうから「見られている」状態だ。
 地平線の彼方までふっとばされても、不思議と死なない。それは俺にまだ役割があるということなのだろう。
 俺は死にたくないから、第四の壁が白く光る時は、陽気で道化でちょっと残虐な「悪役」を演じる。同居人の女はそれを評して「テンションが高い」というのだ。
「見られてるからな。悪役でいられるかどうか」
 同居人の女はきょとんとして俺の顔を見た。
 この世界は作りものだ、と他の連中に訴えたことがある。だが、みんな今のこの女みたいな顔をして、固まってしまう。そしてすぐに――
「ところで、次はどんな作戦をしよっか?」
 話を変えるのだ。この話題には、絶対に反応できないように作られている、そうに違いない。それは、俺を毎回倒す「ヒーロー」も同じだ。
 俺一人だけが「この世界は作りものだ」と気付いているのだ。
「次は幼稚園バスでも襲おう。前回襲ってから、半年以上過ぎている」
 一度襲われたからと言って、連中は対策を立てたりはしない。しかし、何回も同じことを繰り返すわけにはいかなかった。
 そんなことをしたら、精神が参ってしまうから。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:響木 お題:とびだせ俺 制限時間:15分 読者:50 人 文字数:224字
授業終了まであと27分。窓の外、大通りには桜が舞っている。その歩道の片隅に猫を見つけた。種類は確か、ロシアンブルー。その青い瞳と目があった。瞬間、寒気にもにた高 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:とびだせ俺 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:1032字
やばい、緊張してきた。どうしよう。 いやいやいや、ここまで来て引き下がっちゃ男がすたるぜ。俺は今から、3ヶ月間思い続けてきた相手に告白するつもりだ。なぜそんな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:混沌の過ち 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:456字
現状はカオスだった。どう説明すればいいのか、とにかく大変な事態であることは確かだ。お盆と正月どころではない。ブラジルと日本がくっついたぐらいの有り得ないことが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:カ ク お題:初めてのアレ 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:644字
改札を出た先にある売店の壁にはサイネージが光っており画面は今日の星座占いが五位まで表示されている。自分の星座が四位に入っているのが見えたがサイネージの前には恰幅 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:信用のない始まり 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:722字
冒険というのは危険がつきものだ。 地図にない前人未到の地を手探りで進んでいくのは、暗闇の中を明かりも持たずに走っていくようなもの。いつ何時障害物にぶつかって怪 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:出来損ないの作家デビュー 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:351字
はあ・・・作家デビューがまだ完成していない・・・このままじゃ〆切に間に合わない・・・あと1時間しかない・・・まだ半分も終わってない・・・このままクビになるのか・ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:孤独な芸術 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:19979字
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ昆布 お題:猫の孤独 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:708字
使い魔として猫を飼い始めたのだけど、なかなか仲良くなれない。歳がまだ赤ん坊だからなのか、あるいは子供だからからかわれてるだけなのか。「……」 なんにしてもエサ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:高貴なセリフ 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:655字
何とか、元の身体に戻れた、そのとき、わたしはほっとして、思わず腰砕けになっていた。 「やれやれ……」 「溜息を吐きたいのはこっちだよ」 同じく尻もちをついてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:闇の罰 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:214字
僕は、気が付いたら真っ暗な部屋にいた。直前の記憶がない。おぼえているのは、検診で麻酔を打たれ、そこから記憶がない。いきなりのことで焦っていると、声が聞こえた。? 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:秋の悪意 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:958字
異常気象というやつなのか、ここ数年は夏から即冬になるような気候が続いている。 12月を過ぎても最高金20度だったかと思えば、翌日は一気に冬めいてくるなど、最早 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:黄金の口 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1033字
「ミダス王の話は知っているかい?」 不意に彼はそんなことを言い出した。「僕が言いたいのはロバの耳の方の話じゃなくてね。『金の大好きな王様』と言えば分かるかな? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:オレだよオレ、野球 必須要素:哲学的な思想 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:2949字 評価:2人
山下が死んだ。 それからというもの、百瀬の様子がおかしい。 毎朝、誰よりも早くグラウンドに来るようになった。そしてひたすら走り込み、素振りを行い、チームメイト 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:バイオ視力 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:895字
「それでですね、今回の企画なんですが……」 週刊少年オーバーエイジの編集者・田崎は、漫画家のドブルズ篠田の前に資料を広げて見せた。 週刊少年オーバーエイジは、編 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:斬新な想い 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1185字
高山くんの告白を、アキコは断ったらしい。 高山くんと言えば、クラス一のイケメンと言うわけではないが、まあ三番ぐらいには入る。別に暗いとかそういうわけでもないし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:今度のブランド品 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1375字
「あいつ絶対、パパ活とかエンコーやってるわ」 木村がそう断言するのは、必修の科目が同じ太田という女子のことだった。「見たかよ、あいつの財布? あんなもん大学生が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:意外!それは諦め 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1313字
「恋に悩める君に、絶対に告白に失敗しない方法を教えてあげるわ」 いきなり目の前に現れたお姉さんは、そんなことを言い出した。 この人は恋の女神らしい。なるほど、白 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:調和した野球 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:800字
バンディッツは追い込まれていた。 オールスター前のスミドロンズとの首位攻防戦、9回裏ワンナウト満塁、犠牲フライでもサヨナラの場面。前半戦をどうしても首位ターン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:最弱の食堂 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1072字
わたしの勤める会社の周辺には、「食堂」を冠する飲食店が3つある。 「食堂・五郎八」は和食を中心にした昔ながらの食堂で、おじさんが多い。 「元気食堂」は自然食を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:夏の妻 必須要素:出会い系サイト 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:3616字 評価:0人
うだるような暑さの中、ユウコが彼氏であるタツオの家を訪ねると、玄関の鍵が開いていた。 いるのかな、と思って「来たよー」と言いながら戸を開けると、知らない女が奥 〈続きを読む〉