お題:不本意な税理士 制限時間:15分 読者:118 人 文字数:1176字

モテる士業
「合コンで『税理士なんですよー』って言ったら、『へーすごいですね』って言われてそれから話しかけられなくなったんだが」
 どういうことだよ、と友人の税理士は机を叩いた。
「士業は大人気じゃなかったのか? モテるんじゃなかったのか?」
「まあ、一般の人には分かりにくい仕事だから」
「だからって無視することないじゃないか!」
 ずっと大根のサラダ食ってたわ! と舌打ちする。
「自分から話振っていったらいいじゃん。税金のことで困ってませんか、とか」
「相手は大体会社勤めだったからな。別に困ってるやつはいないだろ」
 率にして4分の3が、何らかの会社に勤めていたという。
「4分の1は?」
「ニート」
 そりゃ税金関係ないな、と僕は呆れた。
「女の子のレベルが低かったと思うことにしようよ」
「いや高かった。かなりの高さだ」
「顔だろ。頭の方だよ」
 友人はちょっと黙った。黙ってから、「そうだな」と納得した様子だった。
「とは言え、知られてないっていうのは、やっぱり辛い。弁護士は『何かすごい』みたいな漠然としたイメージを持たれてるのに、俺らはそれすらないから」
「弁護士はたくさんドラマとか作られてるからなあ。ゲームもあるし。タレント弁護士みたいなのもいるし、そういうのがクイズ番組とか報道バラエティとかで活躍してるのもあって、頭いいイメージがあるんだろう」
 そこだよ、と友人は人差し指を立てる。
「つまり、税理士が主役のドラマがあればいいんだよ」
「……地味そう」
 友人はまた黙った。黙ってから、「そうかもな」と納得した様子だった。
「とは言え、行政書士のドラマとかあっただろ? できるって」
「あったなあ。漫画原作だっけか」
「行政書士なんて、俺ら以上に何やってるのか分からん仕事だぞ、一般的に」
 まあ確かに、何をやっているのか名前からは理解できない。
「会計士もそうだよ。会計士の推理なんちゃら、みたいなのもやってただろ? ああいう感じで税理士もなんかやったらいいんだよ」
「まあな。校正記者もドラマで知名度上がったって言うしな」
「だろ?」
 そしたら俺もモテるようになる、と友人はしたり顔でうなずくが、僕はそうは思えなかった。
「と言うかさ」
「何だよ?」
「士業=モテる、っていう前提がおかしいんじゃない?」
「おかしかないだろ! どんだけ苦労したと思ってるんだよ」
 いやまあ、そうだけどさ。
「そもそも、僕もモテないよ」
「当たり前だろ。社会保険労務士とか、マイナーすぎるわ」
 腹立つなあ、この税理士。確かに、字面だけでは全く意味が分からない資格だけどさ。
「自分を磨こうよ。身ぎれいにしてさ、清潔感出して。紳士的に。そしたらモテるよ」
 友人は、三度目の沈黙を迎えた。そして、「そんな身もふたもないこと言うなよ」とうなだれた。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:幾山アカリ お題:不本意な税理士 制限時間:15分 読者:211 人 文字数:1573字
[ジャンル:現代] 僕は最初は医者になりたかった。 幼い頃にお世話になった先生はとても優しくて、治療を怖がる僕にビニールの人形を見せては遊んでくれた。そして帰り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:パンプキーナ・イトカ/欄橋 お題:魅惑の武器 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:846字
誰しもが、己が魂を燃やすことに憧れを覚える。この世界ではそれが″生き様″であるからだ。だからこそ、人は消費することに全てを注ぐ。人は命を消費して生を得る。その法 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:かたぎり お題:わたしの嫌いな鳥 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:90字
来は肉を焼いていた。すると、なにやら変な鳴き声がきこえた。「なんだ、近くの鳥たちか。」疑問がはれて来はすっきりした。そして再び肉にもどった。火力をあげて夜を吹き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:遅い豪雨 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:824字
梅雨のためにずいぶん前から準備をしてきた。屋根瓦は防水に変えたし、家の外壁は防水に変えたし、あらゆるドア、窓からすべて防水に変えた。つまり防水に変えたのだ。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:聖女ミスリア巡礼紀行 お題:許せない弁当 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:785字
笑われた。 クラスの友達に、女子に、果てはひそかに憧れていた間島さんにまで、俺は今日笑われてしまったのだ。 みんな口元を隠すなり顔をそらすなりしてたが、その気 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:しろみ@雑多 お題:馬鹿な手 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:592字
多ければ多いほどいいわけでもないというのはなにものにも適応される。指が片手に三十本ついていたなら、婚約指輪は三倍になるだろうし、料理をしたなら怪我をすることだろ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:環蜜虫 お題:馬鹿な手 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:674字
「友達が失踪しました。助けてください」ヨウタ 投稿日:20xx年 3月30日 00:00 ID:e381a4e3818ee381afe3818ae381bee3 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夢路 お題:馬鹿な手 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:190字
おれの右手ときたら全く抑えが効かない。 いつも気づいたら何かを手にしている。雑踏を抜けたら手に持っている。 りんご、財布その他諸々。 音もなく華麗にスる汚い盗 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
白脳世界 ※未完
作者:匿名さん お題:群馬の小説合宿 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:409字
そう…ここは足を運んだものが決して戻らないと名高い合宿所である。一種の心霊スポットのようなものだ。怖いもの見たさに足を運ぶものは多い。もちろん自分も、そういった 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しろみ@雑多 お題:群馬の小説合宿 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:644字
きしきしと床が鳴く旅館の廊下を歩きながら、チエとわたしは濡れた髪を拭いている。文芸部で、まさか電車に揺られて山道を歩くとは想像していなかった。この旅館は学生時代 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:汚れた狐 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:956字
「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」 これがやりたい、とある狐は思った。 別に銃で撃たれて死にたいわけではなく、人間にショックを与えてやろうと、こう考 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:やわらかい道 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1467字
固い道を歩き続けると、足が疲れるものだ。 たまにはやわらかい道を歩いたっていいんだよ、とわたしの恩師は言った。「というわけで、ここが世界一やわらかい道です」 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:有名な昼 必須要素:唾液 制限時間:1時間 読者:24 人 文字数:4200字 評価:0人
いくら美人が作ってるからって、こんなのは異常だ。 佐々木フミカはスパイスの臭気漂う会議室を見渡した。 フミカの勤める会社は、お昼時になると二つある会議室の内の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:優秀な本 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1513字
「この本は非常に優秀な本よ」 彼女は自慢げに一冊の本を掲げて見せる。「何せ、武器になるんだもの」 本はカヴァーがかかっていて書名は見えないが、どうやら大きさと厚 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:左の神話 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1057字
左利きの人は天才が多い。 そういう風潮が、南タモツは嫌いだった。 彼は左利きであるが、ちっとも天才ではなかった。 それなのに、人は左利きであるというだけで、タ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:昨日食べた村 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1028字
村中の人間が、外に出て不安げに空を見上げている。太陽も月も雲も星もない、真っ暗な空を。 夜中に大きな地鳴りがしたことは覚えている。地震のような衝撃で、みんなが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:輝く暗殺者 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1107字
照岡は優れた技術を持つ暗殺者であったが、特異体質のために実戦では苦労していた。 その特異体質とは、「人を殺した瞬間に体が一分間発光する」という職業上致命的なも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:失敗のエデン 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1070字
神はそれを見て「悪し」とされた。 それ故に、66番目の「エデンの園」はそのまま放棄されることになった。 現在につながる「エデンの園」ができたのは、それから×× 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:都会のあいつ 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1374字
都会に行ってあいつは変わっちまった。「清い空気の所でしか住めないもんだ。それなのに、あんな汚れた場所にいるからああなるんだ」 じいちゃんはそう言うけど、俺には 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:つらい「えいっ!」 必須要素:コミケ 制限時間:1時間 読者:35 人 文字数:3565字 評価:1人
「えいっ、えいっ……!」 またあのおじさんいるよ、とマナは眉をひそめた。 白髪と長い髭が特徴的なそのホームレスは、マナの通学路にある広い運動公園によく出没する。 〈続きを読む〉