お題:団地妻の脱毛 必須要素:二号機 制限時間:1時間 読者:133 人 文字数:1595字 評価:1人

脱毛のジョー ―埼玉団地編―
 俺の名前はジョー。 流しの脱毛屋だ。
 愛用の脱毛マシン弐号機を手に、西にムダ毛に悩む人あれば西へ。 東にムダ毛に悩む人あれば西へ。
 人呼んで脱毛のジョー。 それが俺の名だ。
 
 今日は埼玉の団地にやって来た。
 風が知らせるのだ。 ムダ毛に悩む主婦が居ると。
 302号室の前に立つと、増田と書かれた表札の下のインターホンを鳴らす。
 ピンポーン。

「はい~」
 ドアを開けて部屋の主が出てきた。 この声はムダ毛で悩む声だ。
 長袖にジーンズ姿はムダ毛を隠したいという気持ちの表れ。
「俺は脱毛のジョー。 無駄毛の処理をしに来た」
 ドアは静かに閉じられた。

 ピンポーンピンポーン。
「すみませんお引き取りください」
「増田さん。 俺はお前のムダ毛を処理しにきたんだ!」
「警察呼びますよ!」
 増田はよほどムダ毛を隠したいのか、引きこもって出てこなくなってしまった。
「大丈夫だすぐに終わる。」
「そういうことじゃないんです!」
 頑なに俺を拒む増田。
 こういうパターンはよくある。 しかし俺も脱毛のジョーと呼ばれた男だ。 ちゃんと対策はある。


 俺は一旦団地の外に出て玄関の反対側、ベランダの方に回り、脱毛で鍛えた肉体をフルに使って三階までよじ登り、そこから部屋に上がり込んだ。
「見せてもらおう、お前のムダ毛を」
「来ないでください!」
 後ずさる増田。
 しかし俺は距離を詰める。
「大丈夫だ。 俺の脱毛マシンはドイツの脱毛マシン職人に弟子入りして二十年かけて作った自信作だ。 痛みを感じる間もなく終わる」
「来ないで! これ以上近づいたら……」
 瞬間、その服が蠢き始めたかと思うと、隙間から以上に伸びたムダ毛が部屋中に広がり始めた。

「――ふむ。 やはりムダ毛の持ち主だったか」

 増田は立ったまま頭だけガックリと項垂れ、その周りをムダ毛がうねうねと包み込み始めている。
 意識がある様子はない。
 まずい。これ以上時間をかければムダ毛に取り込まれてしまう。
「脱毛の時間だ」
 俺はその手に脱毛マシン弐号機を手に取ると、ムダ毛に意識を乗っ取られた増田に向かって駆け出した。
 脱毛マシン弐号機に脱毛力を注ぎ込み、大きなカミソリの形に変形させ、触手のごとくうねるムダ毛を切り裂いた。
 ムダ毛に包み込まれた増田の顔が再び露わになる。
「クケケケケ! ワキゲ! スネゲ! アソコノケ!」
 増田の意識を乗っ取ったムダ毛が、ムダ毛をムチのように振るって攻撃してきた。
「これでも喰らえ!」
 俺は再び脱毛マシン弐号機に脱毛力を注ぎ込むと、次はシェービングフォームの容器の形に変形させ、シェービングフォームを吹きかける。
 更に脱毛マシン弐号機をハサミの形に変形させ、ムダ毛を根本から刈り取っていく。
「そらそら!! そら!!!」
「グガガガ! ムナゲ! ハナゲ! アソコノケ!」
 脱毛マシン弐号機の効果は絶大で、ムダ毛の息も絶え絶えだ。
 続けざまに脱毛マシン弐号機をカミソリの形に変形させると、中国の脱毛拳法の道場に入門して身につけた剃毛術で丁寧に剃っていった。
「ケケ……アソコノケ……ンゲ……」
 作業を終えると、市販の乳液を丁寧に塗った。


「あの、助かりました。 まさかムダ毛が本当になくなるなんて……」
 意識を取り戻した増田は、俺に礼を言ってきた。
「ムダ毛は意思を持ち始める前に処理しないと駄目だぜ」
 俺は増田から三万円(通常料金+よじ登り手数料)を受け取ると、団地を後にした。


「次は青森か」
 風が知らせるのだ。 ムダ毛に悩む建設作業員がいると。

 俺の名前はジョー。 流しの脱毛屋だ。
 愛用の脱毛マシン弐号機を手に、西にムダ毛に悩む人あれば西へ。 東にムダ毛に悩む人あれば西へ。
 人呼んで脱毛のジョー。 それが俺の名だ。
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