お題:それいけ流刑地 制限時間:15分 読者:40 人 文字数:1001字

孤島の利用法
 フスリス王国の神官・レザードは、政治的対立から陰謀に巻き込まれ、謀反の罪を着せられて島流しに遭った。
 流刑先は絶海の孤島・ラターア島。水平線の彼方に見える本土に思いを馳せながら、レザードはこの三年間を祈りの中で過ごした。
 確かに都は恋しい。しかし、ここで命を拾ったのは神のおぼしめしだ。まだ自分にはやることがあるのだろう、と理解していた。
 そんなある日、本土から兵士がやってきた。
 ラターア島にも人は住んでいる。彼らから施しを受けながら、レザードは生活していた。島に常駐していなかった神官の代わりに、ちょうど収まった形である。
 島には流刑者の見張りも兼ねて兵士が駐留しており、その交代かと思ったが、どうやら違うらしい。上等の鎧を着ており、レザードには彼らが王の勅命を受けた騎士であるとすぐに分かった。
 騎士たちは島民全員を集めて言った。
「このラターア島に住む人間全員の立ち退きが決まった。これは王の命令である」
 島民たちに困惑が広がる。レザードは彼らを代表して尋ねた。
「一体どういう理由で、そんなことを言うのか。私を除くここにいるすべての島民は、みんなこの島で生まれ、育ち、生活してきた。それを簡単に立ち退けなどと、どこに行けというのか」
 騎士は、島民たちはそれぞれ王国の領土に振り分けられる、と説明した。
 内陸の土地で、主に漁業を生業としてきた島民たちが暮らすのは難しい。レザードがそう抗議すると、騎士は短気な性質なのか腰のものに手をかけた。
「レザード殿、貴殿は最早王宮の神官でなくなって久しい。今の貴殿はただの謀反人だ。そのことを忘れるなよ……」
 それでもレザードは引き下がらなかった。「とにかく納得できる理由を教えてほしい」と訴えた。
 騎士たちは顔を見合わせ二、三言相談すると、改めて島民たちに語り始めた。
「実は、フスリス王国にて救世の勇者の召喚が行われた。勇者は正しく異世界より来て、王国を新たな未来へ導く。その一環で、このラターア島を使わねばならないのだ」
 レザードは思わず天を仰いだ。彼が陰謀に巻き込まれた原因、それが「救世の勇者」を召喚するかの是非で、反対派に回ったためだった。異世界のものに頼らず、我々で何とかすべきだと。
「勇者は、何と?」
「この島を使って、何やら『テーマパーク』なる遊戯施設をつくるらしい」
 弄んでいる、とレザードは歯噛みした。
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