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お題:ぐちゃぐちゃの火事 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:773字

雨乞いとしての物語行為

 タコ足配線って、あるだろ。
 二時間以上に及ぶクレーム対応を追え、苦味を帯びた沈黙と疲労に押し包まれたレジカウンターの内側で、先輩は唐突にそう言った。
 レジに立つ私たちのうちの誰にも、普段どおりの雑談を遂行する力は残っていなかった。生真面目な後輩だけがかろうじて、ストレスで未だ青ざめながら、ええ、とため息のように返事をした。あまりに律儀なその声に何故だか私は泣きたくなった。
 先輩は前方を見つめたまま、滔々と言った。

「タコ足配線が、原因の、火事が、火事、よくニュースに出てるだろ、あの便利なやつ、ひとつのコンセントを拡張して無理やり炊飯器もレンジもポットもゲームも充電器も何もかんも繋いで、コードが絡まった悪魔みたいになってるやつ、あるだろ。負荷が掛かりすぎてそこから燃えちゃうやつ。
 あのな、あれな、人間も同じだと思うんだ、おれ、こういうときに。
 頭の中に百本くらいの真っ黒いコードがぐっちゃぐちゃに絡まりあって、どのコードが何に繋がっているかも誰にも分からないまま、百本のソケットが、一個か二個くらいのコンセントでむりやり動いてるんだ、想像するだけでやっばいよな、それがさ、もうどんどんコードが増えて、コンセントの数は増えなくて、それでも無理やり動かしてるうちに、ああやって発火して、百本のコードがぜんぶ燃えて」

 そこまで一息に述べてから先輩は黙った。おおよそ雑談の範疇を越えた言葉たちだった。私は生真面目な後輩を見やり、彼女が返事に窮していることを悟り、脳裏の力尽きたコンセントに新しくソケットを刺す様を思い浮かべながら、あとを引き取った。

「さっきのクレーマーがそうだと?」

「うん。そう。あのひとめっちゃ発火してたな。めっちゃ燃えてた。苦しいだろうな」

「かといって延焼は困ります」

「うん。そう。消防車が
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