お題:いわゆる絶望 制限時間:30分 読者:48 人 文字数:798字
[削除]

恋という名の、
天草礼生(あまくされお)という少女は、はっきり言って関わってはいけない人種だった。
まあ正直言って、普通に生活していれば平凡極まりない自分とはとても縁のある人種でもないのだが。
視界の片隅に映るだけでも空間が華やぐもので、教室の窓際、移動教室の廊下、休み時間の笑い声なんかは、俺の記憶に確かに爪痕を残していった。

でも、それだけだ。
こちらは認識していても、相手にはその他大勢有象無象。
俺の存在は、視界の片隅にすら入っていないだろう。

「世界が物語だとしたら、天草さんみたいなひとを主役に選ぶだろうね」
「人生の主役は、いつだって自分だろ」
「いいこと言うねえ。でも僕は主役になるために、今以上に頑張りたくないんだよね」

中庭で購買のパンを頬張りながら、友人たちの会話を聞いていて、確かにそうだと思えた。
天草礼生は世界のヒロインそのものだし、例えばその隣に立ちたいと願ったとして、そこまで辿り着く努力を自分ができるとは思えないのだ。

「誰だって、実る保証のない努力なんてしたくないもんな」

ぽつりと零した俺を、友人たちは一瞥して、各々の食べかけの昼食を見つめながら、確かに、とどちらともなく呟いた。
世の中には夢を見れる人種と、そうでない人種がいるものだ。
それに気づいた時、これからの長い人生を思うと酷く虚しく思えるけれど、そういうものだとも思う。いわゆる、絶望というやつだ。

「次、移動だろ」
「俺、忘れ物取ってから向かうから、先に行ってて」

友人たちと別れ、いったん教室に戻った俺は、がらんとした教室の隅に見慣れた少女の姿を見た。

「きみも、忘れもの?」

彼女の瞳に映り、その言葉が耳に届いた時。
世界の常識を覆しても、自分でない何かにならないといけないとしても、隣に立てる存在になれないかと思った。

この感情の名前を知っている。
これもいわゆる、絶望というやつだ。
この作品をツイート

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ぐり お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:318 人 文字数:1920字 評価:4人
彼女は双子の姉として生を受けた。一緒に生まれたきょうだいには妹がいた。 そして彼女は、20歳を迎えることはできないだろうと言われていた。 彼女だけ、言われてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:多々良釦 お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:257 人 文字数:2309字 評価:0人
現状を有り体に言って、いわゆる絶望的な状況というやつである。 何せ明日がなくなってしまったのだ。「どういうことなんだろうな」 誰からともなく、何処からともなく 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:355 人 文字数:2815字 評価:0人
449220/042四谷篠擬木子 多々良智浩弘前愛小畑朝ジラフ花ゆーれい449220 042「・・・今日の高瀬のあの一句は、私が言いたかったわね・・・」赤いワン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ホムラ ショウイチ お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:228 人 文字数:527字 評価:0人
望みが絶えること。 可能性が絶無であること。 もうどうにもならないこと。「なんでやねん」 と、異を唱えることすら出来ないほどの「終わり」 それが今の、自分の状 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
雨後の竹の子 ※未完
作者:綾河かすみ お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:290 人 文字数:3692字 評価:1人
「三年目の、浮気くらい大目に見ろよお」 こぶしをきかせて、台所でかちゃかちゃと洗い物をしながら市村が歌っている。私はベッドから身を起こして彼を睨んだ。「あのさあ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:GoTo_Label お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:271 人 文字数:1537字 評価:0人
ここはあの世のとある一角。 大鍋が薪に炙られ、ぐらぶらと煮え立っている。 その横には料理長たる白装束の男が「当夜の食材」を傍らにして立っている。 すぐ傍らにテ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:恵衣 お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:236 人 文字数:2644字 評価:0人
ふんふんふん、と嬉しそうに鼻歌を歌いながら、ハルカはチーズケーキを食べている。 よくもまあこの細い体に入るものだと思いつつ、マツリは黙ってサンドイッチを食べて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和才乃亞 お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:201 人 文字数:1404字 評価:0人
絶望と言われて思い浮かぶ情景は? 多分人それぞれで違う言葉が返ってくるだろうし、立場や状況でも違ってくるだろう。 ちなみに、今の俺にとっての絶望は、なんにもネ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:inout お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:254 人 文字数:3095字 評価:0人
遥か昔であれば勝手に挑み、敗れ、人知れず散ってゆくのが定めのダンジョンハックも、時代を経れば異なったものとなった。整備され、安全性を求められ、凶悪なモンスターを 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イオ@創作アカ お題:いわゆる絶望 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:235 人 文字数:2793字 評価:1人
逃げろ、逃げろ。さもなくば死すのみ。 目が覚めたら、世界がゾンビで覆われていた。なんて言っても誰も信じないかもしれないが、本当のことなのだから仕方が無い。現に 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:くさい哀れみ 必須要素:ポテトチップス 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:525字
私がホームレスの男の出会ったのは、土が凍りつく冬の朝だった。男は小学校の通学路にある大きな橋の高架下に住んでいた。ダンボールを何層にも重ねて造った棲み家は要塞の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:失敗の復讐 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:439字
あずさは、今日の家庭科の料理は絶対に成功させなくてはいけないはずだった。なぜならば、この時間はお菓子作りという名目で、バレンタインのお菓子を作ってもよいことに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:あいつと結末 必須要素:この作品を自分史上ぶっちぎりの駄作にすること 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:685字
今日も仕事が終わって漫画喫茶で始発を待つ。私の仕事はしがないガールズバー店員だ。よくわからないおっさんの話をニコニコしながら、セクハラに耐えながら自給1800円 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:穏やかな魔物 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:1013字
窓から差し込む柔らかな日差しが、教室中に降り注ぐ。単調なリズムで読み上げられる古文の調べは、昼食を終えたばかりの生徒たちにゆっくりと、かつ確実に魔物の侵略を許 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
タバコの効能 ※未完
作者:匿名さん お題:煙草と雨 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:767字
根が小心者なのだ。昔から考えすぎるところはあったのかもしれない。考え始めると落ち込んでいくから考えを止めなければならない。落ち込みはじめたら何らかの方法で脳味 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ドイツ式の殺し 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:423字
銃口をごりっと額に押し当てた。「これで終わりだ」 あばよ、と引き金を引こうとしたそのとき。銃口を押し当てられているのにもかかわらず、死を覚悟する様子もなく相手 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:ドイツ式の殺し 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:830字
彼の最期を見た人間はいなかった。ただ一人、彼の甥を除いては。 死ぬ数週間前まで、かれは極めて善良な市民として朗らかに生きていた。隣人には常に優しく、友人には非 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
収束する世界 ※未完
作者:匿名さん お題:ありきたりな動機 制限時間:30分 読者:14 人 文字数:1728字
童貞を捨てたのは17歳の冬だ。相手はひとつ上の先輩で、顎のラインまでで切りそろえた人形みたいなボブが似合う、目の大きいかわいい人だった。その日は小春日和で、先 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:あいつと土地 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:638字
夏休み、久々に地元に帰ってきた僕は、小学校時代に友人だった安達にあった。小学校時代の安達は、なかなか面白い奴だった。小学2年生で、先生の車に雪玉をぶつけた。小学 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
失墜 ※未完
作者:匿名さん お題:帝王の裏切り 制限時間:30分 読者:16 人 文字数:1154字
ヴィーシャは死んだよ。アイリッシュのクソ野郎に頭をぶち抜かれて、溝に捨てられてんのを孫が見つけてね。ああ、あんた少し遅かったみたいだね。 ヴィーシャが幼い孫娘 〈続きを読む〉