お題:謎の血液 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1051字

ワンオペ
 菜花小学校には、七不思議が伝わっている。
 そのどれもが深夜に起こるため、実際に目撃したものは少ない。そのため、七不思議があることを知っていても、信じているものはごく少ない。
 しかし、それらはすべて本当に起こっていることだった。

 午前0時。菜花小学校の理科準備室に奇声が響く。
「イダダダダ、あー痛い……」
 そんな言葉をこぼしながら、人体模型は棚の中から出てきた。
 この人体模型こそ、菜花小学校の七不思議のひとつ「深夜の廊下を走る人体模型」である。
 とはいえ、最近は走ることが少なくなった。
「あーくそ、何で身体の半分むき出しなんだよ、俺は……」
 人体模型は毎晩この独り言をつぶやいている。
「内臓に風が当たって痛い……。気のせいのはずなのになあ、もう……」
 人体模型は理科準備室の鍵を開け、廊下に出た。彼の内臓の中には、実は学校中の合鍵が隠されているのだ。
「今日はまず、体育館から行くか……」
 人体模型はよたよたと階段を降り、一階の廊下を抜けて体育館へ赴く。
「どうせ誰も来ないし、30分ぐらいやったらいいよな」
 体育倉庫からバスケットボールを取り出すと、体育館の真ん中でつき始めた。
 これこそ、七不思議のひとつ「深夜の体育館でバスケットボールをつくバスケ部員の霊」である。
 5分ほどで飽きたのか、人体模型はフリースローを練習し始めた。50回投げて、わずか5回しか成功せず、首を傾げる。
「まあしょうがねえか。半分内臓むき出しだしな……」
 言い訳にもならないことを言ってボールを片付け、人体模型は体育館を後にした。
 次に向かうのはトイレだ。人気のない校舎四階の女子トイレ、一番奥に5分ほどこもる。
 これもまた七不思議のひとつ、「四番目のトイレの幽霊」である。
「しっかし、人来ないよなあ……。こんなに頑張ってるのに、俺」
 そう、実は菜花小学校の七不思議は、すべてこの人体模型が一人でやっていることだった。校庭を走る運動部員の霊も人体模型なら、動く石像も人体模型だ。校門前の桜の枝にぶら下がっている首を吊った霊も、人体模型の名演である。
「さて、最後は音楽室だな」
 ひとしきり七不思議を再現した後、人体模型は理科室の前まで戻ってくる。向かいの教室が音楽室で、ここでは「ピアノに血痕が飛ぶ」という噂があった。
「ほーれ、ほれほれ……」
 人体模型はピアノの蓋を開けて、鍵盤に腕から血のようなものをたらす。何故模型から血のようなものが出るのか、それは大きな謎であった。
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