お題:彼と凶器 制限時間:15分 読者:68 人 文字数:1038字

殺害理由
 どうしよう、死んでしまったぞ。
 他人事のように、わたしは動かなくなった彼を見下して思った。
 ちょっと押しただけなのに、何でこんなことになっちゃうんだろう。人間の体で、案外脆いものだ。
 そもそも、彼がいけないんだ。
 わたしは死体を引きずって風呂場に運んだ。そして、リビングと廊下についた血痕を拭き取る。
 別れる、なんて考えられない。だって彼はお金をたくさん持ってる素敵な人だから。
 結婚しようって言ってたのに、血痕しか残ってない。もう拭いたけどさ。
 彼が頭をぶつけた棚の角も拭いて、次は死体そのものを何とかしないといけない。
 死体をばらすのは一苦労だ。こんなことなら、彼が生きている間に魚のさばき方でも教えてもらうんだった。まあ、人と魚じゃサイズが違うから役に立たないかもだし、そもそも生魚なんて生臭くって見たくもないんだけどさ。
 家の中を探し回って、わたしは何とかのこぎりを見つけた。
 彼ってば、何でこんなものを家に置いていたんだろう? まさか、わたしに使うつもりだったとか?
 危ないなあ、先に刺してよかったよ。わたしは死体に刺さっていたナイフを抜いた。
 すごくゴツいサバイバルナイフだ。正にサバイバル、わたしの命を助けてくれた。
 それにしても、本当何でこんなことになっちゃったんだろう? これでちょっと脇腹を刺して、押しただけなのに。
 わたしは苦労して彼の死体を切断した。グロくて臭くて、三回はもどしたけど、頑張った。
 そう、わたしは頑張り屋だ。この死んだ彼は認めてくれることなんてなかったけど、わたしのもう一人の彼はそう言って褒めてくれた。
 そもそも、彼はすごく人への要求が高いと思う。「結婚したらお前も働け」とか「浮気せずに我慢しろ」とか、「もう一人の彼氏を俺の家に留守中に連れ込むな」とか、ルールでがんじがらめだ。
 そんなことを言うけど、自分がわたしに何をしてくれたって言うんだよ。わたしは32分割された彼の死体を見下した。
 月に10万しか小遣いをくれないし、わたし用の部屋だって用意してくれないし、高級レストランも週一でしか連れて行ってくれない。おまけに、ブランドバッグの一つもプレゼントしてくれない程度の甲斐性なのだ。本当、ダメな男だった。
 そうだ、だから殺したってよかったんだ。
 わたしはバラバラの彼を衣装ケースに詰めた。
 さて、次は……。わたしは寝室に向かう。ここに寝転がってる二番目の彼の死体も、何とかしないとね。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:混沌の過ち 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:456字
現状はカオスだった。どう説明すればいいのか、とにかく大変な事態であることは確かだ。お盆と正月どころではない。ブラジルと日本がくっついたぐらいの有り得ないことが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:カ ク お題:初めてのアレ 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:644字
改札を出た先にある売店の壁にはサイネージが光っており画面は今日の星座占いが五位まで表示されている。自分の星座が四位に入っているのが見えたがサイネージの前には恰幅 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:信用のない始まり 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:722字
冒険というのは危険がつきものだ。 地図にない前人未到の地を手探りで進んでいくのは、暗闇の中を明かりも持たずに走っていくようなもの。いつ何時障害物にぶつかって怪 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:出来損ないの作家デビュー 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:351字
はあ・・・作家デビューがまだ完成していない・・・このままじゃ〆切に間に合わない・・・あと1時間しかない・・・まだ半分も終わってない・・・このままクビになるのか・ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:孤独な芸術 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:19979字
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ昆布 お題:猫の孤独 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:708字
使い魔として猫を飼い始めたのだけど、なかなか仲良くなれない。歳がまだ赤ん坊だからなのか、あるいは子供だからからかわれてるだけなのか。「……」 なんにしてもエサ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:高貴なセリフ 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:655字
何とか、元の身体に戻れた、そのとき、わたしはほっとして、思わず腰砕けになっていた。 「やれやれ……」 「溜息を吐きたいのはこっちだよ」 同じく尻もちをついてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:闇の罰 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:214字
僕は、気が付いたら真っ暗な部屋にいた。直前の記憶がない。おぼえているのは、検診で麻酔を打たれ、そこから記憶がない。いきなりのことで焦っていると、声が聞こえた。? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:いしゅと お題:薄汚い昼食 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1002字
「なんだ、この粗末な食事は!」側近が罵声を上げ、老婆が平伏するのを皇帝は黙ってみていた。出された食事は、お湯の中に青菜が2,3枚浮いているだけの些末なもの。しか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:君と逃亡犯 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:224字
僕は逃亡犯のニュースを見て、大変だなあとしかおもってなかった。しかし、ある出来事で僕は変わった。その逃亡犯を見かけてしまったのだ。今すぐ警察に通報しようとおもっ 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:秋の悪意 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:958字
異常気象というやつなのか、ここ数年は夏から即冬になるような気候が続いている。 12月を過ぎても最高金20度だったかと思えば、翌日は一気に冬めいてくるなど、最早 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:黄金の口 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1033字
「ミダス王の話は知っているかい?」 不意に彼はそんなことを言い出した。「僕が言いたいのはロバの耳の方の話じゃなくてね。『金の大好きな王様』と言えば分かるかな? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:オレだよオレ、野球 必須要素:哲学的な思想 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:2949字 評価:2人
山下が死んだ。 それからというもの、百瀬の様子がおかしい。 毎朝、誰よりも早くグラウンドに来るようになった。そしてひたすら走り込み、素振りを行い、チームメイト 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:バイオ視力 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:895字
「それでですね、今回の企画なんですが……」 週刊少年オーバーエイジの編集者・田崎は、漫画家のドブルズ篠田の前に資料を広げて見せた。 週刊少年オーバーエイジは、編 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:斬新な想い 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1185字
高山くんの告白を、アキコは断ったらしい。 高山くんと言えば、クラス一のイケメンと言うわけではないが、まあ三番ぐらいには入る。別に暗いとかそういうわけでもないし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:今度のブランド品 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1375字
「あいつ絶対、パパ活とかエンコーやってるわ」 木村がそう断言するのは、必修の科目が同じ太田という女子のことだった。「見たかよ、あいつの財布? あんなもん大学生が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:意外!それは諦め 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1313字
「恋に悩める君に、絶対に告白に失敗しない方法を教えてあげるわ」 いきなり目の前に現れたお姉さんは、そんなことを言い出した。 この人は恋の女神らしい。なるほど、白 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:調和した野球 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:800字
バンディッツは追い込まれていた。 オールスター前のスミドロンズとの首位攻防戦、9回裏ワンナウト満塁、犠牲フライでもサヨナラの場面。前半戦をどうしても首位ターン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:最弱の食堂 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1072字
わたしの勤める会社の周辺には、「食堂」を冠する飲食店が3つある。 「食堂・五郎八」は和食を中心にした昔ながらの食堂で、おじさんが多い。 「元気食堂」は自然食を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:夏の妻 必須要素:出会い系サイト 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:3616字 評価:0人
うだるような暑さの中、ユウコが彼氏であるタツオの家を訪ねると、玄関の鍵が開いていた。 いるのかな、と思って「来たよー」と言いながら戸を開けると、知らない女が奥 〈続きを読む〉